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ドコモ、20年度第3四半期は減収増益、MNPは09年来の増加に

 NTTドコモは、2021年3月期第3四半期決算を発表した。営業収益は3兆5131億円で前年同期比で29億円の減収。営業利益は8218億円で前年同期比339億円の増益。減収増益となった。

 ドコモは、NTTの完全子会社2020年12月に、上場廃止した。これにより今後の決算は、NTTと同時に発表される。登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の井伊基之氏は「株主の皆さまにおかれましては、当社へのご理解・ご支援を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます」と述べた。

左からNTT 中山氏、澤田氏、谷山氏
左からNTTドコモ 小林氏、井伊氏、藤原氏

 通信事業での営業収益は2兆7352億円で前年同期比707億円減。営業利益は6440億円で前年同期比74億円減だった。一方、スマートライフ領域においては、営業収益が8080億円で前年同期比752億円増。営業利益は1778億円で前年同期比413億円増と増収増益だった。

 営業利益増減の要因としては、ユーザー還元の拡大やコロナ禍による国際ローミングの減少などで、モバイル通信サービスの収入が264億円減。光通信サービスなどは307億円増、そ金融サービスなどを含むその他の収入が609億円増。販売関連収入は681億円減で営業収益は全体として29億円のマイナスだった。

 一方、営業費用は、光通信関連含む費用などが増加したものの、端末販売関連費用が922億円の減。全体で368億円のマイナスとなり、営業利益としては8218億円でプラス成長だった。

ARPU

 ARPUは、4920円で前年同期比210円増。井伊氏は、新料金プランなど、ユーザー還元の影響などはあるものの、割引の減少やドコモ光の増加やなどの影響を受けたためと説明した。

 dポイントクラブ会員は、7967万会員へ成長。dポイント利用数は1824億ポイントで提携先での利用が前年同期比で48%増加。井伊氏は順調に拡大しているとした。

 5G契約数は141万で、年度末目標の250万に向かって順調に進捗しているという。ハンドセット解約率は0.39%だった。MNP数は、ahamoの発表や学割施策の影響でプラスに転じた。これまでMNP転入が転出を上回る状況が続いていたが、2009年1月来のプラスだったという。

 また、新たにドコモへMNP転入してくるユーザーは20代~30代の若年層が多く「キャリアに固執しない層がいいものを選んで動いてくれているのでは」と井伊氏は分析した。

 金融決済の取扱高は、5兆800億円。増減率者33%増だった。

ahamoは100万エントリーに

 ahamoは3月36日から提供開始する。井伊氏によると、事前エントリー数は100万を突破。対応端末は3月1日にあらためて発表するとした。

 5Gサービスとしては、ドコモでは、小田急電鉄と協業して「XRシティ SHINJUKU」を始めとして、卓球での新たな幹線体験などさまざまなソリューション提供へ向けて取り組んでいる。

 このほか、窓ガラスを介して室内にミリ波を誘導する技術やバーチャルイベント向けのプラットフォームなども開発しており、詳細は「docomo Open House 2021」で公開されている。

質疑応答では

 MVNOがデータ接続料や音声回線の卸料金の値下げを求めていることについての受け止めを問われた井伊氏は「音声卸料金は値下げする方向で考えている。研究会の意向も踏まえながら年度内に進める。加えて、音声接続サービスを新たに提供する予定」とした。

 携帯電話料金の値下げが進み、収益が悪化する一方で新たに金融サービスに力を入れていくというが、どういった部分で力を入れるのかという問いには「金融分野にはまだまだ余地がある」と井伊氏。すでに取り組んでいるd払いやdカードは、利用可能店舗が増えたとしても、決済回数や決済金額など他社に負けている部分は強化すると語る。

 加えて、d系サービスについては「負けているものは撤退も含めて考えなくてはいけない」と語り、今後詳細な発表があると明かした。

 米バイデン政権がこれまでの安全保障政策を引き継ぎ、ファーウェイをはじめとした中国企業への制裁が続く見通しの中、NTTにどのような影響があるかと問われたNTT 代表取締役社長の澤田純氏は「いろいろな取組は基本的に同じ。経済安全保障という切り口では、これまでどおりで大きく変化はないのではないか」とした。