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スマホで操作できる水上ドローン、KDDI総研と大阪府立大が開発
七尾湾で実証実験
2020年11月19日 13:04
KDDI総合研究所と大阪府立大学は、スマートフォンで遠隔操作できる水上ドローンを開発した。ロボット技術で漁業を効率化することを目指す。長時間、稼働するよう水素燃料電池が搭載され、開発にあたっては日本海工が協力した。
11月から石川県七尾湾で開始された実証実験では、4G LTEに接続するスマートフォンの画面操作で、水上ドローンに搭載されたカメラの映像を見ながら操作するリアルタイム制御と、事前にスマートフォン上で作成した航路に従って自律航行する自律制御の評価を行い、実際の漁場から離れた自宅や事務所などの遠隔地から水上ドローンを制御し海洋環境の調査が可能か検証する。
また、広域な海洋環境データの連続測定を実現するために、電源として搭載した水素燃料電池の連続航行可能時間や、他の電源との性能比較、安全性の評価・検証も行う。
水上ドローンの特徴
水上ドローンは四つの船体を有し、各船体を独立的に制御することで船体の定点保持や急旋回といった特徴的な動作が可能。さらに航行時と海洋環境データの測定時で異なる形態を有し、用途に応じた選択ができる。
また、従来の単胴船に比べ横波などによる転覆の危険性も低く、自律航行する際の安全性も考慮した設計になっているとしている。
スマートフォンによる水上ドローンの遠隔制御
スマートフォンの画面操作により水上ドローンの前後進・左右旋回や形態変更など各種制御が可能。
また、ユーザーは水上ドローンが搭載するカメラ映像をスマートフォンの画面上で確認しながら遠隔制御ができると同時に、水上ドローンの位置などを含む各種センサ情報を確認することができる。
スマートフォン操作による自律航行航路の作成
スマートフォン画面に表示される地図/衛星写真上を、水上ドローンを自律航行させたい航路を指でなぞることで自動的に航路情報を作成できる。
作成した航路情報を4G LTE通信で水上ドローンへ転送することで自律航行が開始し、現在地などの各種情報をスマートフォンの画面上で確認することも可能。
水素燃料電池の概要
水上ドローンに搭載する水素燃料電池は飛行ドローン向け製品を採用している。小型・軽量ながら最大連続出力800Wの性能があり、水上ドローンへ十分な電力を供給することが可能。
水素ガスボンベにはカーボンFRP(Fiber Reinforced Plastics)容器を採用することで軽量化を図り、同重量のリチウムイオン電池の4倍以上の電力を貯蔵できる。
今回、搭載されている水素燃料電池と水素ガスボンベのシステム重量は約10kg(ケース重量除く)でありながら、4kWhに相当する電力を貯蔵できる。リチウムイオン電池の場合、4kWhのシステム重量は40kgとなり、水素燃料電池システムの約4倍の重量となる。