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マイクロソフト、ARMベースのSoCを搭載した「Surface Pro X」など7製品を発表

 マイクロソフトは10月2日、米ニューヨークで「Surface」シリーズの発表イベントを開催し、クラムシェルデザインの「Surface Laptop 3 13.5インチ」「Surface Laptop 3 15インチ」、2in1スタイルの主力製品「Surface Pro 7」、ARMアーキテクチャのSoCにLTE機能を搭載した「Surface Pro X」、完全ワイヤレスイヤホン「Surface Earbuds」など、7製品を発表した。

イベントの冒頭に登壇し、方向性を語るマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏
Surface Laptop 3 13.5インチモデルを片手に持ち、プレゼンテーションを行うマイクロソフトの最高製品責任者(CPO)のパノス・パネイ氏

13.5インチに加え、15インチもラインアップしたSurface Laptop 3

 Surface Laptop 3は現在、国内で販売されているクラムシェルデザインの「Surface Laptop 2」の後継機種で、従来機種と同サイズの13.5インチのディスプレイのモデルは第10世代のインテルCoreプロセッサーを搭載し、従来モデルの約2倍のパフォーマンスを実現している。

Surface Laptop3の13.5インチモデルはファブリック仕上げとメタル仕上げの2モデルがラインアップされる

 これに加え、新たに15インチディスプレイのモデルもラインアップに加わる。15インチモデルはCPUにAMD製Ryzenを搭載し、高いGPU性能により、ゲームなども快適に楽しむことができる。インテル製Core i5を搭載したモデルも法人向けに提供される。

 従来のSurface Laptop2はキーボード部分のファブリック仕上げが特徴的だったが、今回の13.5インチのモデルではファブリック仕上げに加え、本体の筐体と同じメタル仕上げのモデルもラインアップされる。15インチのモデルはメタル仕上げのみとなっている。

Surface Laptop3の15インチモデルはメタル仕上げのみ

 本体を机の上に置いた状態で、1本の指で本体を軽く開くことができる使いやすさは、両モデルともそのまま継承されている。キーボードは1.3mmのキーストローク、19mmのキーピッチでデザインされ、トラックパッドは従来モデルよりも20%大きくなっている。

 リペアや保守性も考慮されており、本体のストレージは着脱交換が可能な設計となっている。一般ユーザーが開けてしまうと、保証がなくなってしまうが、企業など、法人ユースではIT部門などが修理やメンテナンスを行うことがあるため、着脱交換が可能な設計を採用したという。

 両製品には従来のMini Displayポートに変わり、USB Type-Cポートが搭載される。バッテリーと充電の環境も改善され、スマートフォンなどと同じように、約1時間の充電で80%まで充電することが可能となっている。

13.5インチモデルは999ドルから、15インチモデルは1199ドルから

 価格は13.5インチのモデルが999ドル、15インチのモデルが1199ドルからとなっている。日本国内向けの価格もアナウンスされており、13.5インチのモデルが12万6800円から、15インチのモデルが14万6800円からとなっている。

第10世代インテルCoreプロセッサ搭載の「Surface Pro 7」

Surface Pro 7は749ドルから。すでに国内向けも予約受付が開始されている
Surface Pro7は従来モデルをベースにCPUなどを強化。本体に装着可能なキーボードは従来モデルと同じものが利用可能

 「Surface Pro 7」は現在、国内でも販売されている「Surface Pro 6」の後継機種で、第10世代インテルCoreプロセッサ搭載によるパフォーマンス改善に加え、従来から要望が多かったUSB Type-Cポートを備えるなどの改良が図られている。

 新たに搭載されたStudio Mics(マイク)により、音声入力やビデオチャットなどの音質も向上させている。価格は749ドルで、国内向けは9万9800円からとなっている。

