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「メルペイスマート払い」若年層に広がりを見せるが、利用者/非利用者の認識ギャップなど課題も

メルペイ取締役COOの山本 真人氏(左)とニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員の久我 尚子氏(右)

 メルペイは、スマホ決済サービス「メルペイ」の後払い決済サービスについて、市場動向や利用実態、割賦販売法の改正との関わりなどを説明した。

メルペイ山本氏「透明性を高めることを意識」

メルペイ取締役COOの山本 真人氏

 メルペイ取締役COOの山本 真人氏は、EC市場における後払い決済サービスの決済額は年々増加しており、メルペイにおける後払い決済サービス「メルペイスマート払い」の利用者数も順調に拡大しているという。

 「メルペイスマート払い」のユーザー属性を見てみると、年代は20代が26.1%、30代が26.7%となり、20~30代ユーザーの利用が中心となっているほか、性別では男性44.4%に対し女性が55.6%で女性ユーザーが多く利用していることがわかる。

 「メルペイスマート払い」の特徴のひとつは、フリマアプリ「メルカリ」の売上金をスマート払いの代金に充てられること。利用者の半数以上が、メルカリの売上金をスマート払いの支払いに利用している。

 山本氏は、メルペイは「透明性を高める」ことを意識しているという。

 たとえば、毎月一定額を支払う「定額払い」では、シミュレーション機能で今後の支払金額をわかりやすく、それぞれの支払状況も確認できる。また、任意のタイミングで月の清算金額の変更が可能、清算方法も口座引落や銀行チャージ、メルカリの売上金の利用から選択できる。

 また、メルペイがユーザーに割り当てる利用枠に対して、ユーザーが利用枠以下の金額を限度額として定められる。与信の結果に対して自分で後払い利用をコントロールできる機能で、「ユーザーに安心を提供できる」(山本氏)としている。

割賦販売法の改正とメルペイが考える信用

 4月から、割賦販売法の一部が改定され、経済産業大臣の認定を受けることで、従来の一律の支払可能見込額調査を用いない与信ができるようになる。

 具体的には、ユーザーの年収や預貯金、クレジット債務などから支払可能見込額を算出し、この見込額をもとに利用限度額が決まっていた。

 改定後は、利用者データをAIが分析する「技術やデータを用いた与信審査手法」を採用できるようになる。

 メルペイでは、“勤務先”や“勤続年数”といった属性情報ではなく行動実績に基づいて「信用」を判断しているという。

 メルペイは、過去の「メルカリ」「メルペイ」の利用実績をもとに、AIが機械学習して「信用」(「メルペイスマート払い」の利用枠など)を提供しているという。

後払い決済サービスに関する実態調査

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員の久我 尚子氏

 メルペイは、「後払い決済サービスに関する実態調査」を3月13日~15日に実施した。ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員の久我 尚子氏監修のもと行われた調査で、全国の10代~50代の男女800人を対象にインターネットで実施された。

 調査によると、商品購入時の決済手段として「後払い決済サービス」は23.3%が普段利用していると答えた。トップ3は現金(91.8%)、クレジットカード(62.5%)、コード決済(44.6%)となった。

 コロナ禍における決済手段として、新型コロナウイルス感染拡大の前と比較して、キャッシュレス決済や後払い決済などを利用する頻度に変化はあったかを調査したところ、全体の約半数が頻度が増えたと回答。久我氏によると、特に若年層で増加傾向が見られたという。

 次に、後払い決済サービスの認知度については、1位に「NP後払い」、ついで「メルペイスマート払い」となった。世代別の認知率と利用率をみてみると、30~50代では「NP後払い」のほうが認知・利用率が高い一方で、10~20代ユーザーでは、「メルペイスマート払い」のほうが高い傾向が見られた。

 後払い決済サービスを利用しているユーザーと利用していないユーザーにそれぞれその理由を聞いた。利用している理由では、上から「支払うタイミングを調整できるから」「支払う前に商品を確認できるから」「利用金額を把握しやすいから」と続いた。一方で、利用していない理由は、「使いすぎてしまわないか心配だから」「利用金額を把握しにくいから」「メリットを感じないから」となった。

 このうち、「利用金額を把握しやすいから」(利用する理由)と「利用金額を把握しにくいから」(利用しない理由)がトップ3に並ぶ結果となり「利用する/しないユーザー間で真逆の認識を持っている」(久我氏)と指摘。

 山本氏は、「サービスを提供する側として気をつけていかなければいけない」とコメント。久我氏は「利用している人としていない人で認識ギャップがある。アプリを活用することで便利なサービスであることを訴求していくことで、ユーザーの裾野が広がるのではないか」と分析した。