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2019年のiPhoneはどこが変わった? スペックを比較解説
2019年9月14日 09:00
2019年秋、「iPhone 11」と「iPhone 11 Pro」、「iPhone 11 Pro Max」の3モデルが発売される。昨年と今年のモデルを比較すると、「iPhone 11」は「iPhone XR」の、「iPhone 11 Pro」は「iPhone XS」の、「iPhone 11 Pro Max」は「iPhone XS Max」の、それぞれの後継機種となり、大きさや製品の位置づけをほぼそのまま、継承している。
この記事では2019年「iPhone」と2018年「iPhone」のスペック概要を比較しつつ、どこがどう変わったのかを概要を解説する。なおカメラやプロセッサといった個々のポイントの詳細については、別記事でお届けする。
まず、それぞれのモデルのスペックを表にしてみた。なお、表の中の価格はアップルオンラインストアにおける税抜き価格となっている。
iPhone 11 | iPhone XR | iPhone 11 Pro | iPhone XS | iPhone 11 Pro Max | iPhone XS Max | |
初出価格(64GB) | 7万4800円 | 8万4800円 | 10万6800円 | 11万2800円 | 11万9800円 | 12万4800円 |
プロセッサ | A13 Bionic | A12 Bionic | A13 Bionic | A12 Bionic | A13 Bionic | A12 Bionic |
システムメモリ容量 | 不明 | 3GB | 不明 | 4GB | 不明 | 4GB |
ストレージ容量 | 64/128/256GB | 64/128/256GB | 64/256/512GB | 64/256/512GB | 64/256/512GB | 64/256/512GB |
本体高さ | 150.9mm | 150.9mm | 144.0mm | 143.6mm | 158.0mm | 157.5mm |
本体幅 | 75.7mm | 75.7mm | 71.4mm | 70.9mm | 77.8mm | 77.4mm |
本体厚さ | 8.3mm | 8.3mm | 8.1mm | 7.7mm | 8.1mm | 7.7mm |
本体重さ | 194g | 194g | 188g | 177g | 226g | 208g |
画面サイズ | 6.1インチ | 6.1インチ | 5.8インチ | 5.8インチ | 6.5インチ | 6.5インチ |
画面解像度 | 1792x828 | 1792x828 | 2436x1125 | 2436x1125 | 2688x1242 | 2688x1242 |
3D Touch | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 | 対応 |
防水性能 | 2mで30分 | 1mで30分 | 4mで30分 | 2mで30分 | 4mで30分 | 2mで30分 |
超広角カメラ | f/2.4 12MP | 非搭載 | f/2.4 12MP | 非搭載 | f/2.4 12MP | 非搭載 |
広角カメラ | f/1.8 12MP OIS | f/1.8 12MP OIS | f/1.8 12MP OIS | f/1.8 12MP OIS | f/1.8 12MP OIS | f/1.8 12MP |
望遠カメラ | 非搭載 | 非搭載 | f/2.0 12MP OIS | f/2.4 12MP | f/2.0 12MP OIS | f/2.4 12MP |
インカメラ | f/2.2 12MP | f/2.2 7MP | f/2.2 12MP | f/2.2 7MP | f/2.2 12MP | f/2.2 7MP |
Wi-Fi | 11ax Wi-Fi 6 | 11ac | 11ax Wi-Fi 6 | 11ac | 11ax Wi-Fi 6 | 11ac |
超広帯域チップ | 搭載 | 非搭載 | 搭載 | 非搭載 | 搭載 | 非搭載 |
連続ビデオ再生 | 17時間 | 16時間 | 18時間 | 14時間 | 20時間 | 15時間 |
