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「国内Androidナンバーワン」のシャープが次の一手に“ゲーム”を選んだ理由

 シャープは25日、ハイエンドスマートフォンの「AQUOS zero2」や、ミドルクラスの「AQUOS sense3/sense3 plus」を発表した。

 一見すると、ハイエンド~エントリー向けと幅広くラインアップされる格好ながら、ハイエンドの「AQUOS zero2」は単なるハイエンドではなく、「ゲームを楽しむ人にとって快適」とゲーミング要素もあわせて訴求し、個性を打ち出そうとしている。

シャープの中野通信事業本部長

国内Androidで1位、5Gでも先頭集団へ

 シャープ通信事業本部長の中野吉朗氏は、ここ最近のシャープの取り組みについて、2年連続でAndroidの販売数は国内1位となったことを紹介。

 また、大手キャリアの5Gサービスにスマートフォンや、固定タイプの端末を供給したり、共同開発したりしていることに触れて、「5Gの先頭集団を走る」と意気込む。

シャープの5G端末
8K映像を5Gで伝送
基地局装置

新たな領域は「ゲーム」

 中野氏は、2019年後半に向けて「AQUOSは新たな領域で感動体験を提案する」と説明。その新領域が「ゲーム」であることを紹介した中野氏は、「ゲームは、ほかのプレイヤーを応援するなどコミュニケーションツールへの成長が期待されている」と解説する。

 自分自身が遊ぶだけではなく、ほかのユーザーのプレイを見るだけというスタイルも一般的となり、最近ではeスポーツとしての盛り上がりを見せているゲーム分野へ、快適にプレイできるスマートフォンとしてアプローチしたい、という考えだ。

 ゲーム分野への浸透を図るため、「まずは国内最大級のイベント『RAGE』に協賛する。全国各地でタイアップイベントを開催してRAGEを盛り上げたい。プロゲーム集団のDetonatioN Gamingにもスポンサードする。ゲームを新たな文化として発展させたい。次々新しい提案をしていきたい」と意気込みを見せる。

「なんとなくハイエンド」の終焉

 「AQUOS zero2」でゲーム分野との関わりを強める方針を打ち出したシャープ。ゲームという分野にフォーカスする理由については、先述したように「コミュニケーションツールへの成長への期待」と中野氏が語ったが、ハイエンドスマートフォンにとってゲームは得意分野のひとつ。こうした発表会では、ゲームだけではなく、カメラや映像美、あるいはまた別のさまざまな機能など、ハイエンドスマートフォンの多機能ぶりをアピールすることが通例だ。

 “テンプレ”に反し、なぜ「ひとつの分野に注力する」ことを発表会でアピールすることになったのか。その背景には、10月1日から「改正電気通信事業法」が施行され、大手通信キャリアによる割引額が制限されるなど、国内携帯電話市場の大きな転機を迎えることがある。

小林氏

 中野氏に続いて登壇したシャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部長の小林繁氏は、国内市場は激動の時期を迎えている、と踏まえた上で、「なんとなく良い物を選ぶ、なんとなくハイエンドスマホという文化は終焉する。お手頃な価格の機種の性能も十分上がっており、ユーザーの心理も変化していく」との見通しを語る。

 大手通信事業者は、割賦販売と将来の下取りを組み合わせて、より割安感のある形で、スマートフォンが高額であっても、比較的購入しやすい環境を整備している。しかし、そうした取り組みに対しては、行政から厳しい視線が注がれている。今後、法制度がどう変化するか、いまだ不透明な面はあるが、これまで通りハイエンド一辺倒にはならない、とシャープは分析。ゲームプレイヤーの3割は多少課金をするというユーザー層であり、ガチではなく、カジュアルにゲームを楽しむ層は、相当な市場規模になるという。

3つのモデルで市場全体をカバー

 小林氏は、「これからは、明確な意思をもって、何にこだわっているか、はっきりする人がハイエンドスマートフォンを手にする。一方で、大半の人は『間違いない、賢い選択をしたい』と考え、もっとも安心する物を選ぶという行動になる。そこでシャープは3つのモデルを提供する」と説明。

 どんなスマートフォンをシャープは提供したいのかという視点から、今回はゲームプレイをアピールする「AQUOS zero2」、そして、国内でもっとも売れているAndroidスマートフォンの最新モデルである「AQUOS sense3」シリーズ2機種をラインアップすることになった。

 「軽さ×ハイエンド」で、従来のゲーミングスマートフォンとは一線を画しつつ、より幅広いニーズを狙うモデル、そして多くの人にとって、価格とスペックのバランスを、より高いレベルで取れることを目指したモデルを用意し、市場全体をカバーする形となる。大手キャリアの新機種、あるいはSIMロックフリーモデルなのか、今回の発表会では触れられなかったが、小林氏は、「AQUOS zero2」では先代モデルよりもカラーバリエーションを広げるといった取り組みもしており、より多くのユーザーへ届けられることを目指すと語っていた。

AQUOS sense3の省エネ製を示す展示
動画の連続再生でバッテリー性能をアピール
水の上に浮くAQUOS zero2
ケース類も充実
リズムゲームとは相性が良さそうな「AQUOS zero2」。今回はアプリではなく動画でのアピール
sense3シリーズの手ブレ補正をアピールする展示
担当者が震える台に乗って、普段ではなかなかあり得ないレベルでの手ブレを再現