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高音質・低遅延のBluetoothオーディオ、子供向けから高級路線まで広がるスマートウォッチ――チップメーカーから見たトレンドをクアルコムが解説
2019年9月30日 13:05
米クアルコムは9月25日、メディア向けイベント「Connectivity/Networking/IoT Workshop」をサンディエゴ本社で開催した。
前日に開催された「Future of 5G Workshop」では5Gの本格展開に向けた取り組みが紹介されており、Connectivity/Networking/IoT Workshopではモバイルネットワーク以外の分野、Wi-Fi 6やBluetoothオーディオ、ウェアラブル端末などについて語られた。
音質と電池持ち、低遅延が重要になるBluetoothオーディオ
クアルコムは2015年にBluetooth関連技術を得意としていた半導体メーカーのCSRを買収。オーディオ製品向けのチップセットを供給しているほか、直近では、新コーデックの「aptX Adaptive」や完全ワイヤレスイヤホンの接続安定性を高める「TrueWireless Stereo Plus」なども発表した。
同社が2015年からの4年間で行ってきた調査によれば、Bluetoothオーディオ製品の購入時に音質や電池持ちを重視するユーザーが多数を占めた。これに加えて、利用シーンを調査すると動画視聴に使う人は57%、ゲームに使う人は31%ということから、画面表示と音声のタイムラグを減らす低遅延技術も重視する。
このようなニーズを汲んで、いわば音質に特化したコーデックと低遅延に特化したコーデックの良いとこ取り、aptX HD相当の高音質とaptX Low Latency(aptX LL)相当の低遅延を両立させたものが、2018年に発表された「aptX Adaptive」だ。
aptX Adaptiveを利用するにはスマートフォンとイヤホン・ヘッドホンの両方が対応している必要があり、スマートフォンではすでに国内外でいくつかの対応製品が登場。国内の機種では、シャープの2019年夏モデル「AQUOS R3」がaptX Adaptiveをサポートしている。
会場では、世界初のaptX Adaptive対応ヘッドホンとして9月に発表されたBowers & Wilkinsの新製品を展示。実機を用いたデモンストレーションが行われた。
世界のスマートウォッチ事情
ウェアラブル関連では、特にスマートウォッチ市場の動向について語られた。スマートウォッチの中でも、Wear OS by Google(以下、Wear OS)を採用する機種では、クアルコムのチップセットは95%以上のシェアを獲得している。また、LTE対応スマートウォッチという区分でもシェア1位を誇る。
初期のAndroid Wear(当時)製品では、Snapdragon 400などのスマートフォン向けチップセットの採用例が多かったが、後にウェアラブル端末に特化した「Snapdragon Wear」シリーズが登場。2019年時点では、Wear OSのスマートウォッチなどに用いられる「Snapdragon Wear 3100」のほか、単体で動作するキッズウォッチやフル機能のAndroidを搭載するスマートウォッチのための「Snapdragon Wear 2500」、スマートトラッカー向けの「Snapdragon Wear 1100/1200」が展開されている。
イベントでは直近1年間に発表されたSnapdragon Wear搭載スマートウォッチの一部が紹介・展示されたが、その顔ぶれはWear OS(Android Wear)が始まった2014年当時と比べると大きく変わった。
スマートフォンメーカーによる周辺機器としての展開よりも、時計メーカーやファッションブランド、スポーツブランドなどによる製品が目立つ。価格帯は150ドル~4500ドルと幅広く、ルイ・ヴィトンの「タンブール ホライゾン 2」のように、ブランド価値やステータス性を重視した製品も現れている。
大人向けのスマートウォッチの世界では従来型の時計に近い形で市場が広がり始める一方、もうひとつのトレンドとしてキッズウォッチ市場も成長している。こちらはWear OSではなく通常のAndroidをベースに、LTE対応で単体で利用できる機種が多い。子供との連絡手段として、多機能なスマートフォンよりも、シンプルで常に身に着けておけるスマートウォッチのほうが持たせやすいというニーズがあるようだ。中国を中心に拡大し、99ドル~249ドルの価格帯で多くの機種が登場している。