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沖縄セルラー、5G商用化を見据え沖縄・九州間に新たな海底ケーブル敷設

南海トラフ地震の影響を想定し、東シナ海ルートを採用

海底ケーブル

 沖縄セルラーは、5G時代のトラフィック増加を見据え、KDDIの協力の下、沖縄・九州間の新たな海底ケーブルを敷設すると発表した。

 沖縄と九州を結ぶ海底ケーブルは、これまでに宮崎県から太平洋側を通る2本のルートがあったが、今回敷設される海底ケーブルは、鹿児島県日置市から東シナ海側を通り、沖縄県名護市に繋がる新経路となる。沖縄セルラーによれば、南海トラフ地震の影響を考慮し、太平洋側のルートとは別経路で通すことにしたという。

 全長は約760kmで、2020年4月の運用開始を予定。回線容量は80Tbpsで、2020年に5Gが商用化された際のトラフィック増加への対応も可能となる。

海底ケーブルの敷設ルート
八重瀬町にある既存の中継所
内部は撮影禁止
屋上から見た海辺の風景
沖縄セルラー電話 常務取締役 技術本部長の山森誠司氏

 沖縄セルラーは18日、那覇市内の同社本社において発表会を開催し、常務取締役 技術本部長の山森誠司氏がその意義を説明した。

 同氏によれば、太平洋側のルートで二重化は行っているものの、大規模災害で伝送路が断たれ、通信が途絶えると救助活動や支援物資の配送にも大きな影響が出る可能性が否定できない。また、従来のルートは2つの経路で二重化しているものの、中継所は八重瀬町の1つで、その設備に被害が出た場合には通信障害が発生する可能性がある。

 そこで、新ルート用には新たに名護市に中継所を開設。県外との接続拠点も二重化することで、万が一に備える体制を整える。整備された通信環境は、基本的にKDDIグループが使用していくことになるが、同氏は「沖縄に貢献するような形で他社が使いたいということであれば、拒否するものではない」と語る。

KDDI 理事 ネットワーク技術本部長の斎藤重成氏

 KDDI 理事 ネットワーク技術本部長の斎藤重成氏は、島国の日本のインターネットにおける海底ケーブルの重要性を強調する。国外との通信は、海底ケーブルか衛星かのいずれかの手段を用いて行うことになるが、実にその通信の99%が海底ケーブルを経由しているという。

 これまでにKDDIでは国内11カ所に中継所を設置し、海底ケーブルによる通信を支えてきたが、今回の新ルート敷設にあたり、沖縄県と鹿児島県にそれぞれ新たな中継所を開設する。

 同氏によれば、既存ルートの回線容量は合計で約8Tbpsだった。新ルートでは10倍に増速されることになるが、これは海底ケーブルではなく、中継局側の設備の進歩により実現されるもので、時期は未定だが、既存中継局の設備も同様に入れ替えれば増速が可能という。