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携帯電波の上空利用は高さ制限なし、5Gも利用可――総務省の情報通信審議会が答申

 総務省は、2016年10月12日付けで諮問していた「新世代モバイル通信システムの技術的条件」のうち「携帯電話の上空利用拡大に向けたLTE-Advanced(FDD)等の技術的条件等」の一部について、情報通信審議会より答申を受けた。

 今回答申を受けた内容には、地表からの高度150m以上の高さでスマートフォンなど携帯電話ネットワークに接続するデバイスを利用可能とすることのほか、現在はFDD-LTE(4G)のみとしている上空での通信方式に5Gを加えることなどが含まれている。

 総務省は、答申の内容を踏まえた関係規定の整備を速やかに行うとしている。答申のあった主な内容は以下の通り。

上空で利用できる周波数帯

 情報通信審議会は、150m以上の上空で利用可能な周波数について、800MHz帯、900MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯を用いることや、上空で利用される移動局は上空での利用に適した送信電力制御機能を有することを求めた。

 これ以外の周波数帯について、たとえば700MHz帯は地表から150m以上に関しては影響が少ないが、150m未満からの影響があるため、低高度での干渉影響を回避する方策が見つかるまでは、実用化試験局制度の下で慎重に運用することが適当とした。

 また、1.5GHz帯および3.4/3.5GHz帯についても、他の無線システムとの共用が現実的に可能かどうか、慎重に検討する必要があると結論づけた。

FDD-NR(5G)も利用可

 現在認められているFDD-LTE方式に加えて5G(第5世代移動通信システム)を追加する検討にあたり、同審議会は無線システムの最大空中線電力や不要発射強度などのパラメータを用いて検討を行った。

 これらのパラメータについて、5Gで規定される値はすべて4G LTEの規定値の範囲内であるため、他システムへの与干渉量はすべて4G LTE導入時の値以下であり、地表から150m以内および150m以上の両方で、LTEで共用が可能なシステムについては5Gにおいても共用可能と結論付けた。

 なお、全国5Gやローカル5Gを含むTDD方式の上空利用については、今回の答申に含まれていない。審議会では、今後新たなニーズが示された際に、技術的条件の検討を実施すると報告している。

上空利用が可能な最大高度

 携帯電話の上空利用は、150m以上の高度での利用やヘリコプターでの利用などが求められている。

 こうした状況を踏まえて検討を行い、150m以上の上空で利用した場合においても、他システムと共用可能であることが示されたため、利用できる高度には特段の制限を設けないことが答申された。