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ドコモの「d払い」、フィッシング詐欺被害も補償対象に

 NTTドコモは、決済サービスの「d払い」の利用規約を近日改定し、いわゆるフィッシング詐欺の被害にあった場合も補償対象にする。

 いわゆるフィッシング詐欺は、ドコモに限らず、さまざまな事業者をかたる偽のメッセージが日々送りつけられている。それも今になって急増したわけではないが、決め手となる対策となると難しさがある、と語るのはNTTドコモのウォレットビジネス推進室長である田原務氏。

田原氏

 田原氏によれば、そうしたフィッシング詐欺に使われるSMSは、主に海外から発信されるケースがほとんど。そこでドコモでは今年5月~6月、不正と思われるドメインなどを、JPCERTなど関係機関と連携してブロックして、海外からのフィッシングのメッセージを防いでいる。

 ただ、そうした対策の実施前にもし、不正なサイトへアクセスしてしまうと、見た目が本物そっくりであるため、ユーザー側で見破るのは難しいこともあり、IDとパスワードをうっかり入れてしまう人は後を絶たなかった。

 これまでの取り組みとして、ドコモからフィッシングサイトの存在を告知したり、2段階認証の導入や不正な動きを思わせるアカウントをロックしたりするといった対策を実施してきたが「d払い」の規約上、ユーザー自身がIDとパスワードをフィッシングサイトへ入れてしまい、その結果、d払いが不正利用されてしまうと、ユーザーの責として決済代金を支払う必要があった。

 規約上は、ユーザーの責任となってしまうが、とはいえ、全て知らぬ存ぜぬというわけではなく、事案ごとに個別対応してきたと田原氏。同氏によれば、規約上、フィッシング詐欺のような場合の補償を明示しているのは、LINE Payやメルペイで、d払いは、PayPayやau Payと同じようにID、パスワードが入力された場合、ユーザー自身が支払うという規約になっていたが、それでも田原氏によれば、ユーザーからの申告に基づき対応しており他社と遜色ない形で対応してきたのだという。

 これまでも対応してきたことながら、あらためて規約を改訂することで、ユーザーにとって、より安心できる環境になることをはっきりと打ち出す。

 「フィッシング詐欺は対策が難しく、被害に遭われる方はなかなかゼロにはできない。対策は進めているが不安に思われる方もいる。今回、準備が整い、規約を改訂して補償することになった」と田原氏。10月の消費増税にあわせて、さらなる普及が期待されるキャッシュレス分野において、還元などのキャンペーンを展開するだけではなく、安心安全への懸念があれば対応していく方針だ。