【MWC19 Barcelona】

ファーウェイ、折りたたみ5Gスマートフォン「Mate X」、ノートパソコンなどを発表

 MWC19 Barcelonaの会期前日となる2月24日、ファーウェイはスペイン・バルセロナのFira Barcelonaで発表会を開催し、5G対応をうたう折りたたみ型のAndroidスマートフォン「HUAWEI Mate X」やCPE端末、モバイルWi-Fiルーター、Windowsノートパソコン「MateBook X Pro」などを発表した。

2018年のスマートフォン出荷台数は2億台を突破

2018年のスマートフォンの出荷台数は2億台を突破

 発表会の冒頭では同社CEOでコンシューマビジネスグループ担当のRichard Yu(リチャード・ユー)氏が登壇し、同社のコンシューマビジネスの近況が説明された。

 同グループの2018年の収益は520億円を超え、スマートフォンの出荷台数は2億600万台を記録したことが明らかにされ、会場からは大きな拍手が送られた。フォーブスやBrandFinanceなどのブランドランキングが軒並み上昇したという。なかでもスマートデバイスの成長が顕著で、タブレットが14%増、パソコンが335%増、ウェアラブル端末が120%の成長を記録している。

ファーウェイはこれまで数多くの先端技術をいち早くスマートフォンに搭載してきた

 こうした成長を支えているのが高い品質に裏付けられた最先端の技術で、これまでも世界初のワンタップ指紋認証、革命的なモバイルカメラ、世界初のワイヤレスリバースチャージ、急速充電などを例として挙げた。

5G対応折りたたみスマートフォン

発表された「Mate X」を手にする同社CEOでコンシューマビジネスグループ担当のRichard Yu(リチャード・ユー)氏

 今回の発表会で会場からもっとも大きな歓声で迎えられたのが5G対応折りたたみスマートフォン「Mate X」だ。

 発表会でプレゼンテーションを担当した同社CEOでコンシューマビジネスグループ担当のRichard Yu氏は、同社がスマートフォンで多くの人をつなげてきたことを挙げながら、さらに多くのことをスマートフォンで実現できると信じているとして、決済や写真、ソーシャル、ビジネス、読書、ショッピング、教育、エンターテインメント、旅行、スポーツ、教育などを挙げた。これらを実現するために、スマートフォンには「没頭できるスクリーン」「コンパクトで持ちやすい」「高い接続性」「高いバッテリー性能」が必要であるとした。

世界でもっとも高速な5G対応折りたたみスマートフォンを謳う「Mate X」

 その答えとして発表されたのが、Richard Yu氏が壇上で高く掲げた5G対応折りたたみスマートフォン「Mate X」になる。「World's Fastest Foldable 5G Phone」と銘打たれたMate Xは、本体を開いた状態で2480×2000ドット表示が可能な8インチのOLED(有機ELディスプレイ)を搭載し、ディスプレイを外向きの状態で折りたたむことができるボディ構造を採用する。

本体を開いたときは8インチ、閉じたときは6.8インチと6.38インチで構成されるディスプレイ
「Falcon Wing Design」と名付けられたユニークなボディ

 折りたたんだ状態では前面が6.8インチで2480×1148ドット表示、背面が6.38インチで2480×892ドット表示が可能。折りたたみ時の対角サイズの違いからもわかるように、板状のディスプレイを等分に折りたたむのではなく、一方の幅が広く、もう一方の幅が狭い状態で折りたたむ構造で、これを「Falcon Wing Design」と名付けている。

他の折りたたみスマートフォンのようなノッチはなく、フル画面のディスプレイを搭載

 折りたたんだ状態での対角サイズはiPhone XS MaxやGalaxy Foldよりも広く、本体を開いたときのディスプレイはGalaxy Foldのようなノッチもなく、ほぼ全面をディスプレイが占めるデザインに仕上げられている。折りたたみ部分のヒンジは100以上の部品で構成された特許を持つ構造で、折りたたんだ状態でもディスプレイ部分が自然に曲がるという。

ボディは他ジャンルの製品と比べても薄い仕上がり

 本体を開いた状態でのボディの薄さは、他ジャンルの製品と対抗できるもので、iPad Proの5.9mm、他の折りたたみスマートフォンの6.9mmに対し、Mate Xは最薄部で5.4mmに抑えられている。折りたたんだ状態の厚さも他の折りたたみスマートフォンが17mmもあるのに対し、Mate Xは11mmに抑えられており、6mmも薄く仕上げられている。

 本体を開いた状態の8インチのディスプレイは、ビジネスやエンターテインメントなど、さまざまな用途を快適に利用することができ、利用頻度の高いWebブラウジングも左右で別のWebページを表示して閲覧できたり、複数のアプリでマルチタスク操作も可能にする。

