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クアルコム、LTE+Wi-Fi周波数帯の「LAA」で1Gbps超を実現

VR、コネクテッドカーも新発表

 クアルコムは、LTEと免許不要の周波数帯を併用するモバイル通信技術「LAA」の試験にて、1Gbps超の通信速度を達成した。2月27日~3月2日にかけてスペイン・バルセロナで開催される展示会「MWC 2017」にて、ライブデモンストレーションを展示する。

LAAで1Gbps、商用モデムでは初

 「LAA(License Assisted Access)」は、使用するための免許が必要なライセンス周波数帯と、Wi-Fiなどで活用されているアンライセンス周波数帯を組み合わせて、より高速で通信する技術。

 クアルコムとAT&T、エリクソン、オレンジの4社が共同で実証実験を行った。チップセットは2017年後半に出荷予定の「Snapdragon 835」と、すでに出荷されている「Snapdragon X16 LTEモデム」を使用。ライセンス周波数帯とアンライセンス周波数帯であわせて80MHzの帯域幅を確保し、キャリアアグリゲーションで1Gbpsの実効速度を達成した。商用モデルを活用したLAAのデモンストレーションとしては、今回が初めてという。

“手を認識する”モバイルVR「Snapdragon 835」で実現、開発環境も整備

 「VR」(仮想現実)で要求される性能を高めた次世代ハイエンドチップセット「Snapdragon 835」では、Leap Motionの技術を採用した、より自然に操作できるVRインターフェイスを開発。MWC 2017にてデモンストレーション展示を行う。あわせて、VRハードウェアメーカー向けのプログラムと、VR開発キットが発表された。

 Leap Motionの技術は、指先の高精度なトラッキングをスマートフォンにも搭載できる小型のハードウェアで実現している。これにより、VR空間の中に“自分の手”を表示して、現実世界と同じように物をつかんだり、道具を扱ったりといったインターフェイスが利用できる。

 VRメーカー向けのアクセラレータープログラムでは、「Snapdragon 835」搭載のヘッドマウントディスプレイのリファレンスモデルを提供する。事前に検証された部品とリファレンスデザインを使用したり、クアルコム公認のODMメーカーに開発を委託することで、開発にかかるコストや期間を圧縮できるとする。

 VRコンテンツの開発者向けには、「Snapdragon 835 VR開発キット」を2017年第2四半期に提供。「Snapdragon 835」搭載デバイスの出荷(2017年後半)の前に開発環境を整え、コンテンツの充実を促す。

コネクテッドカーでLGと提携、エリクソンらの推進団体へも加盟

 あわせてクアルコムは、コネクテッドカー分野においてLGエレクトロニクスとの提携、推進団体「Towards 5G」への加盟を発表した。

 LGとの提携では、自動車にモバイル通信技術を搭載する「Cellular-V2X」や、自動車向け5G通信技術のトライアルに協力する。LGはクアルコムのコネクテッドカー向けプラットフォームを活用し、2018年にトライアルを行う予定。

 クアルコムが加盟を発表した「Towards 5G」は、エリクソン、オレンジ、PSAグループ(プジョーシトロエン)が結成したコネクテッドカーの推進団体。すでに実環境においてCellular-V2X技術の試験を行っており、次のステップとして、2台の自動車同士の直接通信「V2V(vehicle-to-vehicle)」などの検証を予定している。クアルコムはTowards 5Gで、通信面のサポートを担当する。