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docomo withは“引き留め策”と不公平感の解消~ドコモ吉澤社長が語る

 NTTドコモは、2017年夏モデルとともに、新たな料金プラン「docomo with」を発表した。特定の機種を購入すると毎月1500円安くなるという割引サービスのように見えて、その実は料金プランというもの。新プランを導入する背景や狙いは何か、代表取締役社長の吉澤和弘社長は「ドコモに留まって欲しい」「不公平感の解消」の2つだと語る。

同じ機種を使い続ける人にメリット

 夏モデルのうち、「arrows Be F-05J」「Galaxy Feel SC-04J」を購入すると、いわゆる端末購入補助、ドコモで言う「月々サポート」が適用されないが、その機種を使い続けている間、毎月の支払い分から1500円、割り引きする「docomo with」。

 吉澤社長は、総務省の有識者会合で「頻繁に機種変更する人が得をして同じ端末を使い続ける人は損しているのではないか」と過去に取り上げられたことを紹介。docomo withでは、同じ機種を長く使い続ける人にメリットがある、と語る。つまり不公平感の解消に繋がるという説明だ。

 これは、長くドコモを使う人に向けた施策にもなる。格安スマホに乗り換える人は一定数存在するが、それへの対策ではない、としつつ、docomo withはドコモに留まってもらうための取り組みと吉澤氏は語っており、結果的に他社のサブブランド型格安スマホや、MVNOへの対抗策になり得ると語る。

わかりやすさと端末価格

 一方、対象機種が2機種に絞られ、それもミドルレンジの機種になったことは、わかりやすさと端末価格が影響しているのだという。

 吉澤社長によれば、「docomo with」は端末購入の新たな選択肢という位置付け。過去には割賦を選べるバリュープランとそうではないベーシックプランという料金プランを用意したものの、ほとんどのユーザーがバリュープランを選んだ。

 今回、docomo withを提供するにあたり、もし月々サポートと混在、つまりどちらかを選ぶ形で提供してしまうと、ユーザーからするとお得かどうか判断しづらく複雑化してしまうことを懸念したのだという。そこでまずスタート時点では、特定の機種で月々サポートを選べない代わりに「docomo with」にする、という形でわかりやすくした。

 またミドルレンジになったことは、端末価格、すなわち買い求めやすいかどうか、という観点で判断された。つまり、ハイエンド、フラッグシップな機種であれば価格は8~10万円程度になってしまい、「docomo with」の適用対象とした場合、そもそも端末価格が高いため手を出しづらいのではないか、という見立てだ。

 今後も「docomo with」対象機種を拡充する考えで、ユーザーの反応を見て、対応も決めていく。

NTTドコモの吉澤社長

「docomo with」、総務省のガイドラインに違反しない?

 ここ数年、日本の携帯電話業界は、端末価格を大幅に上回るキャッシュバックが行われ、それに対して総務省が是正を求める、といった流れになっていた。その結果、総務省が携帯各社に割引額の適正化を求めるガイドラインが策定されるまでになった。

 特定の端末の購入が条件になる「docomo with」はそうしたガイドラインに違反しないのか、という問いに、NTTドコモの料金制度室長である田畑智也氏は、事前に総務省には確認したことを明らかにしつつ、ガイドライン上、子供向け/シニア向けの割引や、適用期限がなければ問題がないと説明する。

 たとえば「arrows Be」を今回購入した人が、数年後、中古端末やSIMロックフリーの機種を購入すると、ドコモのデータベース上では「arrows Be」を使い続けていることになり、「docomo with」の割引は適用され続ける。この背景として田畑氏は「対象機種を使うことを辞めたときに、もし1500円引きを辞めるという形にするとガイドラインに抵触するのではないか。端末変更に伴って割引を辞めると端末購入補助と見なされかねない。そういった点が問題視されていない理由ではないか」と説明していた。