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KDDI総合研究所、世界初のH.266|VVC対応の4Kリアルタイムエンコーダを開発

 KDDI総合研究所は、最新の国際標準映像符号化方式「H.266|VVC(Versatile Video Coding)」に対応した4Kリアルタイムエンコーダの開発に世界で初めて成功した。

 近年4Kや8Kといった高精細映像や高ダイナミックレンジ映像、高解像度の360度映像などが撮影されており、映像の表現力向上にあわせてデータ量が膨大になってきているという。

 現在広く使われている「H.265|HEVC(High Efficiency Video Coding)」は、2013年に規格化された映像圧縮符号化標準。新4K/8K衛星放送などの運用規定にも採用されている。

 同社は、品質を維持したままデータ量を削減するため、HEVCを超える映像符号化方式として、2017年からVVCの国際標準化活動を行ってきたという。

 VVCは、4K/8Kの映像のほか高ダイナミックレンジ映像や360度映像に対しても圧縮性能を向上できる。HEVCと比較して2倍の圧縮性能をもつが、映像圧縮の際の処理負荷がHEVCと比較して約10倍に増加することから、このエンコード処理が課題になっていた。

 同社では、VVCの実現に有効な高速化処理および並列化処理技術を考案。この技術を利用し、VVCに対応した4K/60fpsのリアルタイムエンコーダを世界で初めて開発した。

高速化処理
並列化処理

 開発したリアルタイムエンコーダを活用すれば、スポーツや音楽イベントなどの4Kライブ映像を、テレビやタブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスで視聴できるようになる。また、回線帯域の制限で低解像度の映像伝送で実現していた遠隔作業支援システムに導入することで、より臨場感のある映像を伝送できる。

適用イメージ

 同社では今後、高解像度や高フレームレートへの対応、更なる圧縮効率の向上に取り組む。また、同社の映像伝送機器などの映像関連製品への導入も検討するとしている。