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沖縄セルラー、離島のLTEエリア拡大と災害時対策の取り組み
(2014/3/19 18:32)
沖縄セルラーは、2014年3月時点で、音声通話が可能な地域でのLTE実人口カバー率が99.8%となったことを発表した。人口カバー率とは、沖縄県を500m四方に区分したメッシュのうち、該当するメッシュにいる人口の割合。沖縄県本島と離島を含む46の有人島(東西約1000km、南北400km)をカバーしている。陸続きの本島とは違い、クリアしなければならない問題が多くある中で、回線構築に取り組んできたという。
沖縄セルラーの北川社長は、沖縄の各離島において「島民全員が100年auを使ったとしても採算はとれない」とコメントしている。それでも、同社では“離島を含む沖縄県の隅々までつながる”ことを重要視している。沖縄の離島のひとつである北大東島の基地局を取材した。
本島から遠く離れた島でもauサービスが使えるように
離島では基地局までの回線を構築することが困難だ。有線での回線が使用できない場合、有線回線がある場所から「無線エントランス」という技術を用いて、電波として飛ばしている。無線エントランスでは、中継局との間に遮蔽物がない場合、約8km先の基地局まで広げることができる。
南・北大東島は、大東諸島に属する島で、沖縄本島の東、約360kmに位置する。2007年6月にauサービスを開始した当初、KDDIの那覇ビルから衛星を経由して回線を繋ぐ「衛星エントランス」を利用していた。そこへ2012年2月に、海底線ケーブルを導入することで、衛星エントランスは廃止された。海底線ケーブルは、他社とも回線を共有している。
海底線ケーブルは、沖縄本島と南大東島の南側の基地局を繋ぎ、南側の基地局から北側の基地局を無線エントランス(1Hop目)で繋ぐ。南大東島の北側の中継局から、さらに北大東島の基地局を無線エントランス(2Hop目)で電波を飛ばして、エリアを構築している。
基地局の災害時対策
離島を含む沖縄県全域では、2011年から2013年7月まで、総費用5億円をかけ、災害時に強い基地局の構築を行った。離島の基地局における災害対策として、台風などの影響で基地局が壊れた場合でも、もうひとつの基地局があることでカバーできるように構築されている。
北大東島では、基地局の他に南大東島の電波を増幅する局を建設し、無線エントランスが故障した際にも、増幅機から中継局に電波を飛ばして、サービスが利用できる。
このほか、災害時の迅速な対応策として、停電した場合でも、可搬型電源設備と可搬型基地局を用意し、それを稼働させることでカバーする。2010年10月22日鹿児島の奄美大島の豪雨で被害を受け、KDDIから出動要請を受けた沖縄セルラーは、現地派遣要員3名と共に、これらの設備を用いた復旧支援を実施したという。