MWC Barcelona 2023

おなじみのロゴを刷新したノキア、MWCで披露された6Gのコンセプトデモとは

 フィンランドの通信ベンダー大手のノキアは、MWC Barcelonaでおなじみのロゴを刷新。B2Bのブランドであることを、より明確に打ち出した。海外では同社の名を冠するスマートフォンも発売されているが、こちらは、フィンランドのHMD Globalがライセンス契約を受けて製造している。MWCのノキアブースでは、5Gのソリューションや6Gのコンセプト、基地局などが出展されている。

ロゴを刷新したノキア。情報が事前に漏れないよう、発表までブース全体が黒幕でおおわれていたという

 2030年前後を目途に商用化される6Gでは、端末との通信だけでなく、電波を使ったセンシングや、低遅延を生かした感覚の共有など、新たなユースケースが期待されている。ノキアも、6Gのコンセプトとして、センシングに応用するためのデモをブースで披露した。ミリ波の電波を射出し、人の動きを検知するというのがデモの趣旨だ。

6Gでは、電波をセンシングに応用する技術の導入を検討している。写真はそのデモで、人の動きに合わせて鍵盤が動く。画面内のコンテンツは、複数から選択できるようになっていた

 以下は、そのデモの動画になる。画面上を飛んでいる蝶の動きに注目してほしい。動画の途中から、筆者が横切るが、それを追うように蝶が動いていることが分かる。筆者のいる場所をミリ波の反射で検知し、その位置に映像を連動させているというわけだ。UWBやBluetoothなどの電波を使い、位置を検出する技術はほかにもあるが、ミリ波の場合、人間だと30cm程度、物体だと10cm単位で位置を検知できるという。

途中から横切った筆者を、蝶が追う様子が見て取れる
こちらは、筆者視点の映像

 デモはエンターテイメントとして楽しめるようなものだが、自動運転やファクトリーIoTなど、さまざまな用途に応用できる可能性がある。通信そのもの以外にモバイルネットワークの電波を活用していく動きは、6Gに向けた新たなトレンドとして注目しておく必要がありそうだ。

 また、ノキアは、ドコモやNTTと6Gの主要技術の定義や開発で提携することを22年に発表しており、その成果の一部がブースで公開されていた。実証を行ったのは、AIを活用した無線インターフェイス。ノキアのブースでは、そのロードマップや実験結果を展示している。AIの活用でオーバーヘッドを削減することで、スループットが最大で30%向上したという。

無線インターフェイスにAI、機械学習を実装することで、信号のオーバーヘッドを削減し、通信速度を向上できたという

 ほかにも、ノキアブースではアンテナとベースバンドユニットを一体で箱に入れ、ケーブルに吊るす形で設置するオールインワン基地局や、Sub-6に対応したWi-Fiルーター程度のサイズの基地局などを展示。ベースバンドユニットを水で冷却した際に出る熱を暖房に活用し、(暖房側の)消費電力を抑えるソリューションなども出展している。

一体型の基地局。ケーブルに吊るすように設置する
コンパクトな屋内用基地局も展示。こちらも、アンテナとベースバンドユニットが一体になっているという
ベースバンドユニットを冷却した際に暖かくなった水を、暖房にするというソリューション