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「Galaxy Fold」の大画面からさまざまな世界へ、KDDIがVR/ARのソリューションをCEATECで展示

 KDDIは、幕張メッセで開催されている「CEATEC 2019」に出展し、サムスン電子製のフォルタブルスマートフォン「Galaxy Fold」を利用したARのデモや、ユーザーが持つタブレットの動きに合わせて映像が変わり、音も連動する「音のVR」など、VR/ARを利用したソリューションを公開した。

KDDIのブース

Galaxy Foldの大画面から様々な世界へ、ARを利用したデモ

Galaxy Foldを利用したデモ

 10月10日に、auから秋冬モデルとして取り扱いが発表されたフォルダブルスマートフォン「Galaxy Fold SCV44」。CEATECのブースでは、同端末に合わせたバージョンが開発されたというAR技術を利用したソリューション「XR Door」が展示されていた。

デモでは実際に設置された扉と連動して、映像が表示されていた

 XR Doorはスマートフォンを空間上にかざすと、画面上で観光地やスタジアムなどの映像が表示され、さまざまな世界を体験できるというもの。スマートフォンの動きに合わせてアングルが変わる。

 最初にARマーカーを端末のカメラで読ませることで世界につながる“扉”が出現する。ある程度世界を体験すると次の世界につながる扉が出現し、各世界を転々としながら体験する流れ。VRゴーグルなどは必要なく、スマートフォン単体で体験できるため、音も本体スピーカーから出力される。

ARマーカー

 また、複数人で同時に体験することもでき、その場合、自分以外の他ユーザーはアバターとして画面上に表示される。

 XR Doorを体験する際は、画面を見ながら歩くことになるため、いわゆる“歩きスマホ”になってしまう。この点について担当者は「安全に配慮し、特定のエリア内で体験してもらうようにする。また人数制限を設け、ユーザー同士が接触しないようにして実施する」とコメントした。

Galaxy Foldが展示されていた

 XR Door自体は他のスマートフォンでも対応端末であれば動作するというが、今回展示されていたのはGalaxy Fold向けに最適化されたバージョンだという。

360°VRコンテンツの聴きたい部分だけをフォーカス、「音のVR」

ブースに設置された円筒形のスクリーン
タブレットの向きに合わせてスクリーンが表示。表示された部分の音が聴こえる

 ブースでは、円筒形のスクリーンが用意され、スクリーンに映し出される360°VRコンテンツの見たい部分の音をフォーカスして聴くことができる「音のVR」が紹介されていた。

設置されたプロジェクター

 同技術はKDDI総合研究所が開発したもので、ユーザーが指定した範囲の音場をリアルタイムに合成し、22.2ch音響などのマルチチャンネルサラウンドが体験可能になるというもの。ユーザーがコントローラーとなるタブレットを持つ向きに応じて、その方向にあわせた音だけが聴こえるようになる。

 今後は5Gを利用して、よりリッチなコンテンツで同技術を実現したいという。

法人向けのソリューションも展示、VR上に「KDDI DIGITAL GATE」が出現

同時視聴システム

 また、法人向けのソリューションとして、VR映像を多人数・同時に配信でき、管理ができるシステム「同時視聴システム」が展示されていた。VRデバイス(HMD)は「Oculus Go」をはじめとし、さまざまなデバイスに対応するという。デモではVRデバイス、ヘッドホンに加え、より映像への没入感が高まる振動スピーカー付きのイスが用意されていたが、法人ユーザーのニーズに合わせて、イスのセット提供も可能だという。

VR空間上に再現されたKDDI DIGITAL GATE
社員はアバターとして表示される

 ほかにも、Synamon社が、同社のビジネス向けVRサービスを利用して、VR空間上にKDDIのビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を再現した。同サービスは、VR空間上に作られたオフィスで、社員同士が近くにいなくてもVRデバイスを利用して会議や、ファイル共有などが可能になるというもの。

 KDDIではすでに拠点間の会議などで利用されている。Synamonの担当者によると「沖縄のKDDI DIGITAL GATEではすでに展示されており、今後は各地のKDDI DIGITAL GATE間の会議や情報共有に使用してもらえれば」と語った。