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グーグル、対話型AIを試せるアプリを米国で公開

 米Google(グーグル)は、Android向けに「AI Test Kitchen」を公開した。米国の少人数のユーザーが利用でき、対象者は徐々に拡大するという。

 iOS版は今後数週間以内に提供予定で、興味があるユーザーはサイトから登録するように案内している。なお、現時点で日本国内向けの提供については案内されていない。

Google、米国で「AI Test Kitchen」を公開

 Googleは、AI技術の開発に関して、友人や家族と会話をするのと同じように探している情報を会話形式で探せるようになる未来が見えていると現在の状況を説明する。

 今回公開した「AI Test Kitchen」には、Googleが開発中の対話型アプリケーション用の生成言語モデル「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)」が使われている。

 「AI Test Kitchen」では、「Imagine It」、「List It」、「Talk About It(Dogs Edition)」の3つのデモを体験できる。

 「Imagine It」では、ユーザーが指定した場所に関する説明を、AIが対話型で返答する。2022年5月に開催されたGoogle I/O '22では、ユーザーが場所について「海の一番深いところ」と入力すると、LaMDAがマリアナ海溝に関する説明で返事をし、さらに「(そこに)どんな生物がいるの?」など、追加の質問を選択式で選べる。

 「List It」では、設定した目標やトピックスに基づき、それを達成するためのサブタスクのリストをLaMDAが生成する。Google I/O '22では、「家庭菜園を作りたい」という目標に対して、「作りたい野菜をリストにしましょう。」や、「あなたの土地で栽培に適した野菜を調べましょう。」などと応答した。

 「Talk About It(Dogs Edition)」では、犬に関する話題を自由に話せる。機能名の通り、現時点では犬に関する話題のみ動作するようだ。

 Googleは、昨年より内部でLaMDAのテストを継続し、品質を大幅に改善したという。さらに、モデルの欠陥を発見するために、敵対的な思考に基づいてテストを行うチームのメンバーを加えてテストを実施し、モデルの欠陥を検出した。

 たとえば、トレーニングデーターの偏りによって、人を傷つけたり有害な返答をすることがあったり、性別や文化的背景に基づいて人々をステレオタイプ化し、誤った反応をすることがあったりした。現在は、このような分野を含めて開発が続けられているという。

 これらの課題へ対応するために、Googleは「AI Test Kitchen」に複数の保護レイヤーを追加した。この対応によってリスクは小さくなったが、完全に無くなってはいない。Googleは、暴力、危険、違法な内容、個人情報の漏えいにつながるフレーズを自動的に検出し、除外するようにシステムを設計しているという。