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夏の甲子園、29の地方大会全試合をライブ中継

「SPORTS BULL」の「バーチャル甲子園」で

左から、朝日放送テレビ取締役の今村 俊昭氏と朝日新聞執行役員の高野 健一氏

 朝日新聞と朝日放送テレビは、運動通信社のスポーツメディア「SPORTS BULL(スポーツブル)」内の「バーチャル高校野球」で、「地方大会全試合」の中継を目指したプロジェクトを展開する。地方球場の通信ネットワーク整備などで、KDDIも参加している。

 プロジェクトの発表会には、朝日新聞執行役員の高野 健一氏と朝日放送テレビ取締役の今村 俊昭氏が登壇し、プロジェクトについて説明した。

バーチャル高校野球について

朝日新聞執行役員の高野 健一氏

 朝日新聞の高野氏は、「高校野球100年目の年となる2015年に朝日新聞と朝日放送(現朝日放送グループホールディングス)が共同で開始し、第100回記念大会を迎えた2018年に『SPORTS BULL』とプラットフォーム契約を締結し、現在の形となっている」とし、現在では全国高校野球選手権大会をはじめ、国体や明治神宮大会などさまざまなライブ中継を提供してきたと説明。

 今回、地方大会の全試合の中継を目指すプロジェクトを始動することになったという。

 2021年の取り組みについて、約2400試合をライブ中継する。1回戦~決勝戦まですべてライブ中継する地方大会は全部で29あり、49すべての地方大会で準決勝と決勝戦をライブ中継する。

 試合数について高野氏は、「選手権大会が中止になり、各地域での独自大会の開催となった2020年度と比較すると2.5倍の試合増となった」といい、「高校野球ファンにいつでもどこでも、スマートフォンやパソコンなどで高校野球を楽しんでいただけるよう、中継試合数を増やしていくことに注力したい」とコメントした。

今年からの新サービス

朝日放送テレビ取締役の今村 俊昭氏

 朝日放送テレビの今村氏は、2021年から「バーチャル高校野球」で始まる新サービスを説明した。

 「マルチビュー」機能は、同時に最大5試合を同時に視聴できる機能。中継試合数の大幅増加により「1日に200以上の試合が行われる日もある」(今村氏)ことから、今回の提供につながったという。

 また、新たに「見逃し配信」サービスを有料で提供する。価格は、1試合あたり1960円、大会やシーズンごとに見放題になる「大会パス」は4900円。見逃してしまった試合や、記念として親戚や家族が参加した試合を残しておきたい場合などで活用できる。

 スマートフォンユーザーには「スーパープレイ動画」機能をリリース。同機能では、スマートフォンの縦長画面にあわせた短尺の競技映像を配信する。動画は、スワイプで次々に切り替えて視聴でき、通勤など短い時間でも気軽に利用できる。

 また、今年開催される第25回全国高等学校女子硬式野球選抜大会について、「バーチャル高校野球」で3回戦以降をライブ中継する。

 同大会では、史上初決勝戦を甲子園球場で開催され、この決勝戦もライブ中継される。

KDDIグループの役割

 バーチャル高校野球の取り組みでは、KDDIが地方球場の通信ネットワーク整備を担当している。

KDDIパーソナル事業本部サービス統括本部副統括本部長の繁田 光平氏

 KDDIパーソナル事業本部サービス統括本部副統括本部長の繁田 光平氏は、地方球場のネットワーク整備について「通信はできるが、ハイクオリティなコンテンツをアップロードするには通信速度が足りない場合がある。その場合、現地に出向いてアンテナの出力の調整などを行っている」とコメント。

 また、KDDIグループのJCOMやジェイ・スポーツ(J SPORTS)が、現地での撮影を担当しているという。

 自身もスポーツで育てられたという繁田氏は、5Gの普及でストレスなくスポーツ映像を見られる環境を整え「スポーツに恩返ししたい気持ちがある」とし、「5G時代のスポーツの観戦スタイルをユーザーに提示していくことが僕らの使命」と考えを示した。

【訂正】
本記事初出時、タイトルの中継試合に誤りがありました。修正いたします。