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高精度測位サービスのグローバル展開で協業、ソフトバンクとu-bloxなど
2021年11月1日 15:00
3社で高精度化・エリア展開を広げる
高精度測位サービスは、国や地域ごとに利用されている補正手法や補正信号の形式が異なるという問題があり、3社では2022年内を目処に国や地域を問わずに利用できる補正情報配信基盤を開発する。
ソフトバンクの「ichimill」やu-bloxの「PointPerfect」を利用する企業は、どちらかのサービスの対象エリア内であれば、国や地域ごとに契約を結ぶことなく、高精度測位を利用できるようになるという。
これに合わせて、サービスを利用するためのデバイスを共同で開発する。ソフトバンクでは、すでにichimill用のデバイスを提供しているが今後、グローバル利用に対応したものが提供される。
加えて、u-bloxが強みを持つ欧米エリアにおいてソフトバンクがichimillで得たノウハウをもとに測位精度の向上を図る。当初は日欧米でのサービス展開を進めるが今後、衛星やHAPSなどと連携、モバイルネットワークのエリア外などにもサービス範囲を広げていくとともに、将来的にアジア圏での展開も検討されているという。
グローバル利用のニーズに応え協業
ichimillは、ソフトバンクが提供する高精度な高精度測位サービス。GNSSのデータを独自の基準点をもとにして位置情報を補正。GPSの場合、数mほどある誤差を数cm程度にまで縮められる。
移動しても基準点が自動的に切り替えられ、エリアが重なっていることからトラブル時やメンテナンス中であっても安定してサービスの提供ができる。自動運転や農業分野に加えて、道路やダムといったインフラの点検・監視などで強みを発揮する。
2019年11月から提供を開始した。全国3300カ所の独自基準点をもとに、ソフトバンクのLTEエリアで利用できる。2021年10月時点で契約と実証合わせて500社・機関の実績があるとしている。
一方、u-bloxはスイスに本社を置く企業。通信モジュールの開発などに加えて、同社の高精度測位サービス「PointPerfect」を提供している。
ichimillが「RTK」方式を採用する一方、PointPerfectでは「PPP-RTK」方式を用いており、ichimillよりも精度が多少劣る代わりに、少ない基準点インフラでサービスを提供できるというメリットがあり、欧州や米国の幅広い地域で利用できる。
両社が展開するような高精度測位サービスは、誤差数cmレベルの高精度な位置情報が利用できる一方、国や地域ごとに異なる方式でサービスが展開されている。これにより、自動車や建機メーカーなどグローバルで製品・サービスを展開する企業は、それぞれの国や地域でサービスの契約や受信用デバイスの用意が必要になるという課題がある。
そうした企業からのグローバルでの利用ニーズは高く、測位事業の市場はグローバルで1兆2000億円と日本単独で比較すると15倍もの差があるという。
そこで今回、ソフトバンク、ALES、u-bloxの3社は、RTKやPPP-RTKなど複数方式に対応することで、日本、欧州、米国などで共通して利用できる高精度測位サービスの環境構築を目指して協業の合意に至った。