カメラは同社製端末でおなじみのLeicaカメラを搭載

 また、背面には折りたたんだときに、背面側に来るディスプレイと合わせる形になるバー状のものが備えられており、ここに同社製スマーフォンではおなじみの独Leicaとの協業によるカメラが内蔵される。形としては背面側にしかカメラが備えられていないが、折りたたみ時は背面側にディスプレイが来るため、自撮りも問題なく利用でき、ポートレートなどで撮影するときも被写体側にも画面があり、そこに撮影時の状態が表示されるため、撮られる側も準備ができる。

ボディカラーは「Interstellar Blue」のみをラインアップ
本体をフルにカバーするケースも用意される

 ボディカラーは「Interstellar Blue」のみ。防水防塵に関するアナウンスはなかった。アクセサリーとして、本体をカバーする「Full Protection Case」が用意される。

同社製の5G対応モデム「HUAWEI Balong 5000」を搭載

 ネットワークについては5Gに対応しており、本体には同社の5Gモデム(通信用チップセット)「Balong 5000」が搭載される。

 Balong 5000は世界初の2G/3G/4G/5Gマルチモード対応モデムチップで、スタンドアローン(5Gのみのネットワーク)とノンスタンドアローン(5GとLTEなどの併用が必要なネットワーク)のどちらのネットワークにも対応するほか、「Sub6(サブシックス)」と呼ばれる6GHz以下では受信時最大4.6Gbps、送信時最大2.5Gbps、mmWaveと呼ばれる6GHzを超える周波数帯では受信時最大6.5Gbps、送信時最大3.5Gbps、5GNRとLTEの組み合わせでは受信時最大7.5Gbpsの高速通信が利用可能となっている。

 チップセットとして、HUAWEI Mate 20 Proなどにも搭載されている「Kirin 980」を搭載し、4つの5Gアンテナを組み合わせることで、6GHz以下で受信時最大4.6GHzの通信速度に対応し、mmWaveもサポートする。この通信速度は理論値ながら、ライバル製品のチップセットの約2倍の速度を実現しており、1GBの動画を3秒でダウンロードすることができる。

 SIMカードはnanoSIMカードのデュアルSIMに対応し、HUAWEI Mate 20 Proに引き続き、nanoSIMカードサイズのメモリーカード「NMカード」によるメモリー増設が可能。メモリーはRAMが8GB、ROMが512GBで構成される。バッテリーは2カ所に分けて搭載され、合計容量は4500mAhになる。

 大容量バッテリーを充電する方法として、55Wの「HUAWEI SuperCharge」に対応し、バッテリー残量がない状態から30分で85%まで充電することができる。充電速度はiPhone XS Maxの6倍に相当し、スマートフォンの充電では世界最速に位置付けられるという。パッケージには55W SuperChargeアダプターが同梱されるが、これはMate Xを55Wで充電できるだけでなく、同時に発表されたHUAWEI MateBookを充電することも可能。

価格は2299ユーロ

 Mate Xの価格は2299ユーロで、発売は今年半ばを予定している。それぞれの国と地域の携帯電話事業者の5Gサービスの開始に合わせて投入される。

本体はショーケース内のみの展示だった。本体を開いた状態(左)と本体を閉じた状態(右)
本体を斜めから撮影。本体の右側にカメラモジュールなどを内蔵したバー状(棒状)の部分がレイアウトされ、指紋センサーが内蔵される
本体を斜め上から撮影。側面も含め、美しく仕上げられている
背面から撮影。左側にカメラモジュールなどを内蔵したバーの部分がある

屋外設置も可能な5G対応CPEやモバイルWi-Fiルーターも発表

5G対応CPE端末を手に持って説明するRichard Yu氏

 5Gに積極的に取り組むファーウェイは、今回、宅内で固定ネット回線のように利用できる5G対応CPE端末の新製品として、「HUAWEI 5G CPE Pro」を発表した。

 筒型のボディにはモデムチップとして、Balong 5000が搭載されており、6GHz以下で受信時最大4.6Gbps、実効値で3.2Gbpsの通信速度を実現する。宅内側にはWi-Fi6対応の無線LANが搭載されており、従来の2倍のカバレッジを実現する。家電製品などを連携するためのHUAWEI HiLinkにも対応しており、さまざまな同規格対応製品を5Gネットワークに接続することができる。

窓の外に設置することが可能な「HUAWEI 5G CPE WIN」も発表
5G対応モバイルWi-Fiルーターも発表された

 また、高い周波数の電波を利用する5Gサービスでは、屋内への電波の浸透が十分ではないことを考慮し、窓の外などに設置可能な「HUAWEI 5G CPE WIN」という製品もラインアップされる。電源はPower Over Ethernetで提供し、筐体はIP65の防水防塵に対応する。この他に、5G対応モバイルWi-Fiルーターも合わせて発表された。

