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「モトローラはワクワクしてもらえる商品を提供する」、松原新社長が語るモトローラ日本法人の戦略とは
2020年8月25日 11:00
8月25日、モトローラ・モビリティ・ジャパンは、エントリーモデルとなる新たなSIMロックフリーのAndroidスマートフォン2機種を発表した。
折りしも、この7月には、同社代表取締役社長に松原丈太氏が就任したばかり。新たに松原氏がリードすることになったモトローラ日本法人は、今後、どのような戦略で、どんな製品を提供していくことになるのか。話を聞いた。
エントリーモデルを2機種
今回発表された「moto g8 power lite」「moto e6s」の2機種は、どちらも、初めてスマートフォンを手に取るようなユーザー層に適したエントリーモデル。
モバイルデバイス事業のプロダクト・マネージャーの島田日登美氏によれば、今春登場したg8ファミリーのラインアップをさらに拡充し、多様なユーザーニーズにあわせていく考え。
「e6s」は、2年前に登場した「moto e5」の後継モデルで、最近まで好評だった機種ということもあり、発売されることになった。スマートフォンを初めて手にしてやってみたいこととして、SNSやWebブラウジングというニーズが一定数あることから、安定して使えるスペックを搭載。カメラも2眼として、写真も楽しめるようにした。
松原社長は「g8 power liteは、バッテリー容量を特長としたモデル。カメラや実用性は十分なレベルにありつつ、ユーザーとして気になるポイントの上位にあるバッテリーの持ちに対して、適したモデル。一方のe6sはお求めやすさにフォーカスしたモデル。安くて、なおかつ安定してお使いいただけるよう品質の高さを継承した」と解説する。
モトローラのスマホが日本に登場するまでの流れ
グローバルで製品を展開するモトローラだが、日本市場にはどのような流れで、登場する製品が決まるのか。
松原氏は「日本からのニーズだけ、あるいは開発側からの考えだけで商品の方向が決まるわけではない。開発時には、世界の各地域から価格帯やカメラのスペックなどのニーズを報告し、製品企画がスタートする。その後、市場ごとのニーズが取り込まれたり、ある程度、手が加わったりして製品化に至る」と説明。
特に日本市場については、「モトローラにとって最も重要な市場のひとつになっていく。今後ニーズが反映される」と解説する。
現在の日本市場と新型コロナの影響
2020年、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの店舗が営業時間を短縮したり、営業を自粛したりする状況になった。たとえば家電量販店の販売時間が短くなれば、当然ながら、そこで扱われるモトローラ製品の販売数にも影響が及ぶ。
松原氏は、影響は受けたことを認めつつ、今春以降、ラインアップを拡充してきたg8シリーズでは、たとえば「moto g8」は計画通りに推移したと説明。カメラに特徴を持つ「moto g8 plus」も調子が良かったとのこと。今後は法人向けにも注力すると語る。
また、電気通信事業法の改正で、携帯電話端末の価格に対する割引が2万円までと上限が課せられる中、「価格に対して製品がどういう価値を持つのか、お客さまからはよりシビアに見られるようになった。メーカーとしてはチャンスとも捉えられる。より良いものをきちんと出せる。その一方で、買い替えサイクルは長期化していることもある」と松原氏は分析する。
3つの軸で
これまでのモトローラ製品は、値ごろ感があり、なおかつ、スペックもきちんと揃えた機種をラインアップ。一定数のファンを獲得するに至った。
松原氏は、その路線は今後も拡充しつつ、さらに2つの軸を打ち出していく方針を明らかにした。
たとえば、モトローラでは、海外で折りたたみタイプのスマートフォンとして「razr(レイザー)」を提供している。razrが日本で登場するかどうか、松原氏はコメントを控えつつ、「いろんなものにチャレンジしたい。売りやすい商品だけではなく、モトローラを象徴的に体現する製品を届けたい」と今後に向けた展望を語る。
日本市場で求められるFeliCaなどの機能については「日本のお客さまのニーズを取り込んだ製品も、いつとは言えないが、出していければと考えている」と説明。
ワクワクする製品、そして日本市場にマッチした製品は、2020年、ユーザーからはおぼろげながらも見えるように進めていければと松原氏は語り、2021年にはこれまでと違う路線と感じてもらえるような製品の投入を示唆。
特に日本市場については、松原氏は「自分ひとりでは何もできない。チームとしてどんどん拡充していく」と説明。今回、松原氏が社長就任したこと、そしてモトローラ・モビリティ・ジャパンとしても人員を拡大していることから、組織的にもモトローラが日本市場に注力する方針であることがうかがえる形となっている。
2020年度は前年度の倍以上の製品投入を計画、5Gにも
そこでモトローラは、日本市場に2019年度の倍以上の製品を、今年度投入していく計画だ。
松原氏は「これまでも良い製品を手掛けてきた」と自負を見せつつ、「スマホビジネスは総合力での勝負」とも説明。たとえば販路の拡充、アフターサービスの充実、マーケティングなどに投資していく考えを明らかにした。
これまでのモトローラが続けてきた、品質と価格のバランスの取れた製品作りは継続しつつ、販売チャネルとの協力関係にも注力する一方、メーカーとしてユーザーからの支持をさらに拡大させるような取り組みにも力を注ぐ方針を示す。
5Gについても、グローバルでは先駆者として対応機種を提供している。「MVNOさんのお考えなどもあり、モトローラだけではできないこともあるが、担える分野は頑張りたい」と述べ、SIMフリー端末でも5Gネットワークが利用できる環境になれば、すぐにでも製品を提供したいと意気込む。
中国メーカーが次々と参入するなか、「切磋琢磨しながら良い商品がお手頃な価格で登場することは良いこと」と述べ、他社との競争が市場全体の盛り上がりに繋がると松原氏。前社長のダニー・アダモポウロス氏は、日本だけではなく他地域の市場についても担当していた。松原氏が社長となったことは、モトローラが日本市場にフォーカスする体制をより鮮明に打ち出したことになる。今回はエントリーモデルの発表だったが、今後、モトローラならではのハイエンドモデルや、独自性のある機種が国内でも発売されるかどうか、注目が高まりそうだ。