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楽天、第2四半期決算を発表、三木谷氏「モバイル事業はホップ、ステップ、ジャンプの3段階でいく」
2019年8月8日 20:28
楽天は8日、2019年12月度第2四半期決算を発表した。連結売上収益は3064億円で前年同期比13.31%増。Non-GAAP営業利益は、3億2000万円で前年同期比94.6%↓、IFRS営業利益は-1億8000万円となった。
モバイル事業は3段階のスタートを切る
決算発表の中で、三木谷氏は10月スタートとされている「第4のMNO事業」について言及があった。三木谷氏は自社のネットワークには大きな自信を持っているとした上で「念には念を入れて『ホップ、ステップ、ジャンプ』の3段階のスタートを切る」という。
三木谷氏によると、最初の10月の段階でのローンチは「ホップ」だという。ごく限られた少数のユーザーに対してサービスを提供する。その後、インターネット上でサービス加入を受け付ける「ステップ」の段階へ移行。最終的に全国へ店舗を展開して、そのほかのキャリアと同様のサービスを展開する「ジャンプ」の段階に到達すると説明した。
現在の基地局の建設について、大きな遅れなどはなく、計画は順調に推移しており、10月の「ホップ」の開始にむけて作業が進んでいるという。
三木谷氏は「楽天がやろうとしているのは、ネットワーク革命。世界の誰も成し得なかったE2E完全仮想化、クラウドネイティブネットワークを18カ月以内に実現したい。高速大容量という5Gに求められているものを4Gで実現する」とモバイル事業への意気込みを見せた。
従来のネットワークとは異なり、楽天が導入するのは「モバイルエッジコンピューティング」。ほとんどレイテンシー(遅延)のない、モバイルエッジサーバーを全国で4000ほど導入する。これまでは、モバイルで実現できなかった大規模なゲームや、ソフトウェアの実行や、大量のデータストレージをエッジ側で行うなどが実現できるという。
最終的には、コンシューマーにネットワークサービスを提供するとともに、AmazonがAWSで行っているように、他国でも積極的にサービスを展開していきたいと三木谷氏。
三木谷氏は、料金プランなどについては、他社に手の内を見せたくないと言及を避けた。楽天モバイル 代表取締役の山田善久氏は「モバイル事業については9月上旬に具体的な説明を行いたい」とした。
また、サービス開始予定は10月1日としている。楽天モバイル CTOのTareq Amin氏は「コアネットワークについて、完全仮想化は完了している。安定性を試験して、100%サービスが利用できることを確認した後、ローンチしたい。仮想化はスケジュールより早く進んでいる。安定性のテスト、セキュリティ強化が完了すれば、10月1日にスタートできる」と語った。
Rakutenを世界ブランドへ
昨年、グローバルでブランドを統一し、新しいロゴを発表した楽天。日本発の「Rakuten」というブランドが世界で通用するのか挑戦したいという三木谷氏。日本国内では、根強いWebブランドとして、その地位を築いている楽天だが今後は、グローバルでの認知度向上に務めるという。
また、メディカル分野について、も言及があった。持分法適用会社となる、楽天メディカル(旧:楽天アスピリアン)。追加出資を行い、正式に楽天のグループ会社となった。事業についてはすでに、第III相試験(治験の最終段階)を行っているものもあるという。
成長戦略の中の3つの事業
ECコマース
昨年の夏頃は配送問題の顕在化などにより成長が鈍化していたが、今期の楽天のECの成長率は前年同期比14.5%と大幅な伸びを見せた。自社物流網の整備と、倉庫の拡充が成長が伸びた主な要因だと三木谷氏。現在、更に大きな倉庫を千葉県習志野と、神奈川県中央林間に建設中という。
また、自社物流のRakuten Expressも今年の12月までには、人口カバー率60%を目指すとした。
また、来年からは共通の送料無料ラインを導入するという。具体的な数字としては3980円(税込)となる。楽天市場の顧客満足度は非常に高いものの、店舗によって送料が違う、思ったより送料が高いという部分が弱点だったという。
今回の施策で、送料体系のわかりやすさを向上させ、既存のユーザーが安心してショッピングをできるように、またそれによって新規ユーザーの獲得も見込めると三木谷氏は語る。
フィンテックも強化
楽天の口座数は2870万口座を超えるなど、フィンテック分野は、持続的な成長が実現できているという。
「フィンテックの中核は、あくまで銀行。QRコード決済や顔認証の支払いなど様々なサービスが展開されていく。しかし、最強なのはインターネット銀行だ」と三木谷氏。現在、ヨーロッパで銀行事業をすでに展開しており、台湾でも銀行業認可を取得、さらにアメリカでも銀行業認可を申請している最中だという。
実現すれば、日本、台湾、ヨーロッパ、アメリカで銀行を持ち成長につながると三木谷氏。
会社の価値は会員の価値
楽天という会社において、会社の価値はイコール会員数だと三木谷氏。現在のメンバーシップバリューはおよそ5兆円。昨年の夏が4兆円だったことに対して21.3%増となる。
「それぞれのサービスが成長しており、楽天のエコシステム自体が大きくなっていることの証であり、将来的には10兆円のメンバーシップバリューを目指したい。楽天モバイルはその原動力になるだろう」と三木谷氏は語る。