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ドコモ第1四半期、減収減益に、docomo withや顧客還元が影響

 NTTドコモは、2019年度第1四半期の決算を発表した。全体を通しては減収減益で、通信事業では減収減益、スマートライフ領域では、増収増益となった。

 減収減益の決算となったが、新プランを軸に顧客基盤を強化、スマートライフ事業の成長、コスト効率化に取り組み早期の利益回復に務めるとした。

吉澤和弘社長

 営業収益は、174億円減の1兆1593億円、営業収益は312億円減の2787億円。株主に帰属する四半期利益は260億円減の1923億円だった。いずれも、モバイル通信での顧客への還元、主に一昨年のdocomo withや、シンプルプランの低価格な料金の影響が今になって顕在化してきた結果だという。

 営業費用は、ポイント経費の増加などの影響で138億円の増加となったが、計画に織り込み済みのものとした。年間業績予想に対しては順調に進捗しているという。

減収減益も新プランは好評、契約数は好調

 第1四半期の通信事業は、営業収益は前年度比184億円減の9451億円、営業利益は前年度比354億円減の2312億円。

 携帯電話契約数は、前年同期比3%増の7890万件。MVNOを除いた解約率は低下し0.58%となった。ハンドセット解約率は、新料金プランの提供、dポイントや新たなサービスの充実などにより0.45%と大きく改善した。

 スマートフォンおよびタブレットの利用数は前年同期比5%増の4087万件となった。ドコモ光の契約数は前年同期比18%増の599万、7月8日には600万を突破した。

 6月からスタートした新料金プラン「ギガホ」および「ギガライト」は好評で、申込件数は7月23日時点で375万件。ギガホの加入率は3割弱だという。うち、みんなドコモ割の適用率は85%ほどとしている。

 1契約回線あたりの収入を示すARPUは、4770円で前年同期比30円減となった。ドコモ光の契約数の増加はあるものの、顧客還元の影響があったのが原因としている。

 第1四半期では、200億円のコスト効率化を行い、想定通りの進捗であり、年間予想の1300億円削減の達成のため、引き続きコスト効率化に取り組むという。

キャッシュレス支払いが順調

 スマートライフ領域の営業利益は、前年同期比10%増の475億円。売上に占める各事業の割合は、コンテンツ・ライフスタイルは15%、金融決済は約20%、あんしん系サポートは45%、法人ソリューションで15%とした。また、今季からスマートライフ事業のカテゴリの見直しがおこなわれ、コンテンツ・コマースとライフスタイルを統合し「コンテンツ・ライフスタイル」となった。

 金融・決済サービスの取扱高は、前年同期比26%増の1兆1300億円、うちdカードの取扱高は前年同期比27%増の9100億円。dカード契約数は、前年同期比5%増の2018万件、dカードGOLDも契約数を伸ばしており、前年同期比32%増の562万件となった。

 d払いは加盟者、加盟店共に順調に拡大している。7月14日にはアプリのダウンロード数が700万円を突破した。決済、利用ポイント利用可能箇所は111万カ所。

 d払いアプリにも機能追加を進めており、9月には利用者同士で送金できるウォレット機能が追加予定。加盟店のサービスをd払いアプリから利用できるミニアプリの提供が予定されている。

 dポイントクラブの会員数は、前年同期比7%増の7131万人となり、dポイントカード登録数は前年同期比44%増の3616万人となった。

 dポイントの利用は、前年同期比15%増の469億ポイント、うちマクドナルドやコンビニなど提携先での利用割合が全体の55%を占めるようになった。提携先の数も前年同期比1.7倍と順調に推移している。また、+dパートナー数も広がりを見せ、925まで増加した。

プレサービスへ向け5Gネットワーク構築へ

 現在、5Gのネットワークの構築を進めており、ラグビーワールドカップ2019で全国8スタジアム、ライブビューイング会場で新たな観戦スタイルを提供するとしている(関連記事)。また、プレサービスに先立ち、9月12日から開催される、東京ゲームショウ2019で5Gブースを出展するという。

 また、法人向け取り組みとして、3月~6月に「5G BUSINESS CAMP」を行ったほか、9月18日には5Gプレサービス発表会を開催する。当日はコンシューマー向けサービス、法人向けソリューションのデモ展示を行う。

beyond宣言についても言及

 決算では、beyond宣言の取り組みについても言及された。料金シミュレーションから手続きまでのWebサイトの操作性を向上し、ドコモショップからWebシフトを推進し、店頭の混雑緩和を目指すとした。

 また、パートナーとの価値・協創として、在日・訪日外国人向けソリューションの開発や製造現場における生産性改善や新たなマーケティングプラットフォームの提供などを成果として取り上げた。

今年度は成長へ向けた変革を

 5月7日~6月30日までに、約1945万株の自社株買いを行った。取得金額は約482億円で、取得枠の残高は2518億円で、今後も期限となる2020年4月30日まで取得を続けていくという。

 吉澤社長は、「2019年度はさらなる成長に向けた変革を実行する年。第1四半期は変化する状況に先んじて、競争力強化のために新料金プランを導入した。ひとり一人への最適提案を進め、顧客基盤を強化、5Gプレサービスに向けて各地でネットワークを構築するとともに地方創生、社会課題の解決に向けて幅広いパートナーと協創をすすめる」と今後の展望を語った。

dアカウントのセキュリティは?

 昨今、頻発するリスト型攻撃による不正ログインについて、会場からは質問の声が上がった。先日もdアカウント登録者の元にセキュリティコードのメールが届くという事象が発生した。

 これについて、吉澤社長は「海外からのリスト型攻撃が非常に増えている。先日の件についても1200名ほどから問い合わせが来た。しかし、コードを入れないことにはログインできないため、被害は回避できた。IDやパスワードは常に見直してもらいたい。我々としても注意喚起のPRはさらにしていく必要がある」と答えた。