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Google Playでのアプリの信頼性や安全性、開発者支援など最新の取り組みとは

 グーグルのデジタルコンテンツ配信プラットフォーム「Google Play」では、Android端末向けにアプリやゲームなどが数多く配信されてるが、アプリなどの安全性や信頼性はきちんと担保されているのか。また、アプリを開発しているデベロッパーに向けた支援策はどのようなものなのか。

 今回は、グーグルのGoogle Play パートナーシップ バイス プレジデントのPurnima Kochikar(パニマ・コチカー)氏からGoogle Play最新の取り組みを聞いた。

Google Playの世界展開

Google Play パートナーシップ バイス プレジデントのPurnima Kochikar(パニマ・コチカー)氏

 日本について、自身の出身地インドへの里帰り時に日本に経由し観光することがあるというコチカー氏は、「日本はモバイルコンテンツ市場が大きいだけでなく、さまざまなイノベーションが生まれている。ゲームの世界でも日本のIPコンテンツやアプリが世界中のユーザーを魅了し、C2Cと決済を組み合わせた「メルペイ」など新たな仕組みのアプリなどが誕生している。グーグルは、日本のデベロッパーのイノベーションを信じ、支持し続ける」とコメント。

 なお、世界のAndroid市場でも活躍がすすんでおり、月間25億台のアクティブデバイスと20億以上のアクティブユーザーに支えられている。

 特に昨年は、新型コロナウイルスによるパンデミックで、生活や人との関わり方に変化が生じ、ゲームやアプリがますます重要になってきたと指摘する。

 グーグルは、デベロッパーをパートナーと考えており、グーグルのプラットフォームやツールを提供し、デベロッパーの世界展開やその作業を簡単にできるよう取り組み続けているという。

信頼性・安全性

 Google Playでは、マルウェアなどユーザーに有害となるアプリは、ユーザーへの提供前に非承認となるなど、強力なセキュリティ機能を無料で提供している。これはAndroidを安全に使ってもらうための施策の一つとコチカー氏は指摘。

 また、プライバシーに関しては、信頼性と同等のものでデベロッパーとユーザー双方に重要なものと考え、ユーザーに最も信頼されるよう、世界のデベロッパーと協力し取り組んでいるという。

 グーグルの審査では、アプリでメッセージやSNS、位置情報などを使用する場合、その用途が適切と判断された場合のみアプリでの使用が許可される。また、それらがアプリ内で使用される場合は、事前にユーザーの許可を取得するようになっている。

 プライバシーを含めた安全基準は、継続的な審査とアップデートを行い、デベロッパーにもメールで通知。アプリに対して必要な更新を、安全基準の更新から30日以内に実施するようお願いしているという。

デベロッパー向け基準更新のオンラインセミナー

 デベロッパーに対して、グーグルでは2019年からオンラインセミナーを開催し、更新された基準について変更の理由を解説している。2020年からは日本語によるセミナーも開催している。

 日本のデベロッパーからは、直接日本語で質問し回答をもらえるため嬉しいというフィードバックがあったという。

 このオンラインセミナーは、日本国内すべてのデベロッパーに開放されている。

デベロッパー向けサポート

 グーグルは、ツールやリソースを提供することで、ディベロッパーの成長を手助けしてきたという。

 そのうちの一つが、Google Playのサービス手数料の引き下げ施策。グーグルは、7月1日からすべての開発者を対象に1開発者につき合計100万ドルまでの利益に対する手数料を15%に引き下げる。

 この施策によって、99%のデベロッパーが手数料が50%削減されるという。ディベロッパーによりイノベーティブで成長するビジネスを期待しての施策で、売上に関係なくすべてのデベロッパーに適用される。

 また、開発者のために役立つツール「コンソール」と開発言語「Kotlin」の取り組みをコチカー氏は取り上げる。

 開発者向けコンソールでは、よりユーザーフレンドリーなUI(ユーザーインターフェース)に更新。リリースステータスやポリシー変更などをまとめて表示するようになった。

 また、過去4週間の継続ユーザーの情報など、非常に役立つ情報を追加し、投資注力するかなど、デベロッパーの判断を助けるデータを提供開始した。

 開発言語「Kotlin」は、これまでの開発言語よりも簡素に記述できることが特徴。具体的には、検証時間の10%削減やコードの行数の20%削減を実現しているという。

 これらのツールの提供だけでなく、「学べ成長できる」時間がほしいという声をうけ、アプリ開発のセルフトレーニングプログラム「PLAY アカデミー」を提供している。

 また、世界各地のGoogle Play担当エキスパートによるその地域のビジネスに関する情報をアドバイスするセミナーも開催している。

Android Developers Japan Blogサイトより

日本から始まった取り組み

 日本から始まったユニークな取り組みとして、コチカー氏は「Google Play Point」を紹介。

 「Google Play Point」は、有料アプリやアプリ内課金、デジタルコンテンツの購入でポイントが貯まるプログラムで、2018年に日本でスタートした。現在は、日本国内で1000万人以上のユーザーが参加しており、米国を含む21の地域に拡大している。

 「世界190カ国で事業を展開しているグーグルにとって、1つの国だけのサービスを大規模に開発することはない」(コチカー氏)とし、日本市場を大事にしているからこそできるサービスだったとしている。

インディーゲームフェスティバル

インディーゲームフェスティバルサイトより

 グーグルが主催するインディーゲームのコンテストを、今年も開催される。

 入賞者には、AndroidやGoogle Playの最新情報に関するセミナーや勉強会などへ招待されるほか、海外展開におけるプロモーション支援などを提供。また、パートナー企業のタイトルを獲得した開発者には、そのパートナー企業から技術支援が提供される。

ClubhouseのAndroid展開は……

 コチカー氏は、招待制音声SNSアプリ「Clubhouse」(クラブハウス)についても言及。コチカー氏が聞いたところによると、クラブハウスのアプリ自体は、テストアプリのつもりでリリースしたとのことで、これが大ブームになってしまったという。

 Android版アプリの開発については、支援もしているという。Android端末でクラブハウスが楽しめる日も近そうだ。

【追記 2021/04/13 11:08】
資料画像などを追加しました。