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楽天モバイル、本格サービスは「4月上旬、わかりやすい料金に」――三木谷氏が語る新サービスへの意気込み

三木谷氏

 13日、楽天は2019年度(1月~12月)の通期業績を発表した。同日開催された決算説明会では、モバイル事業の今後について、三木谷浩史代表取締役会長兼社長(楽天モバイル代表取締役会長兼CEO)が展望を語った。

投資フェーズのモバイル事業

 大手携帯会社から通信回線を調達してサービスを提供するMVNO事業と、4月からスタートする自社設備のMNO事業は「モバイルセグメント」とされており、今期の売上収益は1198億800万円に達し、前年度から33%増加した。一方、営業利益はMNO事業の投資により、600億5100万円の赤字だった。

 楽天グループ全体では、楽天市場や金融事業が収益の柱であり、コア事業と位置づけられている。一方、モバイル事業は、送料設定が注目を集める物流事業とともに、長期的な成長を見据えた投資フェーズ事業となる。

モバイルは投資フェーズ

 三木谷氏は、モバイル事業と物流事業ともに、「ボトムラインを気にして投資はしない。楽天モバイルにはすさまじい可能性がある」とコメント。日本国内が少子高齢化で市場の成熟化を迎える中で、海外展開を見据えた成長の機会になると解説する。

 楽天モバイルの成長に期待するのは、国内事業だけではなく、その仕組みが、海外の携帯電話事業者に売り込めるチャンスがあるため。その詳細を、世界最大の携帯電話関連の展示会である「MWCバルセロナ」で発表する予定だったが、その展示会は新型コロナウイルスの影響で中止となった。

 三木谷氏は発表延期を明らかにしつつ、「日本はショーケース。新しいモバイルのプラットフォームになる可能性がある」と指摘。基地局から繋がるコアネットワークが完全仮想化ネットワークになることや、通話やテキストメッセージングに、標準規格のRCSを当初から採り入れることで「プラットフォームもサービスレイヤーも(既存の携帯電話会社と異なり)新しいものを導入する」と意気込みを見せる。

サービス開始は4月上旬、「わかりやすい料金に」

 大きな期待を寄せるMNO事業については、3月3日にようやく料金プランを発表することが今回、明らかにされた。

 三木谷氏は「フェーズ1の東京・大阪・名古屋は、総務省に示した3432カ所の基地局は達成し、3月には4400カ所と大幅に上回る予定」と述べると、「今日、ついに料金プランを発表するのか? いや、もうちょっと引っ張りたいな」と述べ、3月3日の発表を明らかにした。

三木谷氏
「サービスインは4月上旬。競合が対策してくるため、あまり手前で発表しすぎるのも競争戦略上よろしくない。本当は今日発表しようかと思ったが、3月3日までお待ちいただければ」

 また質疑で料金プランについてインパクトのあるものか? 問われた三木谷氏は「料金はお楽しみに。ただ、日本の携帯電話料金が高いということともに、データ使用量も先進国の中で少ない。とにかくわかりやすい料金設定にしたいと思っている」とコメント。

 同氏の説明は、データ通信のニーズが大きい一方で、通信料金は高く、アンバランスな状態と指摘するもの。大容量かつ、他キャリアと勝負できる料金体系になることを示唆した内容と言えそう。

 今回示されたロードマップでは、3月3日の料金発表後、4月から4Gサービス、6月に5Gサービスがスタートし、2021年3月には県庁所在地など全都道府県で5Gサービスが運用される見込みとなっている。

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