「iPhone 11」は今年の3モデル中、もっとも安いスタンダードなモデルと位置づけられている。対する「iPhone 11 Pro」の2モデルは、高性能なハイエンドモデルという位置づけだ。過去のモデルである「iPhone XR」と「iPhone 8」が現行モデルとしてラインナップに残るので、そちらが廉価モデル扱いというわけだろう。「iPhone SE」のようなコンパクトモデルはラインナップに戻ってきていない。
ちなみに「iPhone XR」は値下げされて64GBモデルが6万4800円、「iPhone 8」は64GBモデルが5万2800円となっている。Androidスマホに比べるとまだまだ高いが、「iPhone 8(64GB)」ですら状態が良好なら中古での買い取り価格が3万円を超え、「iPhone XR(64GB)」なら5万円ほどになるので、見ようによっては安いと言えるだろう(iPhone 11の発売後は旧モデルの買い取り価格も下がると思われるが)。
発売時の価格を比較すると、2019年モデルはいずれも2018年モデルより安くなっている。とくに「iPhone 11」は「iPhone XR」から1万円、1割以上も安くなった。かといって上位モデルとのスペック差が広がったかというとそうでもなく、プロセッサはProと同じで、カメラもProのトリプルには劣るがデュアル構成となっている。
大きさを見てみると、「iPhone 11」と「iPhone XR」がまったく同一なのに対し、「iPhone 11 Pro」の2モデルは前モデルより若干大型化し、重たくなっている。2019年モデル中の最小は「iPhone 11 Pro」になるが、「iPhone 11」との差は小さくなった。
「iPhone 11」は今シーズン最小と言っても「iPhone 8」などに比べるとかなり大きい。筆者はこの記事のために久しぶりに「iPhone 8」や「iPhone 7」などを触ったのだが、その小ささに驚いてしまった。「iPhone SE」にいたっては、「こんな小さくて軽いスマホを作る技術があるのか」と感動するくらいだ。
デザインについては、「iPhone 11」は前モデルの「iPhone XR」とほぼ同じで、ガラスとアルミニウム製となっている。一方の「iPhone 11 Pro」シリーズは「テクスチャードマットガラスとステンレススチール」となっていて、前モデルの「iPhone XS」シリーズの「ガラスとステンレススチール」から変わっている。筆者はまだ実機を見ていないので「テクスチャードマットガラス」がいかなるものかわかっていないが、つや消し加工のされた強化ガラスだと思われる。しかし製品写真を見る限り、カメラ部分の出っ張りだけグロス仕上げのように見える。
バッテリーの持ちは、2018年モデル内で比較するとスタンダードモデルの「iPhone XR」が最長だったが、2019年モデルでは「iPhone 11 Pro Max」が最長となった。とくに「iPhone 11 Pro」の2モデルはともに前モデルから大きく改善している。このあたりが重量増に影響していそうだ。
画面のサイズや解像度は、「iPhone 11」シリーズいずれも前モデルから変わっていない。細かいスペックを見ると、有機ELを搭載するProモデルは、輝度やコントラストなどが向上している。「iPhone 11」と「iPhone XR」は細かいスペックも変わっておらず、もしかすると同じパネルを使っているのかも、というレベルだ。
また、Proモデルでは前モデルが対応していた感圧タッチ操作の3D Touchが省かれている。あまり使用頻度の高い機能でもなかったので、3D Touchは今後、終息していく方向なのかもしれない。ちなみに「Apple Watch」の方は感圧タッチはそこそこ使用頻度が高く、最新の「Series 5」でも引き続き感圧タッチが搭載される。
カメラは3モデルともに前モデルから強化され、超広角カメラが追加されている。とくに「iPhone 11」は前モデルの「iPhone XR」がシングルカメラだったので、大きな変化と言える。カメラについては別記事でも比較解説をしているのでそちらもご参照いただきたい。
こうしていろいろなポイントを見てみると、今年のスタンダードモデルである「iPhone 11」は、前モデルからのさまざまな面で強化されながらも、重量増は避けている。しかし「iPhone 11 Pro」シリーズとの性能差も小さく、それなのに値下げ幅が上位モデルより大きいなど、お買い得感がかなり増したと言えるだろう。