Surface EarBuds

完全ワイヤレスイヤホン「Surface Earbuds」は付属のイヤーチップで装着感を調整可能

 マイクロソフトはこれまでもノイズキャンセリング機能を備えた「Surface Headphones」を国内向けにも発売しているが、新たに完全ワイヤレスタイプのイヤホン「Surface Earbuds」を発表した。デュアルマイクを備えたイヤホンで、バッテリー駆動により、最大24時間まで利用することができる。

Surface EarbudsはOfficeの音声入力などに対応
価格は249ドルから。バッテリー内蔵収納ケースなども付属する

 イヤホン部分をタップすることによるコントロールも可能で、Spotifyとの連携機能も用意される。Officeでの音声入力などに対応するほか、最大60言語に対応した同時通訳機能も利用できる。価格は249ドルで、今年のホリデーシーズンまでに発売される。

Surface Pro X

ARMベースのSQ1を搭載したSurface Pro Xを手にコンセプトを解説

 これまでのSurface Proシリーズは、いずれもx86アーキテクチャ(IA)のCPUを搭載したモデルが発売されてきたが、マイクロソフトはより高い省電力性能を実現するため、米クアルコムと協業し、ARMベースのSoCであるSnapdragonで動作するARM版Windows 10の開発を進めてきた。Surface Proシリーズとしては初のARM版Windows 10が搭載された「Surface Pro X」が発表された。

Surface Pro Xは999ドルから。国内向けは後日、アナウンスされる予定

 Surface Pro Xは、米クアルコムと共同で開発したARMベースの「SQ1」と呼ばれる独自のSoCを搭載する。CPUは3GHzで動作し、1Wあたりの性能は現行のSurface Pro6の約3倍に相当する。本体は約7.3mmという薄さを実現し、側面には充電にも利用可能なUSB Type-Cポートを備える。ディスプレイは13インチのものを採用し、2880ドット×1920ドットの表示が可能。背面に格納されたSSDは取り外しにも対応する。本体は最薄部5.33mm、重さ1.68ポンド(約762g)に仕上げられている。

Surface Pro Xの外観はSurface Pro 7などとほぼ同じで、キーボードも角度を付けた状態で装着が可能

 モバイルデータ通信のLTEにも対応し、背面にnanoSIMカードを装着できるほか、eSIMにも対応する。デモ機では他製品でeSIMのサービスを提供しているGigSkyとUbigiの登録メニューが用意されていた。

 これまでのSurface Proシリーズと同じように、キーボードも装着可能だが、キーボードのヒンジ部分にはSurfaceペンを格納することができ、格納中にはSurfaceペンを充電することができる。

米アドビのCPOのScott Belsky氏が登壇し、今後、ARM版Windows 10向けにCreative Cloudを提供する意向を示した

 プレゼンテーションでは米アドビのCPO(Chief Product Officer)のScott Belsky氏が登壇し、iPad向けにも展開されている「Adobe Fresco」によるデモが披露され、Surface Pro X向けにも同社のCreative Cloudを提供したい意向も明らかにされた。

 価格は999ドルからで、11月5日からの予約が開始される。国内向けの展開については、後日、改めて発表が行なわれる予定となっている。

Surface Pro XのLTE機能をサポートするため、eSIMを搭載
eSIMのメニューを辿ると、GigSkyやUbigiと契約するためのメニューが用意されていた
Surfaceペンはキーボード内に格納が可能で、格納中に充電が行なわれる
背面の小さいカバーを開けると、256GBのSSDの隣にSIMカードスロットが備えられている。nanoSIMカードに対応し、この状態から右上側にさし込む構造

デュアルスクリーン搭載の「Surface Neo」と「Surface Duo」

Surfaceシリーズの新製品を解説する米マイクロソフトの最高製品責任者(CPO)のパノス・パネイ氏

 Surfaceシリーズの新ラインアップを発表後、開発中のモデルとして、デュアルスクリーンを搭載した「Surface Neo」と「Surface Duo」がお披露目された。両製品の内容は別記事を参照していただきたい。