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KDDI、5G時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE 大阪」を開設

 KDDIは、5GやIoTの時代に向けたビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE 大阪」を開設した。東京、沖縄に続く3カ所目の活動拠点となる。

 KDDI DIGITAL GATEは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業のサポートを行い、共創を目指す施設。5GやIoT、AI、xRといったトレンドに精通した人材が常駐し、DXを企画する人材がいない、どう進めれば良いか分からないといった悩みを抱える企業を支援する。

 2018年9月にオープンした東京・虎ノ門の拠点には、これまでに250社以上の企業が訪れた。訪問者は、DXのミッションを持った新規事業部門の担当者が多いという。

 サポートの流れとしては、まずは最新技術の知見を持ったスタッフを交えたワークショップで、取り組みの目的やテーマを明確にする。その後、短いスパンで改善を繰り返すアジャイル開発と呼ばれる手法で、ともにサービスを開発していく。

 その一環として5G活用のための検証なども行う体制を整えているが、あくまでより良いサービスを作り上げる手段のひとつとしてKDDIの通信技術を活かす。そして通信だけではなく、IoTのソラコム、アジャイル開発のScrum Inc.など、KDDI傘下のさまざまな分野のプロフェッショナル集団と共創できる窓口でもある。

 KDDI DIGITAL GATEそのものは2018年に始まったばかりだが、オープンイノベーションを目指しスタートアップ企業の支援などを行ってきた「KDDI ∞ Labo」の流れを汲んでいる。また、アジャイル開発の手法も、数年前から社内におけるサービス開発に取り入れており、これをパートナー企業に展開していく。

KDDI ソリューション関西支社長 細井 浩昭氏
KDDI DIGITAL GATEセンター長 山根 隆行氏

「KDDI DIGITAL GATE 大阪」の施設

 開設にあわせて、「KDDI DIGITAL GATE 大阪」の施設が報道関係者向けに公開された。先述の通り、KDDI DIGITAL GATEでは大きく分けて「ワークショップ」と「アジャイル開発」の2つを行う。開設時点での大阪拠点はワークショップに特化した施設となっており、ワークショップのための「青屋門」という部屋、そして東京拠点のエンジニアを交えたミーティングを行う「桜門」という部屋がある。

 部屋の名前はどちらも、拠点のすぐ近くにある大阪城にかつてあった門の名前で、デジタル“ゲート”ということにかけている。東京・虎ノ門の拠点でも、各部屋に門の名前が付けられているという。

 ワークショップを効果的に行うための工夫として、メモを書き込んだり付箋を貼り付けたりできるように、一面の壁がすべてホワイトボードになっている。部屋の片隅にある棚には大量のふせんがストックされていたが、「(東京拠点の経験では)このぐらいの量は1カ月で無くなってしまう」と担当者。活発な議論が交わされている様子が伺える。

5Gの“低遅延”を疑似体験できるエミュレーター

 5Gのテスト環境は現時点ではKDDI DIGITAL GATE 大阪の施設内にはないが、5Gと4Gの遅延差を加味してアプリケーションの動作検証を行えるエミュレーターが配備されている。通信試験で得られた実測値を元にしたシナリオが組まれていて、開発中のアプリケーションを5Gで動かしたらどのようにユーザー体験が変化するのかを疑似体験できる。

 デモンストレーションが行われた際には触覚デバイスが接続されており、遠隔医療のシミュレーターを例に5Gと4Gによる遅延差を体験できた。ペン型のコントローラーを動かすと映像内で針が移動することに加えて、針先が患者の骨などにあたると触覚でフィードバックされるというものだ。

 映像と触覚を頼りに指定のポイントに針を刺すことが目的なのだが、4Gでは30ms程度の遅延があるため、間違った場所に針が触れたという感触が返ってきた時には既に刺してしまっているということになる。対して、5Gではこのデモ環境の場合は3ms程度の遅延で済み、視覚と触覚のギャップがほとんどなく自然に操作できた。