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KDDIの22年3月期1Q決算は増収増益――通信値下げの影響を成長領域でカバー

 KDDIは30日、2022年3月期第1四半期決算を発表した。連結売上高は、前年同期比で4.6%増の1兆3003億円、連結営業利益は同2.9%増の2992億円となった。

 同日午後の決算説明会には、代表取締役社長の高橋誠氏らが登壇した。

KDDIの高橋社長(『高』は“はしご高”)

 なお、決算説明会における質疑応答の様子については、別記事でお届けする。

ライフデザイン領域などが成長

 2022年3月期第1四半期の連結売上高1兆3003億円は、通期予想に対して進捗率24.3%。そして、営業利益2992億円は、進捗率28.5%となっている。高橋氏は、「引き続き成長領域の拡大などを通じて、通期予想の達成を目指す」とコメントした。

 前年同期比でプラス85億円の増益の要因には、ライフデザイン領域およびビジネスセグメントの貢献がある。これらの成長領域をあわせた増益幅はプラス75億円となり、マルチブランド通信ARPU収入の減少をカバーした。

 料金プランの見直しなどによって通信料収入は減少したが、5G通信を推進することで、収入の増加も図っていく。この2つをネットすることにより、通年での通信料収入は600~700億円の減収となる見込み。

持続的成長に向けて

 「2022年3月期は、現・中期経営計画の完遂と持続的成長の基盤構築に向けて、非常に重要な位置づけ」と高橋氏は語る。

 KDDIは、マルチブランド戦略や5G通信をはじめとした既存通信事業を中心に、継続的なコスト削減に取り組む。また、成長領域も伸ばしていく。

 そうした成長戦略に向けて、KDDIは組織体制を強化した。パーソナル事業本部では、通信とライフデザインの融合を推進すべく、マーケティング本部を新設した。

 また、ソリューション事業本部では、ビジネスデザイン本部を立ち上げた。さらに、新たなイノベーションを創出する事業創造本部も新設されている。

マルチブランド戦略

 UQ mobile(UQモバイル)におけるキーワードは、「au経済圏のサービスをUQ mobileでも」というもの。

 UQ mobileでは、6月に「でんきセット割」の提供が始まった。また、サポート体制も拡充し、auショップやau StyleなどでUQ mobileを取り扱う。

 5Gネットワークでは、鉄道路線の5Gエリア化や、仮想空間「バーチャル渋谷」の拡張など、さまざまな取り組みを進めていく。

 スマートフォンの契約数について、4G LTEと5Gの累計契約数は、6月末時点で2927万台に伸びた。また、5G端末の累計販売台数が、同月末時点で340万台を突破している。

ライフデザイン領域

 ライフデザイン領域では、「auでんき」「au PAY カード」「auスマートパス」など、コアとなる各種サービスが順調に成長した。金融事業では、住宅ローンをはじめとした決済・金融取扱高が拡大している。

 au経済圏の拡大として、フードデリバリーやヘルスケアサービスなどの提供も開始している。今後もユーザー接点などを増やし、au経済圏を広げていく構えだ。

 また、ニューノーマル時代において、ヘルスケアサービスなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)も進める。

ビジネスセグメント

 ビジネスセグメントでは、テレワークなどの「コーポレートDX」事業、IoTやクラウドの「ビジネスDX」事業などをまとめた「NEXTコア事業」が成長している。

 ビジネスセグメントの強みとしては、IoTに関するKDDIの豊富な実績や経験に加え、通信以外のデータ分析なども一括で提供できることが挙げられる。

 6月から提供を開始したIoT世界基盤「グローバルIoTアクセス」に関しては、年度内に200以上の国と地域への拡大を目指す。

 モビリティ社会に向けた新たな連携として、米Swift Navigationと業務提携契約を締結し、高精度位置測位サービスの提供に向けた取り組みを進める。

地球環境への配慮

 SDGsに関する取り組み「KDDI Sustainable Action」としては、環境保全計画「KDDI GREEN PLAN」に基づき、脱炭素化を目指す。

 auでんきでは、環境に配慮したプラン「ecoプラン」を提供する予定。そのほか、ノキアや三菱重工、NECネッツエスアイなどと連携し、電力使用量削減に関する各種実証実験を進める。

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