ニュース

KDDIが保育ICT事業に参入、保育園向けのプラットフォーム創出へ

 KDDIは、保育現場における課題解決のため、保育園などのICT化をサポートするサービスを提供するKids Diaryに出資し、保育ICT事業に参入することを発表した。グローバル・ブレインが運営するベンチャー企業への出資を目的とした「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じて出資が行われる。

 Kids Diaryは、保育園と保護者向けの電子連絡帳アプリ「Kids Diary」を提供しており、すでに約250の保育園に導入済みだという。同アプリを中心として、KDDIは、端末や通信のサポート、これまでの自治体との接点を活用しながら、利用者の拡大をしていく。また、保育園だけでなく塾や習い事向けにも活用シーンを拡大していくという。

 さらに、Kids Diaryを中核としたスマート保育園プラットフォームの創出にも取り組む。会計管理や人事管理、また5Gを利用したネットワークカメラとの連携を一つのプラットフォームとして提供する予定。

園児の体温や食事記録から連絡帳作成まで可能なKids Diary

 電子連絡帳アプリ「Kids Diary」は、保育士の忙しさを考慮し、キーボード操作ではなく、直感的に項目を選択して操作できるよう設計されているという。

Kids Diary。登園管理画面
園児の体温を入力する画面

 アプリでは、保育士が登園、体温、食事、午睡(昼寝)、排泄の管理がクラスごとに一覧で可能となっている。登園管理の画面では、未登校、登校済みといった表示のほかに、保護者側のアプリで欠席連絡を入れると、保育士側の画面に欠席連絡があった園児も反映される。

どれだけ食べたか、どのように寝たかを項目選択で記録できる
保護者側に送られる連絡帳

 食事、午睡などの項目はなにをどれだけ食べたか、どの向きで寝たかなどといった項目が用意されており、保育士が簡単に園児の状態を入力可能。これらの情報が自動的に集約され、その日の連絡帳が作成される。連絡帳は、配信時間を設定して保護者に配信することも可能。

お知らせ機能

 また、お知らせ機能も用意され、どの保護者が確認したかなどの“既読”を確認する機能を備える。災害時向けの緊急お知らせ機能があり、アプリの通知以外にも登録したSMSやメールに同時に内容を配信可能。

 Kids Diaryは、保護者が独自のアカウントを作成し、保育園に招待される形でサービスが提供される。そのため、卒園後などでも連絡帳などデータを残すことができる。

 アプリを導入することで、これまで保護者とは、紙の連絡帳や、電話などでコミュニケーションをしていたが、電子化されることで情報の共有がしやすくなり、保育士の負担軽減にもつながるという。

 料金システムは、利用するユーザーのID数により金額が異なり、30名までの利用で月1万円、60名までの利用で2万円となる。自治体からの補助金により負担はこれよりも軽くなるという。

 デモではiOS向けのアプリが用意されていたが、Android版のアプリも用意されている。

保育現場ICT化は約3割程度、シェア1割弱を獲得へ

KDDI ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本美佐氏

 KDDI ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本美佐氏は、保育ICT化事業参入にあたり、Kids Diaryを選んだ理由について、保育現場においてICTが、使い勝手の面で定着化していないことを挙げた上で、Kids Diaryはユーザーインターフェースが直感的で使いやすい点などから提携に至ったと語る。

 スマート保育園プラットフォームについては、まだ構想中だが、2~3年のうちに開発したいと表明した。

 KDDIは、英会話のイーオン、キッザニアの子会社化などで教育分野に取り組んでいるが、今回の提携も誕生から成人までのトータルでのユーザー接点の一つとして位置付けたいとしている。

 また、KDDIの担当者によると、保育現場へのICT化は全国で約3割程度であり、2~3年中にシェアの1割弱を満たしたいと目標を設定している。

KDDI 宮本美佐氏(左)とKids Diary 代表取締役 スタンリー・ン・イエンハオ氏(右)