【Mobile World Congress 2018】
ファーウェイ、ハイエンドAndroidタブレット「MediaPad M5」
8.4インチと10.8インチに加え、Proモデルも
2018年2月26日 17:02
ファーウェイはスペイン・バルセロナで開催されるMWC 2018に合わせ「Huawei Global Product Lauch」を開催、ハイエンドAndroidタブレット「MediaPad M5」、Windws 10搭載の「MateBook X Pro」、世界初の商用5Gチップセット「Balong 5G01」、5G対応CPE「HUAWEI 5G CPE」を発表した。
AndroidタブレットとWindows 10搭載PCは順次、発売され、5G CPEは一般消費者向けや法人向けとして販売される。
世界初FullView Touch-screen ノートPC
「Huawei Global Product Lauch」では同社CEOでConsumer Business Group担当のRichard Yu(リチャード・ユー)氏が登壇し、まず、同社のコンシューマビジネスについての2017年の状況がアップデートされた。スマートフォンの出荷は1億5300万台を記録し、収益は30%上昇、ブランド認識も85%まで成長しているとした。端末については2016年発表の「Mate 9」、2017年発表の「Mate 10」が著名なメディアでベストなスマートフォンとして相次いで選ばれ、5つ星を獲得していることをアピールした。
そして、同じく「Mate」の名を冠し、昨年からを展開する「MateBook」シリーズは、最高のユーザー体験を目指した「MateBook X」、エレガントな2in1の「MateBook E」、ダイナミックパフォーマンスモデルの「MateBook D」の3機種をラインアップしていることを紹介した。いずれのモデルも各専門媒体などで高い評価を受ける一方、編集者やデザイナー、ドレスデザイナー、建築家といった職種の人たちから聞こえてきたノートPCに対する期待が取り上げられ、大画面、ハイパフォーマンス、スリムなデザイン、インテリジェントなインタラクションなどが求められているとした。
こうしたニーズに応える新しいモデルとして、「MateBook X Pro」が発表された。世界初の「FullView Touch-screen Notebook」と題されたMateBook X Proは、最上級のデザイン、革新的なテクノロジー、インテリジェントな体験という3つの特徴を持っているという。
まず、ディスプレイは従来のMateBook X(13インチ)がライバルであるアップルのMacBook Pro 13インチと比較して、画面占有率はMacBook Proが縦横比16:10で82%であるのに対し、MateBook Xは縦横比3:2で88%を記録していることを紹介した。これに対し、今回のMateBook X Proは縦横比3:2で91%という画面占有率を実現している。つまり、クラムシェル型ボディのディスプレイ側のぼぼ前面が画面を占めているわけだ。具体的なスペックとしてはディスプレイに3000×2000ドット表示が可能な13.9インチのLPTS液晶を採用し、SRGB比100%、明るさは450nits、1500:1の高コントラストを実現している。ディスプレイはタッチパネルに対応し、表面にはCorning社製Gorilla Glassを採用する。
筐体のデザインは周囲をダイヤモンドカットで仕上げ、表面をつや消しのサンドブラドと仕上げでまとめている。重量は1.33kgで、同クラスのMacBook Proに比べ、最薄部は3mm薄い4.9mm、最厚部は0.3mm薄い14.6mmに仕上げている。ボディカラーはSpace GrayとMystic Silverがラインアップされる。オプションで専用レザーケースも用意される。
