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シャープ、軽さ143gでゲームを楽しめる「AQUOS zero2」

 シャープは、軽さとハイスペックにこだわったAndroid スマートフォン「AQUOS zero2」を今冬モデルとして発表した。

 「AQUOS zero2」は、軽さとハイスペックを追求したスマートフォン「AQUOS zero」の後継モデル。新開発の有機ELディスプレイを搭載しており、描画回数を「AQUOS zero」と比べて2倍の毎秒120回に向上。残像低減のため各フレーム間に黒画面を挿入し従来比で4倍となる高速表示を実現した。加えて、毎秒240回の高速スキャンによりタッチパネルの精度も向上している。

 ディスプレイサイズは6.2インチ→6.4インチ、カメラはシングル→デュアルレンズと着実にスペックアップ。その一方で重さが143gとなり、146gだった「AQUOS zero」から3g、軽量化された。こうした軽量化により、長時間のゲームプレイでも手や腕の負担を押さえ、快適にプレイできる。また、AQUOSシリーズ初の画面内指紋センサーも搭載している。

 AQUOS zeroで採用された2つの充電ICを使用し、発熱を抑えるパラレル充電も引き続き採用している。

主なスペック

 出荷時に搭載されるOSは、Android 10。チップセットはクアルコムのSnapdragon 855。RAMは8GBで256GBのストレージを搭載する。ディスプレイサイズは6.4インチ(フルHD+ 2340×1080)で有機ELを採用。

 カメラは標準カメラが、1220万画素でf1.7、光学式手ブレ補正、広角カメラが2010万画素でf2.4、電子式手ブレ補正を搭載する。

 無線LANは、IEEE802.11a/b/g/n/acに対応する。バッテリー容量は3130mAh。大きさは158×74×8.8mmで重さは143g。顔認証と画面内指紋認証に対応する。

「軽さ×ハイスペック」でゲームを楽しむ幅広い人に

 2018年12月発売の「AQUOS zero」は、シャープにとって初めて自社で生産した有機ELディスプレイを装備。設計の工夫もあいまって当時、最も軽いハイエンドスマートフォンとなり、軽さと高性能というスペックを実現。そうした要素は、ゲームファンから高い支持を得た。

 シャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部長の小林繁氏は、そうしたゲームユーザーについて、大きく分けて「ライト層」「エンジョイ層」「ガチ層」がいると解説。

小林氏

 パズルなどライトなゲームを楽しむ層と、1日に何時間も没頭するガチ層に大別されるところだが、中間にあたるエンジョイ層にはライト層からどんどん流れ込んでいると小林氏。そうしたユーザー層に向けたスマートフォンがはたして存在しているのか……と市場を見渡すと、「マッチョな機種しかない。重くてゴツいことが常識になっている。エンジョイ層にとってガチでゴツいスマートフォンばかりで良いのか」(小林氏)。

 そこでシャープが今回発表するのが「AQUOS zero2」だ。

黒画面でリセットしてくっきりした映像に

 「AQUOS zero2」もまたシャープ製の有機ELを採用。新たな要素として240Hz駆動に対応し、きわめてレスポンスの高いディスプレイとなったとうたう。

 一般的なディスプレイは60Hz駆動だが、AQUOS zeroでは120Hzに対応していた。この段階で滑らかな映像表現を実現していたことになるが、さらに1枚1枚の間に黒い画面を挿入して240Hzとした。

 黒画面がもたらすのは、「網膜残像効果の軽減」だ。網膜残像効果とは、「今見ていた絵とその次の絵を脳が勝手に混ぜ合わせる」(小林氏)という事象のこと。黒画面を挟むことで混ぜ合わないようにリセットする。これにより、滑らかさに加えてくっきりとしたように感じるのだという。

4倍速と通常の比較
高速なシャッタースピードで撮影すると、4倍速モードのAQUOS zero2(左)の画面には黒い表示が見てとれる

タッチ検出も高速化

 また、タッチ操作の検出もスピードアップ。平均的には2ミリ秒(2msec)にまで短くなったのだという。

 小林氏は「一般的には、遅延(レイテンシー)と言えばメモリーやCPUといったコンピューティング資源を思い起こされるだろう。だが、スマートフォンではディスプレイやタッチパネルなど、周期的に動作するデバイスが遅延の主因」と語る。

