【Mobile World Congress 2017】

カタロニア・サーキットでコネクテッドカーの実車デモ、ファーウェイ×ボーダフォン

 ファーウェイとボーダフォンは、MWC会期中、メイン会場から40分ほどの距離にあるカタロニア・サーキットのサブコースにおいて、コネクテッドカーのデモを行った。

 ヨーロッパでITS通信として利用されている5.9GHz帯を活用。セルラーV2Xという新しい技術を使い、4つのデモを実施した。

MWCメイン会場からクルマで40分ほどにあるカタルーニャ・サーキットのショートコースで行われた

前のクルマが止まれば後ろに伝える

 一つ目は前方のクルマが赤信号に止まった際、後方のクルマに赤信号だということを伝えるデモだ。セルラーV2Xの車車間通信により、前方が赤信号で止まったということを、ダッシュボードのモニターに表示されるようになる。

前方の白いクルマが赤信号でブレーキを踏むと、後方の2台のクルマにその旨が通知される

前のクルマから映像を送る

 2つ目は、前方のクルマに設置されたカメラの映像を後方のクルマのダッシュボードに表示するというもの。くねくねした山道など、前方の状況を見通せない時の需要を想定している。映像のやりとりとなり、距離が離れていても使えるようにと、デモでは車車間通信の5.9GHz帯ではなく、ボーダフォンの商用ネットワークに切り替えて接続されていた。

曲がりくねった道では、前方のクルマに装着されたカメラが映像が送られてくる。見通しの悪いところでも前方を確認できる

歩行者と通信

 3つめは歩行者との通信だ。歩行者を想定したマネキンにも5.9GHz帯を発信する装置を設置。歩行者にクルマが近づくと、ダッシュボードに歩行者がいるということを知らせてくれる。

クルマの天井には、5.9GHz対応のアンテナ
歩行者役のマネキンにも5.9GHz対応のアンテナ
前方に歩行者がいると、モニターが切り替わり、メッセージが表示される

 また、4つめとして、前方のクルマが急ブレーキを踏んだ際に、後方のクルマに伝えるというデモも行われた。

 実際にデモカーに乗ってみたが、前方のクルマや歩行者が近づく瞬間に、ダッシュボードのモニターに注意喚起のメッセージが表示されることで、安全性が高まるように感じた。

前方のクルマがブレーキを踏むと、アラートが後方のクルマに届くようになる

 ただ、技術的には実装が可能でも、法整備やすべてのクルマがセルラーV2Xに対応しないことには、メリットを出しにくいという課題がある。

今回のデモで使用したアウディ・SQ7 TDI。ほかにQ7もあった。
今回のデモを説明したボーダフォンのボブ・バンクス氏

 特に日本においては、ITSで活用する周波数が700MHz帯ということもあり、海外で導入が進む5.9GHz帯とは相性が悪い。このままでは日本独自の進化を指定してしまうことも予想されるため、早期に国際的な歩調を合わせることも重要となりそうだ。

隣のメインサーキットではF1がテスト走行をしていた。