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ワイヤレス給電の世界市場は1223億円規模、矢野経調査

 矢野経済研究所は、2018年のワイヤレス給電市場を調査した。調査期間は2018年3月~7月で、部品メーカーや業界団体に対して行われた。調査においての市場には、ワイヤレス給電用の受電モジュール、受電機器が含まれている。

市場規模はスマホ向けが多くを占める

ワイヤレス給電世界市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所)

 2017年のワイヤレス給電市場は、メーカー出荷金額のベースで1223億1000万円だった。全体の規模の中でもスマートフォン向けの小型電子機器用の市場規模が多くを占めている。2018年の市場規模は、他の用途の市場も増加し、前年比42.4%アップの1741億5000万円を見込んでいる。

スマホによるワイヤレス充電の普及

 スマートフォンにワイヤレス給電機能を初めて搭載した機種は、2011年発売のシャープ製「AQUOS PHONE f SH-13C」で、その後も富士通などの日本メーカーがNTTドコモと共同でおくだけ充電対応端末としてQi規格対応のスマートフォンを発売していたが、充電スピードや精度の問題であまり普及しなかったと同調査では分析している。

 同社は、2015年にサムスンの「Galaxy S6」がワイヤレス給電に対応したことで、ワイヤレス給電対応の端末が市場に現れ、対応の充電器が発売されるなどワイヤレス給電の知名度が上がったと説明する。

 また、同社は普及を滞らせていた規格の競争もほぼ決着がついた状況と分析している。主な規格は、WPCのQi、AirFuel AllianceのAirFuel Inductive(旧称PMA)、AirFuel Resonant(旧称Rezence)があるものの、WPCのQiがワイヤレス給電の主流となっている。2017年にはAppleがWPCのメンバーになったことで家具メーカーなどの企業が参加し始めており、2017年9月のメンバーは252社であったが、2018年6月には583社まで増えている。

スマホのワイヤレス充電普及により、成長スピードが鈍化

 同社は、今後は市場の成長スピードは落ちていくと予測している。2017年に市場規模の65%を占めているスマートフォン向けのワイヤレス給電システムの普及が一段落するためと分析し、2019年には前年比26.2%アップ、2020年には前年比8.6%アップにとどまる。

 しかし、2023年にはさまざまな分野で受電機器が搭載されることにより、市場規模は3590億円まで成長すると予測している。