次に技術面では、薄さを追求しながら、パワフルに使えることを目指して開発されたことをアピールした。CPUは第8世代のIntel製Core i7 8550Uを搭載。第7世代のものに比べ、40%の高速化が図られている。冷却は温度を検知して動作するインテリジェントクーリングシステムを採用し、ファーウェイ独自の「shark fin fan design」により、20%の効率向上を実現している。グラフィックスは画像処理やビデオ編集が標準に比べ、4倍高速なGeForce MX150を搭載する。音響にも配慮しており、ツイーターとサブウーファーから校正される4つのスピーカーを内蔵し、Dolby Atmosにも対応する。電源は57.4Wh の大容量バッテリーを内蔵し、12時間のビデオ再生、14時間のオフィスワーク、15時間のWebブラウズを可能としている。
セキュリティについては、電源ボタンに指紋センサーを内蔵しており、スリープからのログインで1.9秒、ハイバネーションからのログインで6.6秒、電源オフの状態からのログインで7.8秒と、従来モデルよりも高速化が図られている。キーボードはバックライト内蔵のフルサイズを採用し、水などをこぼしたときにも耐えられるSpillproof(防滴)を実現している。タッチパッドは14インチクラスと同サイズのものを採用し、スムーズなマルチタッチコントロールを可能にする。
前述のように、ディスプレイ側のほぼ全面を画面が占める構造を採用したため、カメラを内蔵する位置がなくなってしまったが、MateBook X Proでは世界初の埋め込み式カメラを採用し、[F6]キーと[F7]キーの間に内蔵する。カメラのアイコンが描かれた部分を押すと、カメラモジュールがポップアップし、もう一度、押せば、本体内に格納されるという構造を採用する。
インターフェイスは左側面にUSB Type-Cポートを2つとヘッドフォンジャック、右側面にUSB Type-Aポートを備える。Thunderbolt 3に対応し、4Kディスプレイへの出力や外部接続のグラフィックカードにも対応する。付属のPocket Charger(ACアダプタ)はUSB Type-Cコネクターを採用し、30分の充電で6時間の利用を可能にする。
3つの特徴の内の最後のインテリジェントな体験としては、同社製スマートフォンと連携できる「HUAWEI Share」が挙げられる。ワイヤレスで画像などを共有することができ、フォトギャラリーの自動同期なども設定できる。1000枚の写真を約3秒、1GBのビデオをやく1分で転送する。会議などで利用するマイクも4つ内蔵しており、350度での正確な録音も可能。
MateBook X Proに搭載するWindows 10を紹介するため、米マイクロソフトのKurt Petersenが登壇し、Windows 10の「Cortana」、ファーウェイ製に最適化された「Instant Translator」が紹介され、Windowsのノートブックとして、ベストな製品だとアピールした。
価格はCPUとメモリー、ストレージの構成によって違い、1499ユーロから1899ユーロまで(いずれも税込)、3種類のモデルがラインアップされる。2018年第2四半期に中国、米国、ドイツ、スペイン、イタリア、北欧、サウジアラビアで販売が開始される。日本国内への投入については、何もアナウンスされていない。
10.8インチと8.4インチをラインアップしたMediaPad M5
MateBook X Proに続き、Androidプラットフォームを採用したタブレット「MediaPad M5」が発表された。壇上で実機を手にしたRichard Yu氏は、デザイン、エンターテインメント、パフォーマンスという3つの特徴を中心に、製品を説明した。
まず、「Aesthetic(エステティック)」と題されたデザインについては、前面に2.5Dガラスを使い、頑丈なメタルユニボディを持ちやすい形状で仕上げているとした。ディスプレイは2560×1600ドット表示が可能な10.8インチと8.4インチの2つのディスプレイを搭載したモデルをラインアップし、いずれもライバル機種となるiPad ProやiPad mini4に比べ、PPIなどを上回ることをアピールした。画面占有率も同様に高く、iPad mini4が70%であるのに対し、MediaPad M5の8.4インチモデルは82%に達し、よりベターな環境で使えるとした。ディスプレイは発色などに優れたClariVuに対応し、眼の疲れを抑えるEye Careの機能も備える。
