ニュース

リモート観戦を盛り上げる、名古屋グランパスエイトとKDDIが公式アプリを開発

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、Jリーグでは7月現在、収容人数を5000人に限定して試合を開催している。そのなかで、名古屋グランパスエイトとKDDIは、リモート観戦のサポーターにも楽しんでもらおうと、クラブ公式アプリを開発した。

 また、18日の名古屋グランパスエイトホーム戦からビデオチャット機能などが利用できるようになる。

新型コロナで観戦スタイルが変化

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、観客数を制限しているJリーグ。ファンサポーターの多くは、スタジアムではなく自宅など離れた場所からリモート観戦を通じて応援するが、これまでスタジアムでの熱狂的な応援を自宅で再現することは難しかった。

 名古屋グランパスエイトとKDDIは、今年2月からスタジアム観戦を5Gを利用した新しいサービスを展開予定だった。新型コロナによりスタジアム観戦が困難となったことを受け、スタジアム観戦から自宅などリモート観戦でいかにチームやサポーターが盛り上がることができるかという点に方針転換を行ったという。

 Jリーグの試合はDAZNが独占的に配信しており、サポーターの多くはDAZNの配信でリモート観戦を楽しむ。チームでは、このDAZNによる配信に組み合わせる形でサポーターがより楽しむことができるようなアプリを開発した。

DAZNでは配信されないスタジアムでの光景

 名古屋グランパスエイト 専務取締役の清水克洋氏によると、DAZNでは、試合の映像は配信されるが選手がウォーミングアップする光景やスタジアムの大型ビジョンの映像などはなかなか楽しみづらかったと話す。これらの光景は、スタジアムでの観戦ならではの楽しみ方で、サポーターはウォーミングアップの姿から、試合までに徐々に気持ちを高めていく。

 同アプリでは、これらのウォーミングアップの風景や、大型ビジョンの映像を配信する。リモート観戦でもスタジアムならではの映像を楽しめるという。

 なお、Jリーグの規定でこれまではウォーミングアップなどスタジアムの配信はDAZNのみ配信ができ、クラブチームであっても試合中や前後の映像の配信ができなかったという。新型コロナをきっかけに、この規定が見直され、今回の配信につながったとしている。

ファン同士のビデオチャットやテキストチャットで観戦を盛り上げる

ライブチャットによる双方向コミュニケーションのイメージ

 18日からは、ファン同士のビデオチャット機能が利用できる。当面はファンクラブ会員に先行で提供するが、今後離れた友達同士や互いに知らない人同士とのマッチングシステムも導入予定。

 テキストチャットでは、ゴールシーンなどで自分の感動を共有し、より試合観戦を盛り上げることができるという。

 また、チャットでの盛り上がりをスタジアムの大型ビジョンなどでも演出する。リモート観戦中のサポーターだけでなく、スタジアムにいるサポーターや選手も一体となって盛り上げられるとしている。

 チャットはアウェイ戦でも提供するため、ホームゲームでなくてもより熱い応援ができる。

今後は5Gを活用した最先端の観戦を提供

 コロナ収束後に5Gならではの観戦スタイルを提供すると語るのは、KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 5G・xRサービス戦略部長の繁田光平氏。

 スタジアムはすでに5Gエリアになっており、ARグラスを利用して観戦すると、エフェクトでの演出やゴールシーンなどのリプレイをすぐに再生できるサービスを展開予定だという。

 今回は5G端末ユーザーでなくても楽しめるようなアプリを提供。リモート観戦では、スマホだけでなくパソコンや大型テレビでの観戦などさまざまな観戦方法があるため、それらとは切り分けたコンテンツにすることになったという。

 また、新型コロナを鑑みリモート観戦が主流になったことで、アプリの開発方針も大きく変わったという。リモート観戦サポーターがスタジアムにあたかもいるような体験や、複数人いっしょに応援できる環境を演出することを念頭にアプリを開発したとコメント。

今後はさまざまなスポーツ観戦で活用

 同アプリは、現在名古屋グランパスエイトと共同で実現したが、この取組を成功モデルとして、ほかの地域や野球などサッカー以外のプロスポーツにも展開していきたいという。

18日のアプリ利用期間

 同アプリでは試合映像は配信されないが、試合開始前のウォーミングアップなどの映像配信を行う。

 18日は名古屋グランパスエイトとサガン鳥栖との対戦、キックオフは18時を予定している。アプリでの配信はキックオフ前が16時40分ごろから、試合終了後は30分程度配信を予定している。

 ファン同士のビデオチャットなどはファンクラブメンバー限定だが、テキストチャットの閲覧などはファンクラブに入会していなくても利用できる。