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ドコモの20代向け新プラン「ahamo」、井伊社長「20代のライフスタイルにあわせたプラン」

発表会と新プランの主な仕様をまとめた

 NTTドコモは、20GBのデータ容量が月2980円(税抜、以下同)で利用できる新料金プラン「ahamo」を2021年3月に提供開始すると発表した。

NTTドコモ代表取締役社長 井伊 基之氏

 新プランの発表会には12月からドコモ代表取締役社長に就任した井伊 基之氏が登壇。新プランを作成した若手チームの代表2人とともに、新プランを含めた今後のドコモの料金戦略を説明した。

 なお、新料金プラン「ahamo」の主な仕様は、本記事後半で説明する。

「Premier」「New」「Economy」

 井伊氏は、9月の社長交代人事発表会見時に「新しいドコモを創業する」として5つの項目を上げていた。今回の新料金プランはこのうちの2つ目にある「あらゆる年代から支持されるサービスと価格を提供します」にあたるものと井伊氏は説明する。

 ドコモではこれまで、“家族全員で”お得に使える料金プランや、全国のドコモショップを通じたサポートを提供してきたという。

 一方で、コロナ禍でリモート型社会へのシフトが加速し、コミュニケーションや購買行動がオンラインに移ってきていると指摘。主に20代のライフスタイルに合わせた料金プランを、コンセプトから検討したという。

 そこでドコモは、ユーザー一人ひとりのライフスタイルに合わせた「Premier(プレミア)」「New(ニュー)」「Economy(エコノミー)」3つのコンセプトで、今後料金プランを展開していく。

 「Premier(プレミア)」は、ドコモショップなどのサポートが充実した小容量~大容量までをカバーするコンセプト。これまでの料金プランは「Premier」に分類され、“家族でお得”なプランを展開していく。

 「New(ニュー)」では、中容量でシンプルかつオンラインに特化したコスパ重視の料金プランを展開する。今回発表する新料金プラン「ahamo」はこの分類になる。

 「Economy(エコノミー)」は、小容量で超低廉な料金帯を指している。この分類の料金プランは、ドコモでは提供せずに、MVNO各社と連携を図りながら展開していくという。

「Premier」の料金プラン見直しは12月中に発表

 なお、既存の料金プランが分類される「Premier」内も料金プランを再編する。ドコモショップの手厚いサポートをこれまで通り受けられ、月々の使い方にフィットしたシンプルな料金プランに見直すとのこと。

 「Premier」の新料金プランは、12月中に発表するとしている。

「New(ニュー)」の新料金プラン「ahamo(アハモ)」

2980円で20GB・海外ローミング・5分の国内通話を提供

 「New(ニュー)」には、今回発表された新料金プラン「ahamo」が分類される。

 データ容量は20GB、容量経過後の速度制限は最大1Mbpsで、データ容量は1GBあたり500円で追加できる。

 通信サービスは、ドコモの4Gと5Gが利用できる。通信はドコモのこれまでのネットワーク品質と変わらずに利用できる。

 また、海外での国際ローミングも追加料金無しで利用できる。4Gはもちろん通信会社とドコモとの契約により5G通信にも対応するとのこと。このほか、5分以内の国内通話を無料で提供する。

 利用料は月額2980円、期間限定価格ではなく、解約金や事務手数料も必要ない。端末はドコモで購入できるほか、ユーザー自身の持ち込み端末も利用できる。

20代ユーザーがターゲット

サービスデザイン部の佐々木 千枝氏(左)とマーケティング部の髙山 賢人氏(右)

 続いて、新料金プランの立ち上げチーム2人による、「ahamo」のコンセプトを説明した。登壇したのは、同社マーケティング部の髙山 賢人氏と、サービスデザイン部の佐々木 千枝氏。

 髙山氏によると、「ahamo」は20代ユーザーをターゲットに料金プランを立ち上げたという。

マーケティング部の髙山 賢人氏

 新プランは、携帯電話の契約を家族からユーザー個人の契約に移す機会となるユーザーや、すでに家族と分けて回線契約するユーザーをターゲットにしている。

 20代のモバイルユーザーにとって、既存の料金プランは複雑かつ分かりづらいものとなっており、家族で使うユーザーにメリットがあるプランになっていると指摘。

 そこで、個人として生活していくユーザーにぴったりな料金プランとして「期間限定や特別な条件がないシンプルでわかりやすい」「一人でもお得」「余計なものがない」料金プランを立ち上げたとのこと。手続きもオンラインで完結し、販売する端末のプリインストールアプリも厳選し、ユーザーがカスタマイズしやすいようにするという。