音響は背面に小さなサウンドバーのような4つのスピーカーを内蔵し、harman/kardonによるサウンドチューニングが施される。音楽についてはハイレゾ音源にも対応する。ビデオ再生時などには360度の拡がりのあるサウンドを楽しめるようにしている。エンターテインメントについては12時間ビデオ再生、56時間の音楽再生、16時間の電子ブック閲覧が可能で、本体の充電もライバル機種に比べ、格段に早く完了するとした。
通信機能については、LTEが受信時最大300MbpsのCat.6に対応し、4つの2Gバンド、6つの3Gバンド、17の4Gバンドにサポートし、200以上の国と地域で利用できる。
また、MediaPad M5のもうひとつのユニークな機能として、2in1 PCと同等の体験ができる機能が紹介された。本体をさし込むようにして装着できるキーボードがオプションで提供されており、本体を装着すると、画面にガイドが表示され、わずか数秒で画面がMate 10 Proと同じようなPC Modeに切り替わる。MediaPad M5の下部には端子が備えられており、キーボード装着時にはその部分が接続され、アプリのウィンドウ表示などが可能な2in1タイプのノートPCのように使えるわけだ。さらに、MediaPad M5 Proというモデルもラインアップされ、このモデルでは4096段階の筆圧を検知可能な「M-Pen」による手書き入力にも対応する。
価格はストレージの容量、Wi-FiとWi-Fi/LTEの対応、8.4インチと10.8インチというディスプレイサイズによって違い、349ユーロから549ユーロまで(いずれも税込)の範囲に収められている。MediaPad M5 Proはわずかに価格が高く、499ユーロから599ユーロの範囲となっている。発売については2018年3月を予定し、国と地域はドイツ、イタリア、スペイン、英国、フランス、オランダなどの欧州各国、米国がアナウンスされており、日本市場については何も情報が開示されなかった。
世界初の商用5Gチップセットを公開
続いて、新しい5G時代へ向けての取り組みが説明された。モバイルの世界は1980年代に1Gで0.1Mbpsに始まり、世代を追うごとに進化を続け、2020年頃を目安に本格化する5Gでは20Gbpsという超高速通信が可能になることが紹介された。5Gでは今までにない新しい取り組みが生まれ、人をつなぐだけでなく、自動運転の乗用車、スマートホーム、IoTなどが商用化されるという。
ファーウェイでは5Gへ向けて、2009年頃の調査からスタートし、10年近く開発と革新を続けてきているという。5Gサービスで求められる要件についてもすでにピーク時のデータ速度、無線インターフェイスの低レイテンシ、1平方キロメートルあたりの接続数で、ITUの基準を満たしている。
そして、Richard Yu氏から同社が開発した世界初の商用サービス向け5Gチップセット「5G01」が発表された。5G01はピークレートで2.3Gbpsを実現し、Sub6GHzと呼ばれる6GHz以下の周波数、「mmWave(ミリ波)」と呼ばれる6GHzを超える周波数の両方をサポートする。同社では5Gの開発にあたり、世界のトップ30に入るさまざまな通信事業者とコラボレーションしており、そこにはNTTドコモやソフトバンクの名前も並ぶ。
この5G01を採用した最初の製品として、「HUAWEI 5G CPE」も合わせて発表された。CPEは「Customer Premises Equipment」の略で、契約者宅内に設置する装置という意味になる。光回線のONUと光ルーターを一体化したものに近いと考えればいいだろう。今回発表されたHUAWEI 5G CPEは世界初の商用サービス向けの端末で、6GHz以下の周波数に対応し、ピークレートは最大2Gbpsでの通信を可能にする。4G/5Gの両対応で、現在、国内でauやUQコミュニケーションズなどで扱われている「Speed Wi-Fi HOME」と同様の円筒形のデザインを採用する。
もうひとつの「HUAWEI 5G CPE(mmWave)」は6GHzを超える周波数帯をサポートしたモデルで、ピークレートは最大2Gbpsで、4G/5Gの両対応となっている。ただし、6Ghzを超える周波数帯は減衰が大きいため、本体とは別に屋外に設置するODU(OutDoor Unit)と呼ばれる分離型アンテナが用意される。ODUはベランダなどに設置し、5G対応基地局との通信がもっとも安定する方向向けに設置されるという。