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KDDIとmenuが提携、クーポンプレゼントのキャンペーンも

 KDDIとmenuは、フードデリバリー事業において資本業務提携契約を締結した。出資金額は50億円。KDDIの出資比率は20%となる。

左=KDDI 多田氏 右=menu 渡邉氏

 今回の提携により、KDDIが提供するスマホ決済サービス「au PAY」のアプリ内にミニアプリとしてフードデリバリーサービスの「menu」が追加される。また、7月中旬頃からmenuアプリのオンライン支払い手段としてau PAYが新たに加わる予定。au PAYで支払うと還元ポイントがアップする施策も実施される。

 また、対応店舗のラインアップ拡大や、IDの連携によるシームレスなサービス利用を目指す。

 デリバリーは来店に比べて、ユーザーの属性などが分かりづらい。そこでau IDひとつでサービスを利用できるようにし、自宅で注文したデリバリーの内容をもとに外出先の同じ系列の店舗の情報を提供するといった個々人に合わせた最適なサービスや店舗の案内を目指す。

 加えて注文情報を分析し、飲食店以外の小売店などのデータも連携し、新商品情報の提供などにつなげて、業種をまたいだマーケティングの展開も検討される。また、ローソンと取り組んでいる見切り品の販売といったマーケティングの取り組みも飲食店やそれ以外の領域などにも広めていきたいという。

 また、外部の予約サービスなどとの連携についても、現段階では時期尚早としつつも今後の実現の可能性に言及した。

記念キャンペーンも

 さらに、今回の提携を記念してmenuの利用料金が最大4000円割引のキャンペーンが開始された。

 期間中、au スマートパスプレミアムに新規会員登録すると、6月30日まで利用できる2000円クーポンが2枚、また7月~10月の間、翌月以降使える500円分のクーポンが各月1枚ずつプレゼントされる。

 さらに、auスマートパスプレミアムの既存会員で、初めてmenuを利用するユーザーにも総額3000円のクーポンがプレゼントされる。内訳は、1000円クーポンが2枚(利用期間:6月30日まで)と7月と8月に500円クーポンが1枚ずつ。

 配布されるクーポンはいずれも1500円以上の注文で利用できる。

魅力的なポイントの使い方として

 KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 副統括本部長の多田一国氏は、au経済圏の拡大を目指す中で、さまざまなサービスを使ってもらうにはポイントサービスが重要と語る。「魅力的なポイントの使い方ができれば、ポイントを貯めるために選択的にその経済圏のサービスを利用したくなる」と説明。

 au PAY会員は3200万超。1億130万超のPonta会員によるユーザー接点があるものの、多田氏は「まだまだ選択的にau経済圏に参加してもらっているという状況ではないのでは」と分析。

 auスマートパスやPontaポイント1.5倍交換所といった施策を活用した成長施策も展開しつつ、サービスとしては「コト消費によるリアル接点の強化」に着目。支払いの手段としての決済サービスだけではなく、何を買うか、何をするかといった行動の起点となるサービスの構築を進める。

 今回のmenuとの提携は、そのひとつであり飲食サービスを選んだ理由としては「もっとも頻度が高い日常的なコト消費」であるためという。

 新型コロナウイルスの影響を大きく受ける飲食業界ではあるもののフードデリバリーは需要が高まっており、店舗にとっても店内の混雑状況に関係なく商品を提供できるため、コロナ収束後も伸びるのではないかと多田氏。

 menu 代表取締役社長の渡邉真氏によると、コロナ以前は約10兆円規模の中食市場においてフードデリバリーの比率は約3%程度だったものの、現在では需要の高まりにより多数の外資系企業の投資もあり、注目市場という。

 menuも大きく伸びを見せており、2021年から購入回数が急上昇していると渡邉氏。同社では、独自の取り組みとして人気漫画「ワンピース」とのコラボやそのオリジナルグッズが当たるアプリ内の「ガチャ」など、食事だけではない楽しみももたらす施策も展開している。

 当初は「テイクアウトアプリ」として売り出していたmenuではあるが、デリバリーに舵を切ったきっかけとして、その需要の大きさをあげる。当初からデリバリーへの参入も計画していたが、UberEatsなどの参入を受けて当初計画よりも早めて、2020年4月のテストに向けて対応をすすめていたところ、新型コロナウイルスの感染が拡大し大幅な需要増となったという。現在の需要としてはほぼデリバリーが占めているとした。

 渡邉氏は、将来計画は非開示としつつも今後の目標として、対応店舗数業界トップを狙うと語る。

 渡邉氏は「『面倒だからデリバリー』ではなく『せっかくだからデリバリー』と積極的に選んでもらえる未来を作りたい」と語る。

 多田氏は、今回menuと提携した理由として「ID連携してマーケティングをすると、グローバルで展開する外資系企業では対応が難しい。ID連携など深い取り組みができる日本のベンチャー企業となるとmenuしかなく、規模拡大のサポートも必要だったため両者Win-Winになる」と判断したためという。

 このほか、コロナ収束後の構想として、旅行先などでの次の目的地候補の提案など、リアル体験をスマートフォンを通じてサポートする取り組みも検討されているという。