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WCPと日通ら、5Gを活用したスマート物流の実現に向けた実証実験を実施

 Wireless City Planning(WCP)と日本通運は、シャープおよびソフトバンクと協力し、物流の効率化によるスマート物流の実現に向けた実証実験を開始した。実証実験は2月下旬まで実施する。

実験全体のネットワーク構成図

 実証実験は総務省の「多数の端末からの同時接続要求を処理可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」において、第5世代移動通信システム(5G)およびLPWA(Low Power Wide Area)規格であるLTE Cat.M1などを活用して行われる。

 WCPと日本通運は1月下旬より、日本通運の江古田流通センター(東京都練馬区)および奈良ロジスティクスセンター(奈良県大和郡山市)で、ソフトバンクが開発した可搬型5G設備「おでかけ5G」や、LiDARセンサー、Cat.M1を採用した温度センサーなどを活用し、トラックの積載状況の可視化および荷室への積み込み判定、荷物の温度状態や積載状態の確認を行う実証実験を実施した。

「おでかけ5G」の基地局

5GやMECサーバーを活用したトラックの積載状況の可視化および荷室への積み込み判定

 トラックの荷室の空き状態を可視化するため、LiDARで取得した荷室の点群データをソフトバンクが開発した可搬型5G設備「おでかけ5G」のネットワークを用いて、トラックと遠隔地にいる管理者へ伝送。5Gの大容量通信とMEC(Multi-access Edge Computing)サーバーを活用し、荷室の点群データのリアルタイムな伝送・解析が可能になった。

 また、荷物に高頻度でデータを伝送するセンサーを取り付け、センサーの加速度データおよび位置情報データを基に、荷物が荷室へ積み込まれたかどうかを判定する検証を行った。

 今後、積載率の低いトラックを可視化し、空いているスペースの有効活用の検討が可能になることや、ドライバーによる積載状況の確認作業を省力化することが期待されるという。

Cat.M1のセンサーを活用した荷物の温度状態や積載状態の確認

 遠隔地から荷物の温度を確認するために、Cat.M1を採用した温度センサーを荷物に取り付けてトラックに積み込み、走行試験を行った。また、LTEを採用した重量センサーを荷室に設置して、トラックドライバーと遠隔地の管理者が、シャープが開発したアプリケーションから荷室の総重量や偏荷重を確認できることを検証した。

 これまで荷物の積載はドライバーの経験に基づいて行われていたが、アプケーションをもとに荷室の重量が均一になるように積載できるようになる。今後、冷蔵品や常温品、割れやすい品などさまざまな荷物の状況に迅速に対応できる物流の実現が期待されるという。

 実証実験の背景として、物流業界で大きな課題とされるトラックドライバーの不足や働き方改革などに対応するため、効率的な集荷システムの構築が望まれているという。また、MaaS(Mobility as a Service)の発展とともに、貨客混載や共同輸送などさまざまな輸送方法が提案されており、積載データの可視化のニーズも増えているという。