【Mobile World Congress 2013】

「Tegra 4」「Tegra 4i」をアピールするNVIDIA

 NVIDIAのブースには、同社のチップセットを搭載した端末が多数並べられていた。現行の「Tegra 3」は、Googleのリードデバイスである「Nexus 7」などに採用されている。日本では富士通製のフラッグシップ端末「ARROWS」シリーズのチップセットがTegra 3だが、NVDIAのブースには最新モデルの「ARROWS X F-02E」も展示されていた。これらの出展は、端末そのものを見せるという目的ではなく、Tegra 3上で動くゲームを体験するために行っている。

ブースには、Tegra 3採用端末が置かれていた

 CESで発表された「Tegra 4」を搭載したリファレンスモデルによる、デモも行われていた。Tegra 4はARMの「Cortex A-15」プロセッサを搭載したクアッドコアのチップで、72のGPUを持つ。4Kサイズの動画出力に対応しており、NVIDIAのブースでも、その性能がアピールされていた。また、NVIDIAはこのTegra 4を搭載したAndroidのゲーム端末「Project Shield」をCESで発表している。この端末も、NVIDIAブースに展示されていた。

日本メーカーの端末は、富士通の「ARROWS X F-02E」が展示されている
Tegra 4を搭載したリファレンスモデル
Tegra 4搭載のタブレットから4Kのディスプレイに映像が出力されていた
Androidを搭載したゲーム端末の「Project Shield」

 Tegra 4は、カメラで撮った映像の処理にも優れたチップセットで、HDR撮影やタッチした被写体に露出をあわせ続ける機能を実現できる。HDR撮影は通常、2枚以上の写真を合成するため、被写体が動くとブレが生じてしまうが、この機能ではフレーム数を増やし、合成処理を行うことでより自然な仕上がりを実現している。これらの機能は「Chimeraアーキテクチャ」と呼ばれる。

被写体にピントを合わせ続けたり、スワイプした部分だけHDRをかけるといった複雑な処理が可能になる
Tegra 4と、モデムを内蔵したTegra 4i

 また、NVIDIAは「Mobile World Congress」の開催に先がけ、LTEのモデムと一体となった「Tegra 4i」を発表している。Tegra 4iは、ICERA製のソフトウェアモデムが統合されたチップセットで、CPUはARMの「Cortex A9 R4」だが、ARM社とのコラボレーションによりバッファの容量を増やすなどの改良が施されている。Tegra 4iは面積も狭くなり、スマートフォンでの利用が想定される。

NVIDIAのニック・スタム氏

 NVIDIAのブースで行われたグループインタビューで、同社のニック・スタム氏は、Tegra 4の性能をアピール。複数のベンチマークソフトでTegra 4とクアルコムの「Snapdragon 600」を比べた結果、いずれもTegra 4の方が高い結果を示してしたという。また、実機ではないが「Snapdragon 800」をシミュレーションした場合でも、Tegra 4に優位性があるとした。Tegra 4iに関しては、「大きな特徴は、ICERAのモデムを統合したこと。もっとメインストリームのスマートフォンに採用できる。搭載端末は第4四半期にも出荷が始まると思う」と述べている。

ベンチマークによる比較では、Snapdoragon 600/800を上回る性能を示す
他のチップセットと比べ、面積辺りの効率がいいこともアピールした
Tegra 3との比較。CGもより細かな部分まで描写できるようになる

石野 純也