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スマホの動きで電車の混雑状況を把握、東京メトロとNTTが2020年に向けて連携

 東京地下鉄(東京メトロ)と日本電信電話(NTT)は、「インフラの安全・安定性の向上」「移動の円滑性向上」「東京の魅力・活力の共創」という3つのテーマでの協業に合意した。

 東京メトロやNTTグループ各社が保有する技術とデータを活用して、鉄道の安定運行やオリンピックに向けた混雑対策、シェアサイクルと組み合わせたシームレスな移動サービスの提供などに取り組む。

東京地下鉄 代表取締役社長 山村明義氏
日本電信電話 代表取締役社長 澤田純氏

オリンピック期間中の混雑予測、円滑な輸送サービスのために

 NTTは東京2020オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーで、東京メトロもオフィシャルパートナーとなっている。大会期間中は通常の通勤・通学客と観戦客の移動が集中することによる交通機関の混雑・混乱も予想されるが、この対策も協業分野のひとつだ。

 東京メトロは列車の増発や駅員の増配置を行うが、これに加えて両者で連携して情報発信をしていくことも混雑緩和に向けた取り組みとして重視する。

 駅の入出場データとNTTドコモの人流データ(モバイル空間統計)を組み合わせて、各駅の混雑予想のほか、各駅間での電車の混雑情報を発信する。これらは混雑を避けた迂回ルートの案内などユーザーに向けた情報であると同時に、東京メトロ側にとっても効果的な人員増強を行うためのデータとして活用される。

東京の魅力・活力を共創するモビリティ連携

 もうひとつの取り組みは、モビリティ連携。地下鉄とドコモ・バイクシェアのシェアサイクルを組み合わせたシームレスな移動サービス、いわゆるMaaS(Mobility as a service)に取り組む。構想の詳細は現時点では明らかにされていないが、東京メトロの駅を中心にサイクルポートを増設し、駅から少し離れた目的地への移動利便性を高める。また、ひとつ手前の駅で降りて自転車を使う健康通勤、観光エリアでの回遊性の向上といった効果も期待される。

インフラのメンテナンスをIoTで効率化

 NTTグループでは、電柱や光回線などさまざまなインフラの管理をデジタル化する取り組みを進めている。自社だけでなく電力会社など他のインフラ事業者にも広めていく動きがあり、今回の協業の一環として、東京メトロの鉄道網の保守にも「CBM(状態基準保全)」という手法を取り入れる。

 従来、地上設備などのメンテナンスは「時間」を基準にした考え方で行われてきたが、同じ設備であっても使用頻度や設置環境によって実際に必要なメンテナンスの頻度は異なる。IoTによる状態監視、データ分析による故障予知や寿命予測によって、保守作業の効率化を図ると同時に、長時間の輸送障害につながる不慮の故障のリスクを減らし、安定性を高める。