 たとえばタッチ検出が60Hz駆動であれば16ミリ秒、遅延する。そこへ画面の更新処理に20ミリ秒かかる。描画と操作を担当するディスプレイ周辺だけでも、一般的なスマートフォンでは「遅延がかなり大きい」(小林氏)のが現状だ。

 一方、AQUOS zero2の240Hz駆動ディスプレイは、タッチ検出のスキャンも240Hzになっており、一般的なスマートフォンと比べて4倍のスピードでタッチ操作に反応できる。小林氏は「AQUOS zero2ではタッチと画面の遅延を80%短縮することに成功した。(描画とタッチ検出の)それぞれを4倍速にして、ギリギリの性能になることで、『勝ちにいけるスマートフォン』を目指した」と胸を張る。こうした調整は、バンダイナムコやCygamesと協力して進めてきたのだという。

2つめの特徴は「超軽量設計」

 先代モデルから3g、軽くなり、143gを実現した「AQUOS zero2」。小林氏は「長い時間、手にスマートフォンを持っていても疲れにくい」とアピールする。

 軽量化の背景には、基板の25%小型化や、マグネシウムフレームの進化がある。内部パーツを小さくしつつ、ボディを支える構造の強度を増したことで、スペックアップを受け止めつつも軽量化を果たした。

 では、どれほどのスペックアップを実現したのか。

パフォーマンス

 たとえばカメラはデュアル構成となり、動画と静止画を同時に撮影し、AIがハイライトシーンを自動的に作る「AIライブシャッター」もサポート。さらに光学ズーム撮影にも対応した。

 チップセットは、現在のスマートフォンでは最高のスペックとなるクアルコム製の「Snapdragon 855」を採用。その一方で、スマートフォンにはついてまわる発熱に対しても、迅速に本体全体で発散する仕組みを取り入れた。

排熱処理の工夫

 スマートフォンではディスプレイやCPUといった部材からの発熱と、充電中の発熱がある。AQUOS zero2では構造上の工夫により、一カ所に集中して熱が出るのではなく内部からの熱をボディ全面に広げて放熱するようにした。また小型化した基板のほとんどはディスプレイ上部方面に集中するよう配置されており、ユーザーの手で、熱を感じにくい形で発散される。

 さらに先代モデルに続いて「パラレル充電」もサポート。これは、充電を2系統に分割することで実現したもの。小林氏は「電流が半分になると発熱は1/4になる」と解説し、充電しながらゲームを遊ぶユーザーにとっても、充電中の発熱を抑える「AQUOS zero2」にはメリットがあると語る。

ハイエンドチップ

 チップセットはハイエンドのSnapdragon 855を採用。さらにメモリー(RAM)は8GB、ストレージ(ROM)は256GBとなり、UFS 3.0をサポート。AQUOSシリーズのスマートフォンとして初めてデュアルバンドGPSをサポートしており、L1バンドとL5バンドを使い、一方で高い精度、もう一方でスピーディに現在地を測定する。

 このほか、Android 10を搭載して出荷される予定も明らかにされた。ダークモード、進化したセキュリティなどAndroidの最新のスペックをサポートする。

販路は?

 先代の「AQUOS zero」は、まずソフトバンクで登場し、その後、SIMロックフリー版が登場した。はたして今回はどうなるのか。

 小林氏は「○○をしたいから、この機種にする、というようにハイエンドは尖った部分を備える形になっていくと思っている。具体的な販路については今回は申し上げられない。ただ、AQUOS sense 3シリーズとともに、できるだけ多くの方に届けたいと思っている。乞うご期待です」とコメント。キャリア版、SIMフリー版それぞれの登場に期待感を持たせた。

【お詫びと訂正 2019/09/25 11:46】
 記事初出時、SIMフリーとしておりましたが、シャープの発表ではそうした記述はございません、お詫びして訂正いたします。