【Mobile World Congress 2014】
パリミキとセカイカメラ開発者がタッグ、「雰囲気メガネ」
(2014/2/25 15:15)
Mobile World Congress 2014において、ルネットは、間チルダ、情報科学芸術大学院大学(IMAS)の赤松正行教授とともに、メガネ型ウェアラブルデバイス「雰囲気メガネ」を展示している。
「雰囲気メガネ」は、iPhoneとBluetoothで接続し、iPhoneにメッセージが届くなど新着通知があればメガネのフレームに組み込まれたLEDやスピーカーでユーザーに知らせるというデバイス。iOS標準のBluetooth通知転送機能(Apple Notification Center Service=ANCS)を利用し、サードパーティ製のアプリを含め、通知センターに表示可能なあらゆる通知を、雰囲気メガネで受信できる。
現時点ではまだプロトタイプの段階で、製品化の具体的な予定は決まっていない。製品化については、Mobile World Congressなどでの一般からの反応などを見ながら検討するとのこと。製品化に向けて機能やデザインは変更される可能性もある。
ルネットは「パリミキ」ブランドのメガネ販売店を持つ三城ホールディングスの筆頭株主。「雰囲気メガネ」の開発には三城ホールディングスが携わり、製品化の際にはパリミキの販路が活用される。
既存のメガネに付加価値を
展示されていたプロトタイプモデルは、フレームレス(ナイロール)のレンズを固定する金属製フレームが鼻の部分に埋め込まれている。この部分を外し、度入りレンズへ交換できるようになっている。Google Glassなどが「ウェアラブルデバイスをメガネ型にデザインする」というアプローチを取っているのに対し、「雰囲気メガネ」は「既存の度入りメガネに付加価値を追加する」というアプローチを取っている。
雰囲気メガネは、三城ホールディングスとIAMASの赤松正行教授、間チルダ社の共同プロジェクト「FUN'IKIプロジェクト」から生まれたもの。昨年のMobile World Congressで着想を得て開発が開始された。赤松正行口授は自らiOSアプリも開発するメディア作家で、「セカイカメラ」などの開発にも携わった。
雰囲気カメラディスプレイなどを搭載せず、電子部分はヘッドセット並にシンプルであることから、コストは通常のメガネフレームとそれほど大差のあるものにはならない。製品化の際にはさらなる小型・軽量化を目指すということだが、プロトタイプの段階でも38.5gと非常に軽量で、通常のメガネと変わらない自然な装着感に仕上げられている。
iPhoneとの通信には、Bluetooth 4.0 LEを利用。バッテリーや各種電子部品は雰囲気メガネのツルの先端部分に搭載される。通常の通知のみでLEDを点灯させるならば、1回の充電で少なくとも1日間は利用できるという。
通知に使うLEDはフルカラー仕様で、レンズの上の部分のフレームに左右3つずつ、合計6個が隠れるように配置されている。レンズを横から照らすことで、レンズの縁全体が光るようになっている。ディスプレイではなくフルカラーLEDを使うことで、装着中に通知があったとき、どこかを注視することなく、その場の雰囲気のように通知を知ることができる。光り方は調整可能だが、プロトタイプのモデルを試したところ、最低照度でも、近くにいる人が気付く程度の光り方だった。
ツルの先端部分には小型スピーカーも搭載され、通知音などを鳴らせる。また、フレームのセンター上部に照度センサー、内部に加速度センサーを搭載していて、それらを利用した機能も考えられている。フレーム右側にメカニカルなプッシュボタンがあり、電源操作などに利用する。
機能は現時点では通知機能が基本となっている。通知機能ではiOS固有仕様のANCSを利用している。ANCSは、各アプリの通知をiOS自体がBluetooth機器に直接転送するというフレームワーク。雰囲気メガネは、ANCSフォーマットの通知を受信する機能を有している。ANCS受信時、どのようなLEDの光らせ方をするかは、iPhone上のアプリから雰囲気メガネをリモートで設定できるが、iOSの仕様上、雰囲気メガネのアプリがほかのアプリの通知情報にアクセスすることはない。
プロトタイプに合わせて開発されているアプリでは、ANCSで規定されているジャンルごとに、何色で光らせるか、あるいは光り方としてフェードの設定、明るさや点滅間隔、繰り返し回数などを調整できるようになっていた。通知機能のほかにも、タイマーやテンポ、モールス信号などで光らせることも可能になっている。