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KDDI総研とTelexistence、遠隔操作ロボットの映像伝送で50ミリ秒の超低遅延伝送を実現

 KDDI総合研究所とTelexistence(テレイグジスタンス)は、Telexistenceが開発する遠隔操作ロボットで、ロボットのカメラと操縦者のディスプレイ間の映像遅延が50ミリ秒を実現したことを発表した。

 遠隔操作ロボットのカメラから、映像が操縦者側のディスプレイに表示されるまでの、エンドツーエンドの遅延時間が50ミリ秒となるのは業界最高水準だという。なお、映像伝送におけるエンドツーエンドの遅延がおおよそ100ミリ秒を超えると、視覚と操作のずれを大きく感じるようになるとされている。

 伝送遅延を改善することで、操縦者のVR酔いを低減し長時間の遠隔操作が可能になるほか、動きの速い対象物に対する正確な操作や身体的直感に即した操作も容易になるという。

 両社によると、映像の伝送遅延はロボット側におけるカメラからの映像取得と映像圧縮、ネットワーク遅延を含む映像データの伝送、操縦者側における映像伸長と表示の3つに起因するため、映像伝送システムの開発では、撮影から表示までの全てのプロセスにおける徹底的な最適化が重要だという。

 Telexistenceの遠隔操作ロボット用映像伝送システムにおいて、KDDI総研の映像パラメータや処理フローの最適化技術とTelexistenceのロボット用映像機器の実装および最適化技術を活用し、小型かつ安価な機器構成で50ミリ秒の超低遅延映像伝送を実現した。

 テレイグジスタンスとは、自分自身が現存する場所とは異なる場所に実質的に存在し、その場所で自由に行動するという人間の存在を拡張する試みで、東京大学名誉教授の舘暲氏が1980年代に初めて提唱した技術概念。Telexistenceは2017年1月に設立され、テレイグジスタンスを提唱した舘氏は同社の会長を務める。KDDIは2017年5月より同社に対して、ベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて出資を行っている。

 両社は今後、今回の連携に加えロボットへの画像認識技術の応用などにおいても連携を図り、日常における生活体験の向上をめざす取り組みを進めていく。