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“ゼロキャッシュ社会”に向けた「楽天ペイ」の成長戦略とは? 担当者が語ったこと

 楽天ペイメントは8日、「タッチ決済市場と楽天ペイ成長戦略」と題し、報道陣向けのオンラインセミナーを開催した。同社楽天ペイ事業本部 マーケティング&編成部 ユーザーマーケティンググループ マネージャーの奥村祥語氏と、ユーザーサービス企画グループ マネージャーの藤江桃子氏が登壇し、「楽天ペイ」の成長戦略などについて紹介した。

左:奥村氏、右:藤江氏

 最初に、キャッシュレスにまつわるさまざまなデータが披露された。日本におけるキャッシュレスと現金の割合は、約3:7というもの。キャッシュレスの比率は、たとえば中国や韓国、シンガポールなどのアジアにおける他国と比べると、低い数字になっている。

 ただし、近年の推移を見るとキャッシュレスの比率は少しずつ高まって来ており、2030年にはキャッシュレス比率100%、つまり“ゼロキャッシュ”を目指すという構想もある。

 キャッシュレスの決済手段のうち、いまだに根強いシェアを誇るのがクレジットカード。「楽天ペイ」では、「楽天カードタッチ決済」が新たに利用可能となり、クレジットカードの成長とあわせて利用者の拡大を狙う。

 楽天グループの収益割合に目を移すと、「楽天ペイ」をはじめとしたフィンテック領域が、グループ全体の売上の約3割を占める。楽天ペイメントは、スマートフォン決済「楽天ペイ」アプリにさまざまな機能を持たせることにより、ユーザー層の拡大を図る。

 奥村氏は「楽天ペイ」における「楽天カードタッチ決済」の3つのメリットとして、「アプリの起動が不要であること」「チャージが不要であること」「サインや暗証番号が不要であること」を挙げた。

 「楽天カードタッチ決済」を利用するユーザーについては、「楽天ペイ」アプリのコード決済での利用金額も多くなるという。「楽天カードタッチ決済」の利用後、「楽天ペイ」アプリにおける1回あたりのコード決済利用金額が107%になるというデータも紹介された。

 ポイントによる還元率や“ポイント多重取り”なども紹介した奥村氏は、「ユーザーにたくさんの楽天ポイントを貯めてもらいつつ、価値を提供できれば」と語った。

質疑応答

――「楽天カードタッチ決済」を、「Google Pay」「Apple Pay」対応にしなかった理由を知りたい。

藤江氏
 我々は「楽天ペイ」のアプリひとつで、さまざまな機能にアクセスできることを目指しています。アプリケーションを経由せず、「楽天ペイ」で「楽天カードタッチ決済」を利用できることを目指した、というのが背景にあります。

――「楽天カードタッチ決済」がiPhoneに対応していないが、考えを教えてほしい。

藤江氏
 iOSへの対応は現状「未定」となっていますが、お客さまの利便性を追求して、さらなる機能開発を目指していきたいと思っています。

――「楽天キャッシュ」の残高を「楽天カードタッチ決済」で使えるようにするといった機能は検討しているのか。

藤江氏
 現状、そのような機能の検討はしていません。ただ、貴重な意見として、今後そういったところは考えていきたいと思っています。

――「楽天Edy」は今後どうしていくのか。スポイルなどは考えているのか。

奥村氏
 「楽天Edy」については、ユーザーさまからも支持を得ている状況です。引き続き、利用の推進をしていきたいと考えています。