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ファーウェイ会長がドイツで講演「もう壁を作ってはならない」

米政府の決定は国際的な価値観に反した“危険な前例”

ファーウェイ 輪番会長兼取締役副会長の胡厚崑(ケン・フー)氏 (ファーウェイ提供)

 ファーウェイ 輪番会長兼取締役副会長の胡厚崑(ケン・フー)氏がドイツで開催された国際会議「国家サイバーセキュリティ ポツダム会議」に出席、米国を中心としたファーウェイ排除の動きに対して、「ベルリンの壁」の跡地に建つ会場を引き合いに出しながら「もう壁を作ってはならない」と訴えた。

 ケン・フー氏は一連の米国の対応を「根拠のない嫌疑」「正当化できない行為」と批判。「欧州ではスマートフォンユーザーの約3/4がAndroidスマートフォンを使用し、ファーウェイは20%のシェアを占めている。このような(米国企業とファーウェイの取引を禁止する)無謀な決定は、欧州のユーザーと企業に甚大な損害をもたらす」とする。

 また、今回の米国の対応は「国際的なビジネスコミュニティの価値観に反するもでので、危険な前例を作ることになる。グローバルサプライチェーンを分断し、公正な市場競争を阻害する。我々がともに抗議の声をあげなければ、 この先同じことがどの産業、どの企業でも起こりうる 」と警鐘を鳴らす。

 同氏は「ベルリンの壁」が人類にとって痛ましい経験で繰り返すべきではないとした上で、「貿易においてもテクノロジーにおいても新たな壁を作ることは望ましくない。必要なのは融合したグローバルなエコシステムで、それにより技術革新を迅速に、経済成長を力強く実現できる」と語り、移民や貿易などさまざまな分野で「壁」を強化する米国の政策を批判した。

背景

 米中貿易摩擦が激化する中、5月に入ると、米国がファーウェイへの事実上の禁輸措置を決定。それまでの、インフラへの採用を見合わせるよう同盟各国に圧力をかけていた段階から、一気に世界中のユーザーに影響が及ぶ事態にまで発展している。

 一方、インフラへのファーウェイ排除の圧力に応じたのは日本やオーストラリアなど一部にとどまり、欧州の主要国は米国に同調していないほか、ドイツは米国の“干渉”に強く反発している。

(※強調は編集部)