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汗で健康状態をさりげなくモニタリング、東北大が衣服用の新生地

 東北大学学際科学フロンティア研究所の郭媛元助教、佐藤雄一研究員、大学院工学研究科の呉京宣氏(修士課程2年)の研究チームは、汗の成分を検出するファイバーを織り込んだ肌着用生地の開発に成功した。今後は、利用者の健康状態をさりげなくモニタリングするなど、ヘルスケア領域での活用が期待される。

 今回開発されたのは、汗の中に含まれるナトリウムや尿酸などを、高感度かつ選択的に検出・モニタリングできる多機能ファイバーが織り込まれた生地。

 郭媛元助教らの研究チームは、光通信ファイバー用の熱延伸法を改良した、独自技術を用いた。必要な構造や機能を持つ成型物(プリフォーム)を加熱しながら引き伸ばすと、構造と機能は維持しつつ、髪の毛ほどの細いファイバーを大量に生産できる。この過程は、「金太郎飴」の作り方と似たものになっているという。

 ファイバーのなかには、汗に含まれる化学物質をセンシングするためのカーボン複合材が集積されている。

 また、レーザー加工技術の併用により、ファイバーの先端だけでなく側面も機能化することに成功。側面に露出した電極に対し、ナトリウムイオノフォアなどの感応膜を付与することで、バイオセンシング機能を実現している。

 今回の技術を活用すれば、汗のなかに含まれる重要な健康情報を、本人に意識させることなく、また周囲に知られずにモニタリングできる。東北大学では、「(今回の技術の活用により)スマートテキスタイルの新時代が幕を開けると期待される」としている。