スマートフォンとの連携を重視したMateBook X Pro

昨年、発表されたモデルの後継機種となる「MateBook X Pro」を発表

 今回の発表会では5G対応折りたたみスマートフォンの「Mate X」のほかに、Windows 10を搭載したパソコンの「MateBook」シリーズの新機種として、「MateBook X Pro」が発表された。ちょうど1年前に発表された「MateBook X Pro(2018年モデル)」の後継モデルに位置付けられる。

 本体には3000×2000ドット表示が可能な13.9インチLPTS液晶ディスプレイを搭載するが、同社のスマートフォンと同じように、周囲がかなりの狭額縁で仕上げられており、画面占有率は91%に達する。他のモバイルノートPCでは16:9や16:10などのワイド表示のディスプレイが搭載されることが多いが、MateBook X Proディスプレイは縦横比3:2となっている。ディスプレイはsRGBカバー率100%、450nitsの明るさ、1500:1のコントラストという仕様で、スマートフォンでのノウハウを活かしてタッチ操作にも対応する。

MateBook X ProはMacbook Pro 13インチよりも前後ともに薄く仕上げられている

 ボディはユニボディで構成され、SpaceGrayとMysticSilverの2色がラインアップされる。トップパネル側は昨年、新しくデザインされた「HUAWEI」のアルファベットロゴがあしらわれる。全体的にボディはスリムで美しく、閉じた状態ではMacBook Pro 13インチがヒンジ側で14.9mm、先端側で7.9mmであるのに対し、MateBook X Proはヒンジ側が14.6mm、先端側は4.9mmに仕上げられており、重量も1.33kgに抑えられている。

MateBook X Proを手に持ち、説明するRichard Yu氏

 Wi-Fiはノートパソコンではまだ対応機種が少ないWi-Fi6にいち早く対応し、従来バージョンよりも2倍高速な転送が可能なThunderbolt3対応ポートも備える。CPUは第8世代のインテル製Core i7-8565U、Core i5-8265U、メモリーは8GB/16GBを搭載する。グラフィック処理の利用などを重視し、GPUはNVIDIA製GeForce MX250を搭載する。

 従来モデルに引き続き、紋センサーを内蔵した電源ボタンにより、ワンタッチで利用を開始できる「One Touch Go」を搭載する。本体にはDolby Atmos対応のクアッドスピーカーも内蔵する。

スマートフォンとの連携を可能にする「HiShare」を搭載

 MateBook X Proでユニークなのは、同社製スマートフォンの「Huawei Share」を利用した「Huawei Share One Hop」と呼ばれる機能が搭載されており、スマートフォンとの連携した利用を可能にしている。

MateBook X Proのタッチパッドの右側に対応スマートフォンを置くと、HiShareによる連携が利用できる

 たとえば、スマートフォンで写真や動画を撮影したとき、従来であれば、メールやクラウド経由で転送したり、ケーブルで接続して読み込む必要があったが、MateBook X Proではタッチパッドの右側にHuawei Shareが動作するスマートフォンをかざすことで、最大30MB/sでファイルを転送することができる。この他にも、パソコンの画面を三本の指でスワイプすることで画面キャプチャを撮ってスマートフォンに転送したり、端末をシェイクしてMateBook X Proにかざし、操作を録画することができる。

 また、MateBook X Proは同社のスマートフォンと同じように、画面を三本の指で下向きにスワイプするとキャプチャーモードを起動でき、この操作でキャプチャした画像をスマートフォンにすぐに転送したり、パソコンの画面で範囲を指定したテキストをコピーして、スマートフォンのメモ帳にペーストするといった使い方もできる。

画面サイズをひと回り大きくした「MateBook 14」も発表
ポップアップ式カメラをキーボード部に内蔵

 この他に、今年1月のCES 2019で発表された「MateBook 13」の上位モデルとして、ひと回り画面サイズが大きい「MateBook 14」も発表された。狭額縁のディスプレイ、Huawei Shareによるスマートフォン連携、指紋センサー内蔵電源ボタンなども共通で、昨年のMateBook X Proに搭載され、話題となったキーボード部に内蔵のポップアップ式フロントカメラも搭載される。

1599ユーロから購入できる「MateBook X Pro」
「MateBook 13」は999ユーロから、「MateBook 14」は1199ユーロから

 価格はMateBook X Proが1599ユーロから、MateBook 13が999ユーロから、MateBook 14が1199ユーロからとなっている。

美しいユニボディで仕上げられた「MateBook X Pro」
MateBook X Proの背面は昨年、新しくなったHUAWEIのロゴがデザインされた
キーボード上段の中央のボタンを押すと、すぐに飛び出すカメラ
スマートフォンでのノウハウを活かした指紋認証センサー内蔵の電源ボタン