【Mobile World Congress 2011】
HTCが“Facebookケータイ”やタブレットなど6機種を発表
HTCのCEO、ピーター・チョウ氏。手にしているのは「HTC Flyer」 |
HTCはMobile World Congressに合わせ、15日(現地時間)にグローバル市場で展開する新端末を発表。プレスカンファレンスを開催した。新たに登場するのは既存モデルの後継に当たる「HTC Desire S」「HTC Wildfire S」「HTC Incredible S」の3機種と、“Facebookケータイ”の「HTC ChaCha」「HTC Salsa」の2機種。会見の最後に、隠し玉としてAndroidタブレット端末の「HTC Flyer」を披露した。会見にはHTCのCEO、ピーター・チョウ氏が登壇。「2010年はHTCやスマートフォンユーザーにとって驚きの1年だった。HTCは2500万台の端末を出荷した」と振り返り、「今日は新しいバージョンのHTC SENSEをお見せし、デザインやプライスで選択肢を提供する」とコメントした。
チョウ氏に変わってプレゼンテーションを行ったのが、HTCのCMO(Chief Marketing Officer)のジョン・ワン氏。同氏は最初にHTC端末に共通で搭載されている「HTC SENSE」についてのプレゼンテーションを行った。HTCはAndroidを独自にカスタマイズしており、操作感の向上を図っている。ワン氏は国際ローミング時のデータ通信を例に挙げ、「83カ国のマップがプリロードされているので、高いお金を払う必要がない」というHTC SENSEの機能を紹介した。
CMOのジョン・ワン氏 | 83カ国のマップをプリロードした |
続けて同氏は、HTC Desire S、HTC Wildfire S、HTC Incredible Sの3機種を披露した。HTC Desire Sは、日本でソフトバンクから発売された「HTC Desire」の後継機的な端末で、デザインのモチーフなどが継承されている。「1枚続きの背面も特徴」(ワン氏)で、「HTC Desire HD」のようなユニボディに近いスタイルを採用した。「1.2GHzのプロセッサーと、より多くのメモリを搭載した」といい、動作のスムーズさにも磨きがかかった。HTC Wildfire Sは、欧州やアジアで展開された「HTC Wildfire」の後継機。「ポケットに入れられるコンパクトさ」(同氏)が特徴で、「マスマーケットに向けたもの」(同氏)となる。HTC Incredible Sは、4インチディスプレイにステレオサラウンドスピーカーを搭載したハイエンド端末。HTC Incredibleの後継機で、「プレミアムなデザインとプレミアムなエクスペリエンスが融合した1台」(同氏)という位置づけだ。
既存端末の後継機的な位置づけの3機種 | 「HTC Desire S」 |
「HTC Wildfire S」 | 「HTC Incredible S」 |
これらの後継機を発表したあと、ワン氏はFacebookを紹介し、HTC ChaChaとHTC Salsaの2機種を披露。会場には「深くソーシャルネットワークをインテグレートした最初のスマートフォンだ」とコメントするFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグのビデオメッセージが映し出され、ゲストとしてFacebookのVice President、Chamath Palihapitiya氏が登壇した。HTC ChaChaとHTC Salsaはともに「Facebookボタン」を搭載している。ワン氏が「Facebookのウェブにつなったり、アプリが立ち上がったりするわけではない」(ワン氏)というように、このボタンはよりFacebookをダイレクトに使うためのもの。写真撮影のあとに押すとアップロードが始まったり、Web閲覧中に押せば友人とそのページをシェアできたりと、Facebookを端末に深く統合している。HTC ChachaはQWERTYキーボード搭載、HTC Salsaはフルタッチと、端末形状のバリエーションも用意した。これらのデバイスは、全てAndroidの最新バージョンである「Android 2.3.3」を搭載する。
マーク・ザッカーバーグ氏がビデオメッセージを寄せた | Facebookボタンを搭載したスマートフォン |
FacebookのVice President、Chamath Palihapitiya氏 | 「HTC Chacha」 |
「HTC Salsa」 |
隠し玉として最後に送り出した1台が、「HTC Flyer」だ。発表時にはピーター・チョウ氏が再び登壇。「ユーザーがどうタブレットを使い、どう感じているのかの研究に時間をかけた。これはスマートフォントは違う」と述べ、タブレットに対しても「輝かしい哲学を持っている」と自信をのぞかせた。端末のプレゼンテーションを行ったのはワン氏で、ユニボディーのデザインや、約450gという軽さ、全部入りの機能などを披露。その上で、「一番の違いはタブレット向けに拡張したHTC SENSEにある」(同氏)と強調した。
「HTC Flyer」を隠し玉として発表 | タッチとペン、両方で使える |
「HTC Flyer」の実機 |
HTC FlyerはHTC SENSEによる独自のUIを備えており、天気やカレンダー、メールなどを3Dグラフィックで表示する。さらに「スクライブ(線を引くなどの意味)技術を搭載した」(ワン氏)といい、ペンで画面内に書き込むことができる。メモやボイスレコーダーなどを統合した専用アプリケーションも用意する。HTCはコンテンツにも注力しており、ビデオオンデマンドサービスの「HTC Watch」や、クラウドゲームサービスを開始。クラウドゲームとは、サーバー上でゲームを動かし、画面だけが端末に送られる仕組みで、制約の多いモバイル環境でスムーズにハイパフォーマンスなゲームを動かすことができる。
ビデオオンデマンドサービスを開始 | クラウドゲームサービスにも対応する |
ネットワーク側のサーバーが処理するため動作がスムーズ |
なお、これらの機種は2011年第2四半期に登場する予定だ。販売地域は欧米やアジアが中心だが、日本への投入は名言されていない。各端末の詳細については、ブースレポートでお届けする。
(石野 純也)
2011/2/16 14:16