オンラインで完結する申し込みサイトやアプリ

サービスデザイン部の佐々木 千枝氏

 サービスサイトやアプリを担当したという佐々木氏は、オンラインで「申し込み」「機種変更」「各種設定」まですべてオンラインで簡単に完了できるサイトやアプリを開発できたという。

 必要な情報を正しく伝えかつ、簡潔でわかりやすいUIやUXの設計を、組織の垣根を超えて若手社員を中心に設計していき、評価の段階では実際にデジタルネイティブ世代に触ってもらい繰り返しテストしたとのこと。

 契約は、端末とセットとSIMカードのみの契約もできる。本人確認は、eKYCに対応し、申し込んでから数日後に宅配便で受け取れる。

 また、故障や紛失対応はアプリで対応できるとし、サービス開始までにさらに磨きをかけるという。

「ahamo」へ切り替え、最初はMNPの手続きが必要

 新料金プラン「ahamo」は、2021年3月に提供開始する。提供開始に先立ち、12月3日から先行エントリーキャンペーンを開催している。提供開始日(未定)前日までにエントリーした上で、2021年5月末までに「ahamo」を契約すると、3000円分のdポイントが付与される。

 契約手続きは、専用のWebサイトでのみ受け付ける。

 なお、ドコモユーザーが既存プランから「ahamo」に切り替える場合、サービス開始日から2021年5月までは、他社からのMNPなどと同様の手続きが必要になるという。解約金や手数料は発生しない。

 これに関し井伊氏は、「システムの改修が間に合わないため」と説明している。

質疑

 発表会後の質疑には、井伊氏のほかマーケティング部長の川崎 博子氏と料金企画室長の田端 智也氏も登壇した。

――20GBで2980円という料金に関して、思い切った設定だと思うが、この金額は、政府の意向を踏まえてのものなのか。

井伊社長

井伊社長
 ドコモは中容量層が弱く、20GBの層にぴったりのプランがなかったために新料金プランを設定した。他社との競争には、競争力のある価格設定をする必要があったためにこの価格設定になった。政府の要請というよりは競争戦略としての価格設定。

――政府の値下げ要請に関しての思いは。

井伊社長
 コロナ禍で携帯やスマホの活用が進むなか、より良い価格設定をしてほしいという国の声を政府は代弁していると理解している。民間企業の価格戦略に口を出しているのではなく、競争の促進につなげていると思っている。

――新プラン「ahamo」は、当初サブブランドとして検討していたものか?

井伊社長
 あくまで料金プランの一つ。そもそもブランドというものは、ユーザーが価値を決めるもので、こちらが20代のブランドなどと決めるのはおこがましいことであると思っている。

 当然、プラン変更のみで利用でき、このほかも複数のプランを作っていきたい。今回の新しいプランは、20GB程度の中容量層をカバーするためのもので、サブブランドありきで展開するものではない。

――新プランの料金に対して、他社も追随してくると思うが、プランの値下げなどはありうるのか。

井伊社長
 他社の動向に関するコメントは差し控えるが、「ahamo」は単純に20GB2980円という料金だけでなく、「ahamo」のコンセプトに賛同してもらえるようなものにしていきたいと思っている。

――新しいドコモを作るということで、12月から(井伊社長が)就任したが、12月末にNTT(持株)の完全子会社化となり体制が変わるが、シェアが下がり続けていく中で今後の意気込みなどはあるか。

井伊社長
 3番手と言われないようにしていきたい。ユーザー数よりも売上と利益の数字に注力していく。

 ユーザーには、今回のプランを始めとした低廉なサービスを展開していくほか、付加価値サービスや企業向けソリューションを充実させていきたい。

 通信料金は今後も全体的に低廉化してくるので、通信料金以外のサービスなど、ニューライフ、ニュースタイルにあったサービスを提供していく。

――「エコノミー」のコンセプトでは、MVNOと連携していくとあるが、具体的に検討しているものはあるか。

井伊社長
 これから検討する。「エコノミー」は、「料金が安いこと」を最優先にした料金帯で、MVNO事業者が実施している事業とどのように連携していくか現在検討している。

