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ネットフリックスが日本上陸から5周年――22年末までにさらに15オリジナル作品を配信へ

 ネットフリックスは、2015年に日本でのサービスを開始してから5周年を迎えた。

 ネットフリックス 最高執行責任者兼最高プロダクト責任者のグレッグ・ピーターズ氏は自らも東京で日本サービス立ち上げに関わったことを紹介。日本の配給会社や支払いの仕組み、作品の翻訳の正誤など多くの課題に直面したことを明かし「会員が喜ぶサービスを提供し、期待に応えていきたい」とコメントした。

 5年という節目を迎えた2020年、ネットフリックス コンテンツ・アクイジション部門 ディレクターの坂本和隆氏がこれまでの取り組みやネットフリックスの今後について語った。

左=ネットフリックス 坂本氏 右=「今際の国のアリス」監督 佐藤信介氏

伸びる動画配信需要

 ネットフリックスは1997年に米国で誕生した。当初は、会員の自宅にドラマや映画のDVDを郵送するサービスからスタートした。現在のような映像ストリーミングサービスを開始したのは、誕生から10年後の2007年だった。

 ストリーミングは当初米国からスタート。その後世界に展開を進めてきた。同社が日本へ展開したのはちょうど5年前の2015年9月。北米や南米、欧州を中心にサービスを展開していたネットフリックスにとっては、日本が最初のアジア進出国となった。

 坂本氏は「当時はまだ動画配信の認知度が低い中、いちチャレンジャーとしてのサービス開始だった」と当時を振り返る。2016年にはグローバルローンチ、世界190カ国でサービスを展開し、現在では日本国内で500万人、全世界で1億9300万人の会員を抱える巨大サービスへと成長した。

 日本国内における動画配信サービスの国内市場規模は、2019年時点で約2770億円。ネットフリックスの日本参入当時の2015年の約1410億円からおよそ2倍の伸びを見せており「サービスも増え、多様化している。市場規模拡大と同時にユーザーが定着していることも伺える」と坂本氏は分析した。

オリジナル作品を強化

 ネットフリックスの特色でもあるオリジナル作品。「House of Cards」(ハウス・オブ・カード)をきっかけに興味を持った人も多いのではないかと坂本氏。同作品は、ネット配信で公開されたものとしては初めてエミー賞を獲得した。

 ネットフリックスが、スタジオ機能の内製化やローカル化を進めている理由を坂本氏は「クオリティの高い作品を届けるため」と語る。サービス開始当初は作品制作よりも配信権利を預かることに重きをおいていたが、ここ数年はアニメ制作会社やクリエイターと作品制作に取り組む機会も増えた。

「泣きたい私は猫をかぶる」より
「バキ」より

 ネットフリックスは現在、日本で制作された50以上の作品を全世界で配信している。一例として「泣きたい私は猫をかぶる」は世界30カ国でTOP10入りを果たしており、「バキ」についても50カ国以上の幅広い国で評価を受けている。

 今後2022年末までに実写オリジナル作品を15作品以上配信予定としている。2023年以降の企画についても、鋭意製作中であり、坂本氏は「これまでにないスケール、世界観、テーマで作品作りにチャレンジしていく」とした。

グローバルなネットフリックスに期待

 ネットフリックスオリジナルシリーズ「今際の国のアリス」の監督である佐藤信介氏はネットフリックスでの印象をこう語る。

 「ネットフリックスの作品を作るというと、データに基づいた決定がなされているという記事を読んだことがある。しかし、実際に自分で作ってみるとそのようなデータによる話し合いは一切なかった」。どうしたら面白くなるか、というエンターテイメントの真髄を話し合ったというのが佐藤氏の現場での実際の体験だという。

 さらに「全世界で同時に配信するというのはなかなか無いことだった。家庭ですぐに見れるというのは大きい。特にアメリカでは家庭に浸透しており、私の作品を見たというタクシードライバーと盛り上がったこともある。国の垣根を超えたリアクションは我々の刺激になるし、スタッフもいろいろな国のクリエイターと仕事をしたいという人も多く、そういうところでもグローバル化が進むと良いと思っている」と今後のネットフリックスへの期待感を語った。