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KDDI、ARグラスを使ってプロ野球を観戦する実証実験
2018年10月3日 07:54
KDDIは10月2日、ARグラスを使ってプロ野球の試合を観戦する実証実験を札幌ドームで実施した。
今回の実証実験は、5G時代を見据え、ODG(Osterhout Design Group)製のスマートグラス「R-9」を活用し、スタジアム内のシートから、実際の試合を楽しみながら、さまざまな付加情報を提供しようというもの。
テレビ放送用の中継映像に加え、データスタジアムのデータを元に選手の調子や打者のホットゾーン、1球ごとの投球コース、テキスト速報などをチェックできる「スタッツモード」と、打者がよく打つ方向をコース別打率図として確認できる「スカウターモード」の2つのモードが用意され、自由に切り替えて楽しめる。
KDDI ライフデザイン事業企画本部 ビジネス統括部長の繁田光平氏は、球場外でVRゴーグルを使ってプロ野球を観戦できる「XRstadium」を7月25日に立ち上げたほか、5Gを活用して球場内で自由視点映像をタブレットにリアルタイム配信する実証実験などに同社が取り組んできたことを紹介。今回はさらに球場内での新たな観戦体験を実現したいとして、スマートグラスを活用することにしたという。
今回の仕組みでは、データスタジアムが提供するデータと中継映像を球場内に専用に構築した無線LAN経由でスマートグラスに配信。これをスマートグラス側のアプリで合成し、ユーザーが見ている風景に重ね合わせて表示する。
繁田氏は、「今回は無線LANを利用しているため、中継映像の遅延という課題を抱えている」とした上で、その克服については「5Gに期待したい」と語る。同氏はまた、「初めて球場を訪れる人に向けて、トイレの場所を案内したり、応援歌のワイプを表示したり、常連にはお気に入りの売り子が来ているかどうかを表示したり、人によって情報を出し分けることも検討していきたい」と、さまざまな拡張の可能性も示した。
同サービスを実際に体験した感想としては、スポーツ観戦の新たな可能性を感じるのは確かだ。ただ、表示領域が狭いというスマートグラスの技術的課題もあり、表示されている情報を確認するためには首を振って視点を移動させる必要があり、これが視線の移動だけで確認できるようになれば、より自然な形で観戦できるとも思えた。
まだまだ実証実験がスタートしたばかりで粗削りなところもあるが、同社ではサッカーやクライミングなど、さまざまなスポーツのサポートにも取り組んでおり、5G時代に向けて野球以外の競技でも今までに無い観戦体験が実現されることを期待したい。