ニュース
IoTを実証実験から正式採用へ、BIGLOBEがAndroid端末「BL-02」
2018年4月11日 12:04
ビッグローブ(BIGLOBE)は、法人向けにIoTでの活用を想定したAndroidデバイス「BL-02」の提供を開始した。サンプル価格は3万9800円(税抜)。
「BL-02」は、2.8インチ(240×320ドット)ディスプレイや10軸センサー、GPSを備え、重さ約102gに仕上げられたAndroid端末。単体で位置情報、加速度、気圧などを計測しつつ、Wi-FiやBluetoothもサポートし、IoTデバイスに対して、通信ゲートウェイとしての役割も果たす。モバイル通信では、auとドコモのLTE回線に対応。
大きさは93.8×57.4×15.4mm。Android 6.0を採用。メモリは1GB、ストレージは8GB。CPUはCortex-A7 1.1GHzのクアッドコア。防水防塵性能をサポートする。連続待受時間は約420時間。
IoTを導入しやすく
ここ最近、テレビCMなどで個人向けのMVNOサービスをアピールしてきたBIGLOBE。その一方で、かねてより数多くの企業・団体にさまざまなソリューションを提供している。たとえば位置情報を活用して山間部の鳥獣対策を提供したり、海洋データを用いて漁場の予測をしたりするなど、その内容は幅広い。
そうした中で、少子高齢化などから労働力が不足している、あるいは、インバウンド対応に向けた多言語対応など、社会的課題をもとにした企業から解決策を求める声が増えている。そこでIoTを活用して、ユーザー企業のニーズに応える取り組みが増えている。
BIGLOBEでも、たとえば生産現場で導線を効率化する、あるいはノウハウを若手に継承するためにベテランスタッフの動きを見える化して教材として残せるようにする、といったアイデアでサービスの提供を模索している。
そのためには、他の一般的なIoTの取り組みと同じように位置、加速度、地磁気などさまざまなセンサーで集めた情報を、モバイル通信でクラウドにアップロードすることになるが、企業においてはセンサーが数百種類も選択肢があったり、センサーをネットに繋ぐためのゲートウェイはセンターとの相性問題が発生し得る。モバイル通信ではIoT向けのサービスはまだ選択肢が少ない。センサーで集めたデータを全てクラウドへ送信するとデータ通信量が莫大になるため、一部は、センサーに近い場所、つまりエッジコンピューティングで処理することになる。しかしエッジ処理のためのプログラム開発はそう簡単ではないという。
今回の「BL-02」は、IoTを活用したい企業にとって、ハードルを手軽に乗り越えられるデバイスとして用意されることになった。センサーも単体で多くカバーできるほか、Androidデバイスのためエッジ処理のためのアプリ開発もしやすい。これはアプリ開発者が多いことのほか、電源の自動ON/OFFやアプリと連携した再起動などファームウェアのカスタマイズもできることも含んだ特徴になる。
Androidデバイスのため、スマートフォンでも似たようなことができそうだが、「BL-02」には、業務に必要な機能に絞っていること、コンパクトなサイズであること、継続して供給しやすいこと、業務ごとにカスタマイズしやすいことといったメリットがある。
BL-02の活用例
具体的なサービスとして、たとえばオプティム(OPTiM)のAIサービスを使う場合、高齢者に「BL-02」を携帯してもらい、バイタルデータを収集して、病気の兆候などを把握する、といった活用が可能になる。マルティスープ社と連携することで、工場や病院、農業といった現場で、BL-02のセンサーを使って集めた各種情報をクラウドAIで分析し、管理者へ導線の効率化などを提案できる。
翻訳のカスタマイズも一例のひとつ。業界によって異なる固有名詞をきちんと登録することで、訪日外国人へ適切な案内ができるようになる。たとえば「銀の鈴は地下一階です」と、東京駅地下にある場所へ案内する場合も、何もカスタマイズしていなければ「銀の鈴」が直訳されてしまうが、固有名詞としてカスタマイズして正しく翻訳できるようになる。