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ドコモ、5Gの活用事例を法人パートナー向けに公開

 NTTドコモは5Gの世界を体感できるユースケース展示する「5G PREMIUM SHOWCASE」を報道関係者向けに公開した。

低遅延をいかしたブルードーザーの遠隔操作

 NTTドコモは過去にもコマツとパートナーを組み、ショベルカーを遠隔操作するソリューションを公開していたが、今回はブルドーザーの遠隔操作のデモを行った。重機に搭載する通信システムを小型化したとにより、ショベルカーの旋回だけでなく、ブルドーザーの移動も実現可能になったという。デモでは実際に東京の赤坂にある会場から千葉県千葉市にある「コマツのIoTセンタ」にあるブルドーザーを遠隔操作した。実際の操作では手元のコントローラーで操作をするとすぐに重機が動き、ほとんどタイムラグは感じなかった。

実際に操作する様子
システムの構成

 ブルードーザーをうまく操作するには熟練工の操作が必要と言われてるが、このシステムには自動制御機能もついており、熟練工の不足による、人手不足解消が目的だといわれている。

大容量通信をいかした移動診療車による遠隔治療

 移動診療車を、イメージしたブースでは、総合病院の診察室と5Gでつなぎ、妊婦検診を想定したデモが公開された。妊婦のエコーをあてた画像が、相互でリアルタイムで確認でき、4Dエコー(超音波検査)も遅延なく伝送していた。また、妊婦の顔色をカメラで総合病院側に伝送し、総合病院側の医者がみることで貧血の状態にある、といったことも確認できていた。

想定される移動診療車内のイメージ
伝送されるエコー画像
妊婦の顔色をカメラを使って伝送する

 地方など、医者が少ない地域に移動診療車を派遣し、都市部との医療格差をなくすことが目的だという。

「人型ロボット」による遠隔操作

 工場で有毒ガスが発生したという想定で、実際に人がロボットを遠隔操作をし、障害物の移動、ガスを止めるためのハンドルを回すといったデモも行われた。操作する人はヘッドマウントディスプレイをつけ、実際にロボットが見ている映像が伝送され、それに合わせて手などを実際に動かして操作する。

ロボットの操作を行う人
操作される「人型ロボット」
ポテトチップスの力触覚を双方向に伝達するデモ

 また、慶応義塾大学とパートナーを組み、力触覚を間接的に手元に伝えるデモも行われ、将来的には5Gを通じて、力触覚情報を「人型ロボット」経由で伝えるようにする。

 災害時など、人命をかけた対応でも高速・低遅延による5Gを生かし、災害復旧が可能になる。

人の動きをAIで検知するセキュリティシステム

 ALSOKとパートナーを組み、オフィスなどのビルに設置された4Kカメラからのライブ映像を送り監視センターから、映った人の行動検知をしてそれにあわせた警備員の対応をするというデモが披露された。うずくまる人をAIにより検知し、警備員が対応に行くなど、セキュリティー面だけでないシステムの使われ方が提案された。

監視センターのイメージ
「うずくまる」という動体検知をした画面

 5Gの無線技術ならではとしては、イベント会場などの一時的な会場でも、設備を敷くことなく、このシステムがいかせるという。

「分身ロボット」による遠隔での体験

 凸版印刷がパートナーになり、360度カメラを搭載した「分身ロボット」を遠隔地に配置し、カメラからの映像を5Gによりモニター側に表示するデモも行われた。伝送された側のモニターを見ながらコントローラーでカメラの向きやロボットの前進などの操作が可能。ヘッドマウントディスプレイなどではなくモニターで映像を表示する点は、一人ではなく、学校など多人数で同時に見ることも想定されているためという。

「分身ロボット」
モニターに表示している様子

 遠隔地で一緒に家族旅行に行けない高齢者が家にいながら家族との旅行を疑似体験するなどの用途が想定されている。

その場にいるかのようなライブビューイング

 5Gの通信設備を備え、内部に4つの4Kプロジェクターを搭載し、正面から側面までいっぱいに映像を映し出すことのできる大型車両(デモバス)。その場にいるかのような没入感のあるスポーツ観戦が可能になる。車外に置いたカメラの映像をスクリーンに映し出すことにより、壁が窓になったかのように見ることもできる。

「デモバス」
内部からみたディスプレイ
車外の様子を映し出すカメラ

高速移動環境での5G通信

 4月に実施された高速移動時における5Gの通信実験についての説明も行われた。同実験では、5G通信の実験において、時速200kmで車両に搭載されたカメラからの4K映像ライブ中継に成功し、293km走行時には5Gのハンドオーバーに成功している。実験ではGT-Rが使用されたが、新幹線などの高速移動環境でのサービスの提供を想定したものとなる。

実験に使われたGT-R
搭載された通信設備

XPERIAを冠した新モビリティ

 ソニーが開発した「ニューコンセプトカート」も展示。同車両には、5Gの通信設備と4Kの超高感度カメラが4つとディスプレイが搭載されている。内部のディスプレイには外のカメラの映像が映し出され、肉眼でみたものと遜色ないようにみえた。デモでは夜間の走行時の場合の映像が表示されたが、肉眼より明るく外の映像が映し出される。5Gの通信を使い、こちらのカートが映した映像を沖縄にあるもう一台のカートに伝送し、沖縄から遠隔操作をするといった実験が行われている。

 ほかにも、外のカメラで写した人の性別・年齢・服装といった情報を判断し、4つそれぞれのディスプレイに、その人にあわせた広告を表示するなど、アドカーのような使われ方も想定している。

コンセプトカート
内部のディスプレイから見える車外の映像

 同展示では、ほかにも、5G無線基地局と電波ビームの軌跡を可視化する装置などが展示されており、法人・ビジネスパートナー向けに1週間にわたって公開されている。公開された展示の一部は、5月24日~26日に東京ビッグサイトで開かれるワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)でも展示される予定。