 具体的には何も決まっていないが、dポイントの連携や、ドコモとの連携でユーザーの利便性が高まるようにしたい。

――新プランについて、20代向けとはいえ年齢制限を設けないようだが、シニア層がドコモショップに「ahamo」に切り替えたいと駆け込んできた場合、断ることができるのか。

井伊社長
 なるべく人と関わらずに手続きできる料金プランとなるため、手続きはオンラインのみに限定する。

 ただし、オンラインで手続きできないユーザーを「だめです」と断るわけにはいかないので、何らかの対応が必要になると考える。対応は今後検討していきたい。

――5Gが本格普及すると、20GBでは足りないユーザーが出てくると思う。これらのユーザーを「Premire」に取り込むことを考えているのか。

井伊社長
 時代に合わせて、料金プランを見直していくことは必要だと考えている。

 「ahamo」のコンセプトをもとに、ユーザーにブランドを育てていってもらいたい。

――ネットワークは既存のドコモ回線と全く同じなのか。機種変更時やプラン変更時には、既存のSIMがそのまま使えるのか。

マーケティング部長 川崎 博子氏

井伊社長
 既存のものと同じ通信サービスを提供する。

川崎氏
 事務手数料や変更手数料は不要。SIMに関してもこれまでと同様の取り扱いで、既存プランと違いはない。

――機種ラインアップは、どのようなものを考えているのか。MVNOのような安価なプランやiPhoneの取り扱いはあるのか。

井伊社長
 具体的な機種は未定。当然安価な端末や人気のある端末などを絞り込んで、コンセプトに合う端末を展開していきたい。

――20代に弱かったということだが、「ahamo」の展開に至った経緯は。また、「Premier」「New」で容量が重なっている部分があるが、一物二価にならないのか。

井伊社長
 20代は10年後に30代、20年後に40代となり、今20代ユーザーの競争に負けてはダメだという危機感があったため、ドコモとしても20代のユーザーを取り込みたいという強い思いがあった。

 若手から汲み取ったわけではなく、経営的判断で20代向けのプランを検討した。検討の段階で、我々の世代よりも、若手の社員に託したほうがよりよいプランを設定できると考え、若手チームに託した。

 また、シニア層に対しては、ドコモのシェアが高いことから3Gからの移行や、スマホ教室、価格面での寄り添いなどを行っており、一物二価とはならないと考えている。

ahamoの主な仕様

 「ahamo(アハモ)」は、データ容量が20GB、月額料金が2980円。

 料金プランには、1回あたり5分以内の国内通話が含まれているほか、月額1000円の国内通話かけ放題オプションを用意する。ネットワークはドコモの4Gおよび5Gネットワークが利用できる。データ容量超過後の速度制限は、最大1Mbps。

 海外82の国と地域でもデータ容量内であれば追加料金なく利用できるほか、契約期間や解約金の設定はない。ただし、キャリアメールは提供しない。テザリングは追加料金なしで利用できる。

 新規契約事務手数料、機種変更手数料、MNP転出手数料は無料。1000円の利用につきdポイント10ポイントが貯まる。なお、ファミリー割引、ドコモ光セット割、dカード割は、いずれも「ahamo」へプランを切り替えると、すぐ適用外になる。

 また、クレジットカードの「dカード」「dカードゴールド」に付随するポイント優遇進呈といった特典については検討中。

新料金プラン「ahamo」
月額料金2980円/月
データ容量20GB/月
追加データ容量500円/1GB
容量超過後の速度制限最大1Mbps
ネットワークドコモ4G/ドコモ5G
海外ローミング○(追加料金無し)
海外82の国と地域
15日間を超えた海外長期滞在時は速度制限あり
テザリング○(追加料金無し)
キャリアメール×
無料通話5分/回
SMS・0570サービスなど対象外
通話定額オプション1000円/月
年齢制限契約者:20歳以上
利用者登録は20歳未満も可
申し込み方法オンラインのみ(Web・アプリ)
割引の適用以下はいずれも割引対象外
ファミリー割引
ドコモ光セット割
dカード割