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ファーウェイのPC/タブレットが目指す世界とは、キーパーソンのワン氏に聞く

 スマートフォンやタブレット、パソコンといったデバイスで、着々と存在感を高めるファーウェイ。グローバルのコンシューマービジネスグループCOOを勤めるワン・ビァオ(Wan Biao、万彪)氏が来日し、日本メディアのグループインタビューに応じた。

ワン氏

 同社製品の中でも、パソコンやタブレットといった製品群をリードするワン氏は、ここ数年、スマートフォンが急速に進化した一方で、パソコンの進化感が「スマートフォンよりも遅れている感じがあることは否めない」と率直にコメント。そうした中で、より多くのユーザーに向け、技術面に強みを持ちながら製品作りを心がけており「ハイテクなワークスタイルを提供したい」と意気込む。

 特に重要な点として、洗練されたスタイリッシュさ、ファッション性を、スマートフォンでの経験を踏まえてパソコン側にも取り入れることや、パソコンとスマートフォンのシームレスな連携やAIなどの先端性のある技術要素の取り込みが重要と語る。

技術面で目指す「コネクティビティ」と「AI」

 ワン氏は、「新しい要素はどんどん取り入れたい。ファッション性を重視しつつアプリをUX(ユーザー体験)をさらに向上させたい」と説明。

 そのうちテクノロジー面でのトレンドについては、いつでもどこでも接続された状態になるとして、4Gと5Gを融合させるという方針を示す。ただ、2017年にリリースしたMateBookでは、LTEモデルの存在を公表しつつも、いまだ発売していない。これは、現在の利用シーンの主流が室内であるため、とワン氏。LTE対応によりコストアップすることも踏まえると、社内で検討を進めているところだという。

 また別の技術的な要素として紹介されたのは、いわゆるAI。ファーウェイのスマートフォンでは、AI用のプロセッサーを搭載し、処理能力を向上させつつ、消費電力を抑えている。こうした点は、自社のみならずサードパーティにも解放し、より良い体験、より使いやすいアプリの登場を促す方針。ハイエンドのみならず、ローエンドでもAI専用プロセッサーを導入する可能性はありつつも、スペックに違いが出るとも語る。

Androidタブレットの優位性追求

 ファーウェイでは、スマートフォンだけではなく、Androidタブレットでも意欲的に製品を投入している。ファーウェイとしては、全ての利用シーンを網羅したスマートライフソリューションを提供したい、と全体的なゴールを踏まえたワン氏は「スマートフォン以外にも一定のニーズがあると思っている」と語る。

 ユーザーにとって、今や最も身近なスマートデバイスがスマートフォンとなり、業務など生産性を高める場合にパソコンが利用されている。一方、両者の狭間にあるかのようなタブレットは「大画面」「エンターテイメントコンテンツの体験」「業務での活用」と、幅広い用途に耐える必要がある。ワン氏は、それらが強みであり、特に法人向けでは大きな伸びしろがあると信じているという。

 ファーウェイが継続してタブレット市場に注力する中で、2018年上期、市場全体としてはダウントレンドにあっても、ファーウェイのタブレットは20%の成長を遂げていることが明らかにされた。

Surface Goへの対抗は?

 今回の会見の直前となる7月10日~11日には、マイクロソフトが新たなデバイス「Surface Go」を発表した。比較的廉価で、タブレットかつパソコンとしても利用できる2in1なデバイスだが、ファーウェイではどう対抗していくのか。

 2年前のMateBookでは2in1モデルを投入しており、軽くて持ち運びやすいモデルに興味はあると語るワン氏だが、課題となるのは処理能力と稼働時間と指摘する。

 ワン氏は「軽めなラップトップのニーズはあると認識しており注目している。ただ、ファーウェイ社内では主流となるマス向け製品に集中し、テクノロジーとファッション性を極めていくことに注力したい」と説明し、ライトな2in1モデルにはやや距離を置いている状況を紹介した。

 これに関連し、スマートフォン向けチップセットとしてファーウェイ製品によく採用されるHiSilicon(ハイシリコン)製品が、パソコン向けに搭載されることがあるのか、という質問に、ワン氏は「その可能性は否めないが、近い将来での計画はない。互換性の問題を解決しなければならない」とコメントした。