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NTT、触れるだけで高速通信できる新技術「レッドタクトン」
PCカード型のレッドタクトン受送信機(プロトタイプ)
NTTは、人の体を伝送経路として、携帯端末などで最大10Mbpsの通信が可能なユビキタス技術「レッドタクトン(RedTacton)」を開発した。プロトタイプとしてPCカードタイプの端末が開発され、今後フィールド実験が行なわれる。
「レッドタクトン」は、携帯端末などユーザーが身につけた端末同士や街中の機器間で、人の体を伝送経路として触れるだけで最大10Mbpsの近距離通信が可能な新技術。触れる・握る・歩くといった人の自然な動作の中で双方向の通信が可能だとしており、NTTでは、将来的にはユビキタス時代の社会インフラを目指しているという。
電波や光ではなく、人の体の表面電界を利用した通信技術となり、送信側のレッドタクトンのデバイスでは、人の体の表面に微弱な電界を発生させる。人体の表面を通じてレシーバー側に到達した電界は、微弱な電界の測定を行なうセンサー「フォトニック電界センサー」によって受信、電気信号に変換される。
金属や水など電気信号が伝わる性質のもの(導電体)のほか、ガラス・壁、木材などの信号が通過してしまう素材(誘電体)でも、薄ければ信号が伝わるとしており、導電体と誘電体が組み合わさった、衣服や靴、車などでも通信が行なえるという。
概要
フォトニック電界センサーを使った装置の構成
レッドタクトンは、さまざまな分野で応用できるという
NTTでは、今回の技術をさまざまな分野で応用できるとしており、携帯端末と街中や施設に埋め込まれたコンピュータ間でのOne-to-Oneサービス、ノートパソコンをテーブルに置くとネットアクセスできるサービス、セキュリティサービスなど、社会インフラになるような大規模な事業にしたい考えだ。また、近接通信技術では、BluetoothやRFIDなどがすでに提供されるが、触れるだけでの通信、伝送媒体を選ばない点、10Mbpsの高速通信などの点で、これらの技術に対抗できるとしている。
伝送経路が人体の表面であるため、例えば、ユーザー各人が座った床などに受送信機を設置しておけば通信速度が低下せずに、無線LANのホットスポットのような環境が構築できるという。また、将来的に携帯電話などに搭載された場合、名刺交換を行なうことなく握手するだけで各人のプロファイルなどの交換が可能。認証と暗号化を組み合わせて通信相手を限定することもできるという。
なお、「レッドタクトン」のネーミングの由来は、反応を引き起こす「Act on」とTouchを合わせた造語「Tacton」に、温かみのある通信という意味でレッドを加えたもの。ただし、発表会では、「Bluetoothに対抗してレッドと付けた」とも語っていた。
NTTでは、レッドタクトンのプロジェクトを同社が2年前から行なっている「総合プロデュース機能」を活用して展開する。同機能は、NTT東西やドコモなどグループ各社や、メーカーに積極的に働きかけを行なって事業化を図るというもの。また、4月から9月を目処に、今回開発したPCカードタイプのプロトタイプを企業に貸し出して実証実験も行なわれる予定だ。その後、技術面でのハードルをクリアし、事業性を検討した後、2006年中には事業化する方針。
伝送媒体を選ばない
通信速度を低下させずに通信可能
One-to-Oneサービス
握手をするだけで名刺交換
ワイヤレスヘッドセットにも利用できる
セキュリティサービス
デモで使われたPDA端末
薬ビンを手にすると、その薬を服用して良いか音声で案内
気になる携帯電話への搭載について、搭載時期などは明らかにされなかったが、NTTの第三部門 プロデュース担当 プロデューサーの阪本 秀樹氏は、「他の分野などでの導入が決定され、それが携帯電話でも有効であれば搭載されるだろう」とした。また、コスト面については、「レッドタクトンの基本構造は無線LANと似ている。大量生産されることで安くなる」とコメント。他の通信との干渉については、干渉はあるとしながらも、「触れるという非常に近接な通信となるためあまり影響はないだろう」とした。
さらに、人体への影響について阪本氏は、「電流が人体を流れることはない」としたが、「ただし、携帯電話の電波と同様に、気になる人もいるのではないか」と述べた。なお、レッドタクトンは、総務省の安全基準(RCR STD-38)をクリアしているとのこと。
発表会では、3種類のデモンストレーションが行なわれた。1つ目は、薬棚に置かれた複数の薬ビンに触れると、ポケットの中のPDA端末が薬の属性情報や服用方法などをガイドするというもの。2つ目は、美術館やイベントなどの施設を想定し、床に埋め込まれた送受信機がユーザー側の情報端末に、訪れた人間の年齢、性別、国籍などに合わせて情報を配信するというもの。ビジネスシーンを想定した3つ目は、プロジェクターを接続することなく、ノートパソコンをテーブルに置くだけでプレゼンテーションが行なえるというものだった。3つ目のビジネスシーンを想定したデモは、テーブルに設置された送受信機が、ノートパソコンと通信を行なってケーブルレスでプロジェクターに画面が投影されていた。
床を踏むと情報端末にデータが配信される
複数人が床を踏んでも各個人に合わせた情報が提供される
こちらは床のプレートがユーザーごとに分けられている
情報端末の赤い部分に受送信センサーとなる絶縁体が搭載。内部にレッドタクトンのデバイスを搭載
プロジェクターの投影デモ
パソコンにはレッドタクトンの通信カード
テーブルの裏側にはレッドタクトンの受送信機。ガラスを越しに通信できる
ノートパソコンの裏側には絶縁体シート
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URL
ニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news/news05/0502/050218.html
「レッドタクトン」Webサイト
http://www.redtacton.com/
(津田 啓夢)
2005/02/18 19:08
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