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楽天、第2四半期決算を発表、三木谷氏「モバイル事業はホップ、ステップ、ジャンプの3段階でいく」

 楽天は8日、2019年12月度第2四半期決算を発表した。連結売上収益は3064億円で前年同期比13.31%増。Non-GAAP営業利益は、3億2000万円で前年同期比94.6%↓、IFRS営業利益は-1億8000万円となった。

モバイル事業は3段階のスタートを切る

 決算発表の中で、三木谷氏は10月スタートとされている「第4のMNO事業」について言及があった。三木谷氏は自社のネットワークには大きな自信を持っているとした上で「念には念を入れて『ホップ、ステップ、ジャンプ』の3段階のスタートを切る」という。

 三木谷氏によると、最初の10月の段階でのローンチは「ホップ」だという。ごく限られた少数のユーザーに対してサービスを提供する。その後、インターネット上でサービス加入を受け付ける「ステップ」の段階へ移行。最終的に全国へ店舗を展開して、そのほかのキャリアと同様のサービスを展開する「ジャンプ」の段階に到達すると説明した。

 現在の基地局の建設について、大きな遅れなどはなく、計画は順調に推移しており、10月の「ホップ」の開始にむけて作業が進んでいるという。

 三木谷氏は「楽天がやろうとしているのは、ネットワーク革命。世界の誰も成し得なかったE2E完全仮想化、クラウドネイティブネットワークを18カ月以内に実現したい。高速大容量という5Gに求められているものを4Gで実現する」とモバイル事業への意気込みを見せた。

 従来のネットワークとは異なり、楽天が導入するのは「モバイルエッジコンピューティング」。ほとんどレイテンシー(遅延)のない、モバイルエッジサーバーを全国で4000ほど導入する。これまでは、モバイルで実現できなかった大規模なゲームや、ソフトウェアの実行や、大量のデータストレージをエッジ側で行うなどが実現できるという。

 最終的には、コンシューマーにネットワークサービスを提供するとともに、AmazonがAWSで行っているように、他国でも積極的にサービスを展開していきたいと三木谷氏。

 三木谷氏は、料金プランなどについては、他社に手の内を見せたくないと言及を避けた。楽天モバイル 代表取締役の山田善久氏は「モバイル事業については9月上旬に具体的な説明を行いたい」とした。

 また、サービス開始予定は10月1日としている。楽天モバイル CTOのTareq Amin氏は「コアネットワークについて、完全仮想化は完了している。安定性を試験して、100%サービスが利用できることを確認した後、ローンチしたい。仮想化はスケジュールより早く進んでいる。安定性のテスト、セキュリティ強化が完了すれば、10月1日にスタートできる」と語った。

Rakutenを世界ブランドへ

 昨年、グローバルでブランドを統一し、新しいロゴを発表した楽天。日本発の「Rakuten」というブランドが世界で通用するのか挑戦したいという三木谷氏。日本国内では、根強いWebブランドとして、その地位を築いている楽天だが今後は、グローバルでの認知度向上に務めるという。

 また、メディカル分野について、も言及があった。持分法適用会社となる、楽天メディカル(旧:楽天アスピリアン)。追加出資を行い、正式に楽天のグループ会社となった。事業についてはすでに、第III相試験(治験の最終段階)を行っているものもあるという。

成長戦略の中の3つの事業

ECコマース

 昨年の夏頃は配送問題の顕在化などにより成長が鈍化していたが、今期の楽天のECの成長率は前年同期比14.5%と大幅な伸びを見せた。自社物流網の整備と、倉庫の拡充が成長が伸びた主な要因だと三木谷氏。現在、更に大きな倉庫を千葉県習志野と、神奈川県中央林間に建設中という。

 また、自社物流のRakuten Expressも今年の12月までには、人口カバー率60%を目指すとした。

 また、来年からは共通の送料無料ラインを導入するという。具体的な数字としては3980円(税込)となる。楽天市場の顧客満足度は非常に高いものの、店舗によって送料が違う、思ったより送料が高いという部分が弱点だったという。

 今回の施策で、送料体系のわかりやすさを向上させ、既存のユーザーが安心してショッピングをできるように、またそれによって新規ユーザーの獲得も見込めると三木谷氏は語る。

フィンテックも強化

 楽天の口座数は2870万口座を超えるなど、フィンテック分野は、持続的な成長が実現できているという。

 「フィンテックの中核は、あくまで銀行。QRコード決済や顔認証の支払いなど様々なサービスが展開されていく。しかし、最強なのはインターネット銀行だ」と三木谷氏。現在、ヨーロッパで銀行事業をすでに展開しており、台湾でも銀行業認可を取得、さらにアメリカでも銀行業認可を申請している最中だという。

 実現すれば、日本、台湾、ヨーロッパ、アメリカで銀行を持ち成長につながると三木谷氏。

Eコマースは広告のプラットフォームへ

 2021年までに広告売上2000億円を達成するという取り組みを行っているという。第2四半期の広告売上は前年同期比18.1%↑。

 様々なサービスやサイトで広告を提供、また広告主も楽天出店者のみならず外部の大手ブランドなどもあり、Eコマースプラットフォームは、今後大きな広告プラットフォームへなるだろうと三木谷氏は語る。

会社の価値は会員の価値

 楽天という会社において、会社の価値はイコール会員数だと三木谷氏。現在のメンバーシップバリューはおよそ5兆円。昨年の夏が4兆円だったことに対して21.3%増となる。

 「それぞれのサービスが成長しており、楽天のエコシステム自体が大きくなっていることの証であり、将来的には10兆円のメンバーシップバリューを目指したい。楽天モバイルはその原動力になるだろう」と三木谷氏は語る。